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福島県における耐冷、耐病、良食味水稲新品種候補「東北152号」の採用
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[要約]
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「東北152号」は親である「ひとめぼれ」から耐冷性と良食味、「チヨニシキ」から
耐病性と耐倒伏性を受け継いだ系統である。福島県において
県南および浜通り平坦部の初星、チヨニシキを対象に奨励品種に採用する。
福島県農業試験場種芸部, 同農業試験場相馬支場
[連絡先] 0249-32-3020
[部会名] 水稲
[専門] 育種
[対象] 稲類
[分類] 普及
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[背景・ねらい]
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福島県において、中通りの県南および浜通りの平坦部で栽培されている「初星」は、
食味の評価は良いが、いもち病抵抗性、耐冷性が不十分であり、冷害年やいもち病
多発年には、大きな被害を受けてきた。また、ほぼ同じ地域で栽培されている
「チヨニシキ」はいもち病抵抗性が強く、多収・良質品種であるが耐冷性および
食味評価は不十分である。したがって、これらの地帯ではいもち病抵抗性、
耐冷性および食味の優れた安定多収品種が要望されている。
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[成果の内容・特徴]
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「東北152号」は、宮城県古川農業試験場において「チヨニシキ」を母、「東北143号」
(後の「ひとめぼれ」)を父として交配、育成された系統である。
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「東北152号」の出穂、成熟期は「初星」よりやや遅く、「チヨニシキ」並の中生種
である。
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稈長および穂長は「チヨニシキ」並、穂数は「初星」より少ない、中間型である。
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いもち病真性抵抗性遺伝子はPi-i と推定される。圃場抵抗性は、葉いもちが
“やや強”、穂いもちが“強”で、いずれも「チヨニシキ」並である。
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耐冷性は「ひとめぼれ」より僅かに劣る“強”である。
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耐倒伏性は「チヨニシキ」並の“やや強”である。
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収量性は「チヨニシキ」並である。玄米千粒重が「チヨニシキ」よりやや大きく、
外観上の品質は「チヨニシキ」並の良質。食味は「チヨニシキ」より優り、
「ひとめぼれ」に近い“上の中”である。
(特性一覧)
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県南および浜通りの平坦部の「初星」、「チヨニシキ」を対象とする。
普及見込み面積は6,900ha。
(普及見込み地帯)
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[成果の活用面・留意点]
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葉いもちの抵抗性は穂いもちほど強くないので、葉いもちの発生を押さえるよう、
適期防除に努める。
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初星等に比べ、穂数が少ないので、茎数および穂数の確保に努める。
[その他]
研究課題名:水稲奨励品種決定調査
予算区分 :国庫
研究期間 :平成8年(平成4年〜8年)
発表論文等:なし