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栄養系デルフィニウム「フォルカフレーデン」の挿し芽による増殖法と生産性

[要約]

「フォルカフレーデン」は挿し芽による自家増殖が可能であり、5月の挿し芽により定植可能な苗が8月に得られる。8月定植で、10月からの切り花収穫が可能で、秋冬期と翌春の二度切り栽培ができる。生産性はメリクロン苗と同等以上である。

[キーワード]

デルフィニウム、フォルカフレーデン、挿し芽、生産性

[担当] 山形砂試・野菜花き畑作研究
[連絡先] 電話0234-91-1250  電子メールsashi@pref.yamagata.jp
[区分] 東北農業・野菜花き
[分類] 技術・普及

[背景・ねらい]
 栄養系デルフィニウムは品質が良く人気が高いが、種苗費が高く導入のネックとなっている。このため、「フォルカフレーデン」の挿し芽による自家増殖方法と挿し芽苗利用による低コストな生産体系を確立する。
[成果の内容・特徴]
  1. 挿し芽苗の生産方法は次のとおりである(表1)。
    1. 前年夏秋期にメリクロン苗を定植し、二度切り終了(5月)後に定植予定苗数の1〜2割(1株あたり採穂数20本、挿し芽活着率80%、鉢上げ後生存率70%)の切り下株を堀上げ、挿し芽を行う。
    2. 挿し穂基部に短縮茎の一部を付けるよう鋏で調製し、約1cm深に挿す。用土は砂+調整ピートモスの等量混合(容積比)が根の発達が優れる(写真1)。
    3. 挿し芽20〜30日後2.5号ポットに鉢上げし、抽だい茎を切り落としながら約40%遮光下の雨よけハウス等で涼しく管理すると8月に定植可能な苗となる(写真1)。
    4. 以上の方法で挿し芽苗を生産すると、種苗費はメリクロン苗(約350円)の3分の1となる(表2)。
  2. 挿し芽苗による切り花生産性は次のとおりである(表1)。
    1. 8月中旬に定植すると10月上旬から、8月下旬では10月下旬から切り花収穫が可能である。年内収穫終了後、切り下株を1ヶ月程度低温遭遇させ、再度加温・電照することで翌春3月下旬から二番花が収穫できる。(図1)。
    2. 二度切りした場合の商品収量はメリクロン苗と同等以上である。(表3)。
[成果の活用面・留意点]
  1. 自家増殖に使用する品種はパテントのない「フォルカフレーデン」に限り、健全株を使用する。
  2. 定植後はメリクロン苗と同様に管理する。
[具体的データ]

[その他]
研究課題名 主要花きの省力化と作期拡大技術の開発、環境と調和した花き作期拡大技術の開発
予算区分 県 単
研究期間 1998〜2002、2003〜2005年度
研究担当者 菅原 敬、佐藤裕則