農作業安全コラム

平常時と作業時で判断は変わる!?

H24年11月 志藤 博克

 先日、ある生産法人に招かれ自走式ニンジン収穫機を前にして圃場で安全講習を行いました。この機械を使った作業は、収穫機にオペレータが座って操縦し、補助者が後で機械について歩きながら残った茎を包丁で切り取る方法で行われています。 作業中、機械の一部で人参が詰まることがあり、これまでしばしばそこに補助者が手を巻き込む事故が発生しているとのことでした。その安全講習会には別の生産者組織も参加されていたので、作業中に人参が詰まったらどうするか、普段その機械を使っていない方に聞いてみたところ、「オペレータに機械を止めてもらってから取り除く」とのお答えを頂きました。 そこで、ケガ人を出したことがある組織の方に実際の作業ではどのような行動を取ったのか発言して頂きました。曰く、「機械を止めるのがはばかられ、止めずについ手を入れてしまった」。このように、作業時では目の前の能率に気をとられるあまり、平常時とは異なる判断をする場合があります。平常心でいる時にこそ、機械を止めるデメリットと機械を止めないデメリットについて考えておくことが必要です。 理由を明確にしておくことが「つい」をなくす近道の一つになります。「つい」が生じやすい箇所に自作の標語(例えば「詰まり除去は機械を止めてから-止めても大して遅れない」など)を貼るのも一案ではないでしょうか。

 

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