Navigation>>九州沖縄農業研究センター >> 研究成果情報 >> 平成13年度目次

イネいもち病菌非病原性遺伝子(Avr-Pik,-Piz,-Pizt)の分子連鎖地図


[要約]
イネいもち病菌の非病原性遺伝子Avr-PikAvr-PizおよびAvr-PiztとRAPDマーカーとの連鎖分析の結果、3つの非病原性遺伝子はそれぞれ個別の分子連鎖地図上に位置し、Avr-Pikには複数のマーカーが密接に連鎖している。

[キーワード]
いもち病、非病原性遺伝子、Avr-PikAvr-PizAvr-Pizt、分子連鎖地図

[担当]
九州沖縄農研・地域基盤研究部・病害生態制御研究室

 [連絡先]096-242-7729
 [区分]九州沖縄農業・病害虫
 [分類]科学・参考

[背景・ねらい]
イネの最重要病害であるいもち病に対して抵抗性品種の安定的活用を図るためには、菌の病原性変異機構の解明とその制御が不可欠である。そこで、いもち病菌の病原性変異に直接に関与する非病原性遺伝子のうち、Avr-PikAvr-PizおよびAvr-PiztについてRAPDマーカーとの分子連鎖地図を作成し、密接に連鎖するマーカーによる非病原性遺伝子の単離と周辺領域の変異様式の解明に資する。

[成果の内容・特徴]
  1. 日本産菌株84R-62Bおよび中国産菌株Y93-245C-2の交配後代65株を供試して遺伝子連鎖分析を行い、解析ソフトはMAPMAKER2.0、連鎖の有意性を示す最小LOD(対数尤度比)値は5.0とする。

  2. イネいもち病菌の非病原性遺伝子Avr-PikAvr-PizおよびAvr-Piztは、それぞれ独立の連鎖群に属している(図1)。

  3. Avr-Pikの連鎖群は、推定される2つの非病原性遺伝子Avr-PikpAvr-Pikmと13個のRAPDマーカーからなり、約44cMの分子連鎖地図上にそれぞれの位置が標識される(図1A)。

  4. Avr-Pikに0cMで連鎖する6個のマーカーは、遺伝子の単離や周辺領域の変異様式の解明に有効に利用できる。
  5. Avr-Pizの連鎖群には、推定される2つの非病原性遺伝子Avr-PitaAvr-Pita2と14個のRAPDマーカーが含まれる。Avr-Pizに最も密接なマーカーは、4.6cMの距離にある。(図1B)。

  6. Avr-Piztの連鎖群は、他にMAT1遺伝子と2個のRAPDマーカーからなり、そのうちの1個はAvr-Piztと1.5cMで連鎖している(図1C)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 非病原性遺伝子に密接に連鎖するマーカーは、遺伝子の単離や病原性変異様式の解明に有効利用できる。

  2. 推定段階の非病原性遺伝子Avr-PikpAvr-PikmAvr-PitaおよびAvr-Pita2について、早期の同定を要する。

[具体的データ]

図1 非病原性遺伝子Avr-Pik(A)、Avr-Piz(B)、Avr-Pizt(C)の分子連鎖地図

[その他]
研究課題名:主要な非病原性遺伝子領域の変異様式の解明
予算区分 :21世紀5系
研究期間 :2001〜2004年度

目次へ戻る