農作業安全コラム

年齢と体力

H15年12月 石川 文武

 プロ野球は12月と1月がオフシーズンになっています。選手たちは来年に向けて契約の更新をし、体のリハビリと翌シーズンに向けた心の準備に取掛かっています。

 農業でも作目によってはオフシーズンがない場合もありますが、おおむね秋の収穫が終って来シーズンへの準備が始まっていると思います。農作業に欠かせない機械類は適切な点検を行っていれば性能が低下することはありません。しかし、作業にたずさわる我々の方は、25歳頃の体力ピークを過ぎると早い遅いはありますが、次第に低下してきます。現在農業生産の中心となっている高齢者にとって、自分の体力や気力が若い頃と同じとは感じていないでしょう。力が弱くなる、体が固くなる、瞬間的な動作が遅れる、頭で考えた行動とおりのリズムが取れない、・・・。「昔はできたんだけど」と思い当ることが多くなってきます。加齢にしたがって心身諸機能が低下することは受入れなければなりませんが、その低下度が実際の年齢層の平均よりも若いほうにあるのか、年相応か、老けたほうにあるのか、を理解しておくと、作業の工夫や組立てに役立ちます。

 筋力や柔軟性の低下は比較的自覚できますが、年をとると歩幅の低下も目立ってきます。歩行型機械での作業では、歩幅が小さくなると歩くピッチを高めないと機械について行けなくなります。急ぎ足になることが転倒や誤操作につながることも考えられます。

 体力にあった作業の工夫を冬の間に考えてはいかがでしょうか。

 

キーワード:安全装置・対策/歩行用トラクター/田植機/農用運搬車/農用高所作業機/その他の機械
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