イチジク果実への袋掛けによるスリップス被害と腐敗果発生の防止
- [要約]
- イチジクで果実横径20mm前後の幼果に通気性のある透明の袋を掛けると、スリップス被害を防止できる。袋は収穫時まで残すと、雑菌を媒介するショウジョウバエなどが果実へ接触できないため、収穫時および貯蔵中の腐敗果の発生を抑制できる。
- [キーワード]
- イチジク、袋掛け、スリップス、腐敗果防止
- [担当]
- 福岡農総試豊前・果樹チーム
[代表連絡先]電話0930-23-0163
[区分]九州沖縄農業・果樹
[分類]技術・普及
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[背景・ねらい]
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イチジク「桝井ドーフィン」では、近年スリップス被害の多発により収穫前半の多くの果実が出荷できていない。また、果頂部の裂開の大きい「蓬莱柿」では収穫適期の果実へショウジョウバエなどが飛来し、黒かび病や酵母腐敗果病の病原菌を媒介することにより腐敗果が多発している。特に、これらの果実を混入したまま市場に出荷した場合には、産地の信用を損ない販売単価を下げる要因になっている。そこで、果実に袋掛けを行い、スリップス被害を防止するとともにショウジョウバエなどの接触を防止して腐敗果の発生を抑制する。
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[成果の内容・特徴]
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袋は通気性のある果実の着色に影響しない透明のポリプロピレン製で、大きさは縦16cm、横23cm程度とし、枝掛けして袋の余った部分は絞り込んでクリップなどで留める(図1)。
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「桝井ドーフィン」では果実の大きさが横径20mm前後の時期に袋を掛けることにより、スリップス被害を防止できる。袋は収穫期まで残しても、袋を掛けない場合と比較して果実品質に差はなく、葉擦れによる傷果が減少する(表1、一部データ略)。
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「蓬莱柿」では7月下旬から収穫期まで袋を掛けることにより、ショウジョウバエなどの接触がなくなり腐敗果が発生しなくなるとともに果実が大きくなる(表2)。
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「蓬莱柿」では7月下旬から収穫期まで袋を掛けることにより、低温貯蔵中の腐敗果が発生しにくくなる(表3)。
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[成果の活用面・留意点]
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収穫後も果実を袋に入れたまま出荷すると袋内湿度が高くなり、腐敗果の発生を助長する場合があるので、袋を外して出荷する。
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スリップス被害の多い新梢の6段目まで掛けた場合の10a当たり経費は90,000円(6円×新梢2,500本×6果)、労働時間は70時間程度かかる。
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[具体的データ]
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表1 「桝井ドーフィン」の袋掛け処理とスリップス被害状況および果実品質(2004年)
表2 「蓬莱柿」の袋掛け処理と腐敗果数および果実品質(2005年)
表3 「蓬莱柿」の袋掛け処理が貯蔵中の腐敗果発生に及ぼす影響(2005年)
図1 イチジクの袋掛け
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[その他]
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研究課題名:イチジクの大果・良食味品種の育成
予算区分 :県単
研究期間 :2004〜2005年度
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