良質で輪斑病抵抗性に優れた中生の緑茶用新品種「はるもえぎ」
- [要約]
- 「はるもえぎ」は、輪斑病に耐病性の緑茶用新品種である。摘採期が「やぶきた」より1〜2日遅い中生種で、耐寒性も優れる。アミノ酸含有率が高く、製茶品質は、色沢が鮮緑色で、香味は温和でまろやかである。
- [キーワード]
- はるもえぎ、耐病性、中生、耐寒性、チャ
- [担当]
- 宮崎総農試・茶業支場・育種科
[連絡先]電話0983-27-0355
[区分]野菜茶業・茶業、九州沖縄農業・茶業
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
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現在、全国の茶栽培面積の約77%を中生種の「やぶきた」が占めているが、輪斑病や炭疽病に弱いという欠点がある。この「やぶきた」への栽培の集中により病害虫の多発等の弊害が発生している。このため、病害抵抗性で耐寒性の強い中生品種を育成する。
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[成果の内容・特徴]
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「はるもえぎ」は、1981年に「茶本F1NN27」を種子親、「ME52」を花粉親として交配したF1実生群の中から選抜した系統である(図1)。
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一番茶の萌芽期、摘採期は「やぶきた」より1〜2日遅い中生種である(表1、表3)。
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耐病性は、炭疽病には中、輪斑病には強で「やぶきた」より強い(表1)。
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耐寒性は、赤枯れ、裂傷型凍害ともやや強で「やぶきた」よりやや優れる(表1)。
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生葉収量は、地域により差が見られるが、ほぼ「やぶきた」並である(表1、表3)。
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煎茶品質は、南九州では一番茶、二番茶とも「やぶきた」と同等以上で、特に色沢が優れる。また、「やぶきた」に比べアミノ酸含有率が高く、タンニンは低く、香味は温和でまろやかである(表2、表3)。
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[成果の活用面・留意点]
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樹姿が直立型で株張りがやや小さいので、2条植えにして株張りを確保する必要がある。
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赤焼病、クワシロカイガラムシについては「やぶきた」と同程度の発生がみられるので注意する。
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[具体的データ]
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表1 栽培特性及び耐寒性、耐病性(育成地)
表2 製茶品質及び呈味成分(煎茶育成地)
表3 栄養系適応性検定試験結果
図1 一番茶摘採期の新芽
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[その他]
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研究課題名:茶樹新品種育成試験
予算区分 :指定試験
研究期間 :1981〜2002年度
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