日本産糸状菌類図鑑 No.64 before← →next ↑top

Thanatephorus cucumeris (Frank) Donk [=Rhizoctonia solani Kühn]
 分類:担子菌門,菌蕈綱,ツノタンシキン目,ツノタンシキン科

 日本全国に分布。ほとんど全種類の植物に寄生し,土壌からも腐生的に分離される。対峙培養時の菌糸融合の有無によりAG (Anastomosis Group) 1〜12に,培地上の菌叢形態によりIA〜V群に分類される。土中で菌糸を伸長させ,あるいは担子胞子を飛散して蔓延する。菌核で残存し,有性世代は土壌表面あるいは植物地際部に形成される。ラン科植物と共生し,内生菌根を形成する。

性状(機能):土壌腐生菌,植物病原菌,内生菌根菌    病徴JPEG(39kb)

形態:
 有性世代:たる形〜短棍棒形の担子器に小柄を生じ,その上に無色,広楕円形〜倒卵形,平滑,大きさ6-14×4-8μの担子胞子を形成する。
 無性世代:菌糸は淡褐色〜褐色,主軸菌糸の幅は6-10μ,かすがい連結はもたず,概ね直角に分枝し,分枝部でわずかにくびれる。分生胞子は形成しない。
菌糸(蛍光下) 菌糸(核染色) 菌叢(左上:AG1 IA菌,右上:AG1 IB菌,下:AG2-2 IIIB菌,)

農環研所蔵標本

標本番号 菌種 宿主和名 宿主学名 症状 採集地 採集年月日 採集者
250-1-25 Rhizoctonia solani  ペレニアルライグラス Lolium perenne 葉腐病 栃木県那須郡西那須野町 1961.7.17 土屋行夫
250-1-26 イタリアンライグラス Lolium multiflorum 栃木県那須郡西那須町県有畜牧場

(記述および図版提供者:月星隆雄,農環研,微生物分類研究室,2002)


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