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セジロウンカ個体群の密度変動の原因と発生密度の予測
- [要約]
- セジロウンカ個体群の増殖様式は、世代間増殖率の季節的変動と密度依存的な調節作用により増加型、中間型、減少型の3タイプに分かれる。導いた発生密度の予測式は県内沿岸部の1〜2世代および内陸部の第1世代に適用できる。
秋田県農業試験場・生産環境部・虫害担当
[連絡先] 018-881-3326
[部会名] 生産環境
[専門] 虫害
[対象] 水稲
[分類] 研究
- [背景・ねらい]
- セジロウンカは長距離移動によって飛来した成虫をもとにして年2〜3回発生し、本県ではイネの穂ばらみ期〜登熟期にかけて加害する。本種の発生密度は年次や地域などによって大きく変動するが、その仕組みについて明らかにし、発生予察技術の向上に資する。
- [成果の内容・特徴]
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- 増殖様式のタイプとその出現条件(図1)
@1−2世代間の増殖様式は増加型、減少型、中間型の3タイプに分けられる。
A増加型の出現条件は減少型と対照的であり、侵入盛期が早くて第1世代密度が低い。
B中間型は侵入盛期が遅く第1世代密度がより低い場合に出現する。
C第3世代は発生頻度および密度が低く、防除対象として重要でない。
- 中老齢(3〜5齢)幼虫密度変動のKey-stage(表1)
@第1世代密度変動のKey-stageは侵入世代(成虫密度)である。
A第2世代密度変動のKey-stageは1−2世代間増殖率である。
B第3世代密度変動のKey-stageは明らかでない。
- 世代間増殖率の変動原因
@世代間増殖率変動の主な原因は増殖率の季節的変動および密度依存的な調節作用である(図2)。
A次世代幼虫が増殖する確率はイネ生育ステージと共に低下し、沿岸部は内陸部より早い(図3)。
- 発生密度の予測式と適合性
@幼虫密度および世代間増殖率の変動要因の解析をもとに、導いた予測式はつぎのとおり。
logN1=2.072+logA0..........(1)
(A0:侵入世代成虫密度・・・見取り法、N1:第1世代幼虫密度・・・粘着板法4株叩き式、df=31,r=0.87、α<0.01)
logM=2.231/(1+4.054e0.111t)+0.655logA−0.549..........(2)
(図3参照、M:当世代3−5齢幼虫密度、t:前世代成虫発生盛期の50%抽穂日後日数、A:前世代成虫密度、密度調査はすべて粘着板法4株叩き式による、df=93、r=0.91、α<0.01)
A予測式の適合性(H10−12年実測値との差)は立地条件と栽培方法によって異なる。
式(1) データ不足により検証せず。
式(2) 県内沿岸部および内陸部第1世代予測幅(8例):−19.2〜+18.1頭/株・・・適合性あり。内陸部第2世代および直播栽培予測幅(6例):−114.3〜+109.6頭/株・・・適合性なし。
- [成果の活用面・留意点]
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- 式(1)の適用範囲は全県下であるが、今後検証が必要である。式(2)の適用範囲は県内沿岸部慣行栽培1〜2世代幼虫および内陸部慣行栽培の第1世代幼虫に限定される。
- 幼虫密度予測のための成虫密度調査は成虫の発生盛期(侵入世代については侵入盛期)に行う。
- 種々の立地・栽培条件下でも予測可能な方法については別途検討が必要である。
[その他]
研究課題名:農作物有害動植物発生予察事業
予算区分 :国庫補助
研究期間 :平成10〜12年
研究担当者:飯富暁康