茶園における窒素溶脱量は収量増でも減少
- [要約]
- 茶園における年間の窒素溶脱量は、降雨量より収量との関係が深く、生育の向上に伴い窒素溶脱量は減少する。
- [キーワード]
- 環境保全、茶園、窒素溶脱、硝酸態窒素
- [担当]
- 鹿児島茶試・栽培研究室、環境研究室
[連絡先]0993-83-2811
[区分]九州沖縄農業・茶業
[分類]技術・参考
-
[背景・ねらい]
-
茶園における窒素溶脱量は、吸収率の高い施肥技術、マルチ等で減少する。一方、樹勢を高め、窒素吸収量を増加させることも溶脱の減少には有効とされるが、裏付けるデータがない。そこで、樹勢を反映する生育・収量と窒素溶脱量との関係を明らかにし、樹勢に視点をおいた環境保全型管理技術の開発、普及に資する。
-
[成果の内容・特徴]
-
-
多腐植質黒ボク土の茶園では、窒素施用量が同じ場合でも、窒素溶脱量の年次間差は大きい(表1)。
-
年間窒素溶脱量は、摘芽の乾物重、摘芽中の窒素量との相関が高い(図1、図2、図3)。
-
年間窒素溶脱量と摘芽の乾物重の関係式により、収量の増加に伴う窒素溶脱量の減少量を推定できる(図2)。
-
[成果の活用面・留意点]
-
-
平成4〜13年のライシメータ試験のデータを用いた。
-
窒素施用量の削減とともに適切な栽培管理により樹勢を高め、生育向上、増収を図ることが、窒素負荷の減少につながることを示す資料とする。
-
収量の増加に伴う窒素溶脱の減少量は、施肥法等によっても異なり、一事例として活用する。
-
[具体的データ]
-
表1 ライシメータにおける窒素収奪と溶脱
図1 浸透水量と窒素容脱量
図2 敵芽(一、刈、二番茶)の乾物重と窒素容脱量
図3 敵芽(一、刈、二番茶)の窒素量と容脱量
-
[その他]
-
研究課題名:ライシメータによる窒素の動態解明
予算区分 :県単
研究期間 :1992〜2001年度
目次へ戻る