良質、多収で晩生の緑茶用新品種「みやまかおり」
- [要約]
- 「みやまかおり」は良質、多収の緑茶用新品種である。摘採期が「やぶきた」より7〜8日遅い晩生種で、品種の組合せにより収穫期間を延長できる。
- [キーワード]
- みやまかおり、良質、多収、晩生、チャ
- [担当]
- 宮崎総農試・茶業支場・育種科
[連絡先]電話0983-27-0355
[区分]野菜茶業・茶業、九州沖縄農業・茶業
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
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現在、全国の茶栽培面積の約77%を中生種の「やぶきた」が占めているため、収穫時期の集中が問題となっており、収穫期間の延長を可能にする品種の育成が求められている。このため、良質多収で耐寒性、耐病性に優れる晩生品種を育成する。
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[成果の内容・特徴]
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「みやまかおり」は1983年に、「京研283」を種子親、「埼玉1号」を花粉親として交配したF1実生群の中から選抜した系統である(図1)。
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一番茶の萌芽期、摘採期は「やぶきた」より7〜8日遅く、「おくみどり」より1〜2日遅い晩生種である(表1、表3)。
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耐寒性は、赤枯れにはやや強、裂傷型凍害には中で「やぶきた」と同等である(表1)。
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耐病虫性は、炭疽病には中、輪斑病にはやや強で「やぶきた」より強い(表1)。クワシロカイガラムシについては中で「やぶきた」、「おくみどり」よりやや強い。
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株張りは「やぶきた」より大きく、一番茶、二番茶とも多収である(表1、表3)。
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煎茶品質は、一番茶、二番茶とも「やぶきた」とほぼ同等で、クリのような香気が特徴である(表2、表3)。
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[成果の活用面・留意点]
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耐寒性は「やぶきた」と同等で、全国の茶栽培地帯で栽培が可能である。
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芽重型で芽の伸びは良好であるが、芽長が長く茎がやや太いため摘み遅れると木茎が目立ちやすい。
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[具体的データ]
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表1 栽培特性及び耐寒性、耐病性(育成地)
表2 製茶品質及び呈味成分(煎茶育成地)
表3 栄養系適応性検定試験結果
図1 一番茶摘採期の新芽
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[その他]
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研究課題名:茶樹新品種育成試験
予算区分 :指定試験
研究期間 :1983〜2002年度
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