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緑かび病を主体としたカンキツ果実腐敗防除における薬剤の効果的な組み合わせ


[要約]
ベンズイミダゾール系剤のベンレート水和剤またはトップジンM水和剤とベフラン液剤25とを混用散布すると、露地の温州ミカンではベフラン液剤25の単独散布に比べて20〜30%も防腐効果が向上する。一方、露地および施設の中晩生カンキツ(不知火)ではベンレート水和剤のみでベフラン液剤25との混用効果が認められる。

[キーワード]
カンキツ、緑かび病、果実腐敗、ベンズイミダゾール系剤、ベフラン液剤25
[担当]
佐賀県果樹試験場・病害虫研究担当

[代表連絡先]電話0952-73-2275	
[区分]九州沖縄農業・病害虫	
[分類]技術・普及	

[背景・ねらい]
緑かび病を主体としたカンキツ果実腐敗の効果的な薬剤防除法として、ベンズイミダゾール系剤とベフラン液剤25との混用散布が普及している。しかし、ベンズイミダゾール系剤にはベンレート水和剤とトップジンM水和剤の二種類があることから、それぞれの薬剤のベフラン液剤25に対する混用効果を明らかにして、より効果的な防腐対策を確立する。

[成果の内容・特徴]
  1. 温州ミカン(露地の極早生・早生)の緑かび病を主体とした果実腐敗に対して、ベンズイミダゾール系剤であるベンレート水和剤またはトップジンM水和剤とベフラン液剤25とを混用して散布することにより、ベフラン液剤25を単独で散布するよりも20〜30%も防腐効果が向上する(表1)。

  2. 温州ミカンでは、ベンレート水和剤とトップジンM水和剤のいずれをベフラン液剤25に混用しても同等の効果が期待できる(表2図1)。

  3. 中晩生カンキツ(施設・露地)では、緑かび病を主体とした果実腐敗に対してベンレート水和剤とベフラン液剤25とを混用散布することによって、ベフラン液剤25を単独で散布するよりもすぐれた防腐効果が得られるが、その程度は温州ミカンの場合よりも小さく、4〜8%の向上にとどまる(表1)。

  4. 中晩生カンキツ(施設・露地)では、トップジンM水和剤をベフラン液剤25へ混用してもその効果は認められず、ベフラン液剤25単独散布と同程度の効果である(表1)。

  5. ベフラン液剤25に混用するベンズイミダゾール系剤は、温州ミカンが対象の場合にはベンレート水和剤ないしトップジンM水和剤のどちらでもよいが、中晩生カンキツが対象の場合はベンレート水和剤を用いる。

[成果の活用面・留意点]
  1. 本成果により、緑かび病を主体としたカンキツ果実腐敗の効果的かつ合理的な防除対策が構築できる。

  2. 薬剤を溶かす順序がベフラン液剤25→ベンズイミダゾール系剤の場合には沈殿を生じることがある。沈殿を生じたからといって防除効果が低下することはないが、ノズルによっては噴口がつまったりすることが心配されるので、必ずベンズイミダゾール系剤を十分に溶かした後にベフラン液剤25を加える。

  3. ベンズイミダゾール系剤とベフラン液剤25との混用薬液に、さらに殺菌剤や殺虫剤あるいは殺ダニ剤を混用した場合(3種混用、4種混用)には、果実の薬液滞留部に褐変を生じることがある。必ず、ベンズイミダゾール系剤とベフラン液剤25との2剤のみの混用散布に限る。

[具体的データ]

表1 メタ・アナリシス(データ統合評価)によって得られたカンキツ緑かび病に対するベンズイミダゾール系剤とベフラン液剤25との混用散布とベフラン液剤25単用散布との腐敗果率の差a)


表2 ベンレート水和剤とトップジンM水和剤をそれぞれベフラン液剤25に混用した場合のカンキツ緑かび病に対する防除効果の比較(極早生・早生温州)a)


図1 ベンレート水和剤とトップジンM水和剤をそれぞれベフラン液剤25に混用した場合の腐敗果率の差(極早生・早生温州)a)

[その他]
研究課題名:カンキツ果実腐敗の防除技術確立
予算区分 :県単
研究期間 :1999年〜2004年


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