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茶樹の樹冠内散水によるクワシロカイガラムシの密度抑制効果


[要約]
クワシロカイガラムシの産卵期からふ化期に茶樹の樹冠内に散水することにより、卵およびふ化幼虫に対し高い密度抑制効果が認められる。

[キーワード]
チャ、クワシロカイガラムシ、樹冠内散水、密度抑制効果

[担当]
宮崎総農試・茶業支場・栽培科

[連絡先]電話0983-27-0355	
[区分]九州沖縄農業・茶業	
[分類]技術・参考	

[背景・ねらい]
クワシロカイガラムシは、枝条に寄生するため薬剤による防除が難しく、一般防除の2倍以上の薬量が必要であることから、チャの重要害虫となっている。本害虫に対しては、高湿度条件下でふ化率が低下することが報告されており、経験的にもふ化時期に降雨が続く場合には、その後の密度抑制が認められる。そこで、散水施設を利用した茶樹の樹冠内散水によるクワシロカイガラムシの密度抑制効果について検討する。

[成果の内容・特徴]
  1. 散水量3.3L/分のマイクロスプリンクラーを1m間隔で設置し、1回あたりの散水時間5分、散水間隔45分で1日13回、21日間散水することにより、殆どの卵塊で全個体が死亡し、密度抑制効果が高い(表1)。

  2. 散水によりそれぞれの卵が粘着した塊となり、卵色は初め橙色であるが、やがて褐変し、最後には黒色となる。

  3. 散水処理区のふ化卵塊率は40〜50%と低い(図1)。

  4. ふ化する場合でもふ化幼虫は数頭と少なく、卵の50%以上がふ化する卵塊は全く認められない(図2)。

  5. 散水処理後の雄繭の発生量は、散水により枝が濡れていない部分に発生がみられるものの、枝が十分濡れる範囲では雄繭が全くみられない(図3)。

[成果の活用面・留意点]
  1. 環境保全型クワシロカイガラムシ防除技術の基礎資料となる。

  2. 本方法は、樹冠内に新たに散水施設を設置する必要がありコストが高くなる。

[具体的データ]

表1 散水処理区における死亡状況


図1 ふ化卵塊率の推移


図2 50%ふ化卵塊率の推移


図3 散水処理前(第2世代)および散水処理後(第3世代)の雄繭発生量

[その他]
研究課題名:茶における環境にやさしい農業技術の開発
予算区分 :県単
研究期間 :2000〜2002年度


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