麦類・大豆の遺伝資源特性情報


[要約]
二条大麦47点、六条大麦95点、春まき小麦569点、秋まき小麦1,450点及び大豆1,650点の遺伝資源について一次特性調査を行い、さらに、大豆では形質間の関連性や主成分分析による分類を各地域における利用形態や品種育成経緯から考察した。
北海道立植物遺伝資源センター・研究部・資源利用科、資源貯蔵科
[連絡先]0125-23-3195
[部会名]作物
[専門]遺伝資源
[対象]麦類・豆類
[分類]研究

[背景・ねらい]
 北海道立農業試験場が保有する遺伝資源は、平成9年度現在で30,891点であり、今後も新たな収集・導入などによって保有点数はさらに増加する見込みである。しかし、遺伝資源の中には分類・整理に必要な基本特性(一次評価項目)の把握が不十分なものがあり、これらについて遺伝資源の情報充実と活用を促進するため、特性調査を行った。

[成果の内容・特徴]
  1. 二条大麦45点、六条大麦95点、春まき小麦500点、秋まき小麦1,205点及び大豆1,650点について特性調査を行い、一次評価項目の特性値の分布をそれぞれ明らかにしたものである。
  2. 麦類の交配母本材料選定の参考とするため、穂の収穫構成要素と関係する形質が顕著な値を示した品種・系統を抜粋している(図1。また、大麦では短稈で穂の抽出度が大きい品種・系統のあることを明らかにしている(図2)。
  3. 大豆の各形質は原産地及び導入先によって傾向が異なり、特徴的な品種・系統のあることを明らかにしている。
  4. 大豆の各形質の関連性を明らかにするために、カイ2乗検定を行ったところ、原産地毎に連関の認められた形質が異なっており、原産地における利用形態や育種目標によって形質の特性に偏りのあることが認められる。(図3)。
  5. さらに、大豆の主な形質について主成分分析を用い遺伝資源の分類を試みたところ、原産地及び導入先によって分布が異なり、大まかな分類が可能である(図4)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 育種交配母本材料の選定や二次評価を行うための参考として利用する。
  2. 遺伝資源の分類・整理のための基礎データとして利用する。
  3. 試験年次により生育などが若干異なるので、それを考慮したうえで利用する。

[平成10年度北海道農業試験会議成績会議における課題名及び区分]
課題名:麦類・大豆の遺伝資源特性情報

[その他]
研究課題名:自殖性植物の特性調査(第2次計画)
予算区分 :道費
研究期間 :平成10年度(平成5〜9年)

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