農業環境技術研究所環境化学トピックス(2005) > ストロビルリン系殺菌剤とは

ストロビルリン系殺菌剤とは

食用キノコから発見された天然生理活性物質(ストロビルリンA)に由来する殺菌剤のことです。作用性として病原菌細胞におけるミトコンドリア内の電子伝達系に働き,呼吸を阻害します。予防および治療効果を示し植物病原菌の増殖サイクルのほとんど全ての段階に活性を示します。

ベンゾイミダゾール系やアゾール系殺菌剤などの耐性菌問題の克服を目的に開発された、従来の殺菌剤とは全く異なる系統の殺菌剤です。

ストロビルリンAの化学構造
ストロビルリン系殺菌剤は多くの病害に対して高い防除効果を持っており、その適用が期待されていますが、近年、ストロビルリン系殺菌剤にも耐性菌が発生し問題となっています。

研究紹介;ストロビルリン系薬剤耐性菌のPCR-RFLPによる遺伝子診断

キュウリべと病菌のストロビルリン系薬剤耐性菌と感受性菌では,薬剤の作用点タンパク質の遺伝子に1塩基の違いが見られます。その違いを利用してPCR-RFLPによって耐性菌を迅速に診断することを可能にしました。
1.1塩基変異
キュウリべと病菌のストロビルリン系薬剤耐性菌では,薬剤作用点タンパク質のチトクロームbの遺伝子に1塩基変異(GGTGC→GCTGC)がみられ,アミノ酸置換が推定されました(図1)。
チトクロームb遺伝子の部分塩基配列
2.PCR-RFLPによる耐性菌の検出
遊走子のう形成が見られるキュウリ罹病葉から,直径1cmのディスクを1枚打ち抜き,キットを用いて菌のDNAを抽出,精製しました。これを鋳型として,同様のPCR-RFLPを行うことにより,べと病菌の耐性菌が検出できました(図2、図3)。
キュウリべと病菌チトクロームb遺伝子の罹病リーフディスクからのPCR増幅 制限酵素ItaIで処理したキュウリべと病菌チトクロームb遺伝子の電気泳動パターン
PCR-RFLPによるストロビルリン系薬剤耐性菌の診断は、うどんこ病菌などでも可能であることから、絶対寄生菌や生物検定が困難な菌の薬剤耐性菌を迅速に検出できます。このことは、被害の発生や拡大の回避に役立つと考えられます。
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>>この研究に関連する成果
(キュウリべと病菌のストロビルリン系薬剤耐性菌とチトクロームbのアミノ酸置換)

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