６．蚕卵の化性の解明（１９１８）
渡邊勘次（1918）蠶ノ化性ニ關スル研究（第一報）二化性ト四化性トノ遺傳關係ニ就テ．蠶業試驗場報告 第三巻第八號：397-437
１．二化蠶ハ、其卵ヲ高温度（攝氏二十五度以上）ヲ以テ催青ル時ニハ越年卵ヲ生ジ、低温度（攝氏十五度以下）ヲ以テ催青スル時ハ不越年卵ヲ生ズ。斯クテ得タル越年卵ヲ再高温度ニテ催青 スレバ又越年卵ヲ生ジ、不越年卵ヲ再低温度ニテ催青スレバ又不越年卵ヲ生ズ。同様ノ取扱ヲ 反覆スルコトニ依リ連續シテ越年卵、或ハ不越年卵ノミヲ生ゼシムルコトヲ得。乍併、二化蠶ハ一化性或ハ多化性ニ變ズルコトナシ。
２．四化蠶ハ、其卵ヲ高温度（攝氏二十五度以上）ヲ以テ催青スルモ常ニ不越年卵ヲ生ズ。二化蠶ト四化蠶トノ化性上ニ於ケル此特性ノ相違ヲ利用シ、兩者ノ間ノ遺傅関係ヲ究メ次ノ結果ヲ得タリ。
３．二化性ト四化性トハめんでる法則ニ依ル單性雜種ヲ構成ス。二化性ハ四化性ニ對シテ完全ナル優性ニシテ是等兩性質ノ分離ハ最簡單ナル割合ヲ以テス。
４．化性ガ母親遺傅ヲナスハ單ニ雜種第一代目ノミニ止マラズ、如何ナル複雜ナル組合セニ於テモ常ニ同様ナリ。