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[背景・ねらい] |
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水稲冷害早期警戒システムでは、東北全域の気象と水稲生育状況を監視し、被害診断および対策技術を策定している。このような遠隔多数地点の発育ステージを監視するには、アメダスデータを利用して移植後から成熟期までの発育ステージを追跡できるモデルが必要である。
そこで、主稈葉齢進度モデル、幼穂の発育モデル、玄米の発育モデルを開発し、活着後から成熟期までの発育ステージを監視するとともに、発育予測情報としても提供している。この情報は栽培管理の意思決定に活用できることがモニターによって評価され、また閲覧者の中にはこれらのモデルを自分で使ってみたいという要望も多いため、これらのモデルを統合して市販の表計算ソフト上でも利用できるようにした。
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[成果の内容・特徴] |
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1. |
本モデルは主稈葉齢進度モデル、幼穂の発育モデル、玄米の発育モデルの3つを幼穂形成期と出穂期の2時期で切り替えて活着後から成熟期まで利用できる。(図1) |
2. |
主稈葉齢進度モデルでは穂首分化期、幼穂形成期、減数分裂期を、幼穂の発育モデルは減数分裂期、出穂期を、玄米の発育モデルは成熟期をそれぞれリアルタイムに予測できる。 |
3. |
基本設定メニューに、アメダス地点、予測開始日、開始日の葉齢、主稈総葉数を入力するだけで、準平年と当該年の結果を比較することができる(図2)。早期警戒システムにおける71アメダス監視地点、あるいはユーザ設定として独自の気温データを使用できる。 |
4. |
モデルによる予測が生育と適合しない場合は、応用設定メニューで観察した幼穂形成期、出穂期を入力することにより、それ以降の発育ステージが予測できる。 |
5. |
本モデルは追肥、深水管理、いもち病防除、刈取等の実施時期の意思決定支援、ならびに障害不稔の発生や遅延型冷害の可能性等の判断に利用できる。 |
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[成果の活用面・留意点] |
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1. |
水稲冷害早期警戒システムのホームページ ( http://tohoku.naro.affrc.go.jp/cgi-bin/reigai.cgi)から71アメダス監視地点の気温データをダウンロードすることができる。 |
2. |
本モデルの予測誤差は2,3日と推定されるが、利用圃場における適合度を常時観察して利用すること。 |
3. |
主稈葉齢進度モデルは有効積算気温で予測するため、日長感応性の強い品種では注意すること。 |
4. |
本モデルはMicrosoft Excelが動作する環境で使用できる。 |
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