124.蚕の上蔟装置(1992)

蜷木 理、丸山 誠:「自動上蔟装置」(1993年特許出願、特許登録:1995991199512月8日、)

1.上蔟の省力化を目的として、熟蚕収集分離装置、蚕沙搬出装置、熟蚕振り込み装置および移動式回転蔟吊り下げ装置を試作し、これらを組み合わせた上蔟装置を開発した。

2.装置の内容は、条払いや網取り法で収集した熟蚕を再度、熟蚕収集分離コンベア装置に移し、YM上蔟ネットを2枚掛けて熟蚕と蚕糞蚕沙とに分け、分離された残沙は蚕沙搬出コンベア装置によって外部の運搬車等に運ばれる。一方熟蚕は、熟蚕振り込み装置に集められ、そこから定量の熟蚕を振り込みバットに入れ、バットが図面の各D地点まで来るとマグネット方式によりバットがA、B、C地点で同時に回転して、移動式回転蔟吊り下げ装置の蔟に振り込まれる仕組みになっている。振り込まれた熟蚕は、回転蔟の下方に蚕上蔟簡易ネットが付いているので、落下すること無くネットに溜まるが、その後、ネット上を移動し順次蔟穴に入り営繭する。なお、営繭中は分速3m程度で移動するようになっているので、ネットが付いたままでも解舒などに悪影響はない。

3.振込み装置は一度に3個の回転蔟に振り込むので、大幅な時間短縮ができる。

4.移動式回転蔟吊り下げ装置は天井に設置されたレールを巡回するので、すべての作業は一箇所ででき、しかも、蚕上蔟簡易ネットの使用により、落下蚕がほとんど無いので再上蔟の必要は無く、大幅な時間短縮と省力化が期待できる。

5.本装置の使用による繭糸質は通常の上蔟法のものと変わらず、むしろ、落下蚕の衝撃で不吐糸蚕の出現が無いだけ増収がみられた。

6.この装置により上蔟作業の省力化が図られ、二人作業日20箱程度の上蔟が可能となる。


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