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ブドウ「シャインマスカット」無核栽培におけるホルクロルフェニュロン液剤の加用効果

[要約]

ジベレリン水溶剤を2回処理する「シャインマスカット」の無核栽培において、1回目の処理時にホルクロルフェニュロン液剤2〜5ppmを加用すると着粒数が増加する。

[キーワード]

ブドウ、「シャインマスカット」、無核栽培、ホルクロルフェニュロン、ジベレリン

[担当]

山形農総研セ・農生技試・果樹研究科

[代表連絡先]

電話 0237-84-4125

[区分]

東北農業・果樹

[分類]

技術・参考

[背景・ねらい]

ブドウ新品種「シャインマスカット」は外観、食味とも良く、無核栽培が可能な白系の大粒種で、今後の普及が期待されている。ここでは「シャインマスカット」の無核栽培において、高品質安定生産を図るための植物成長調整剤の効率的利用法の開発を目的として、ホルクロルフェニュロン液剤の着粒向上効果を明らかにする。

[成果の内容・特徴]

  1. 1回目(満開時〜満開3日後)のジベレリン水溶剤処理時にホルクロルフェニュロン液剤2〜5ppmを加用すると着粒数が増加する(表1図1)。
  2. 加用する濃度による効果の差は小さく、低濃度でも十分な効果が得られる。また、花穂整形で主穂、支梗のどちらを利用した場合でも着粒向上効果が得られる(表1)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 「シャインマスカット」の無核栽培では、ストレプトマイシン液剤1回とジベレリン水溶剤2回の処理で十分な商品性が得られる。ホルクロルフェニュロン液剤の加用は、強樹勢で花振るいが予想される場合や、主穂先端の形態異常により支梗利用が多くなった場合の着粒向上対策として有効と考えられる。
  2. ホルクロルフェニュロン液剤を加用した場合、着粒数が多くなり大房となりやすいので、適正な房の大きさや着果量に留意する。また、果皮色や果梗色の進み(黄化)、糖度上昇がやや遅れる傾向があるので、収穫時期にも注意が必要である(表2)。
  3. 本試験は雨除け条件下で実施した。なお、無核化のための植物成長調整剤の使用は、ジベレリン水溶剤の他、開花始期にストレプトマイシン液剤を200ppmで散布した。
  4. 本試験は、ブドウ系統適応性検定試験における樹(ウイルス;GRSPaVを保毒)を供試して行った結果である。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名
ぶどう新品種「シャインマスカット」の安定生産と長期貯蔵技術の開発
予算区分
県単
研究期間
2005〜2007年度
研究担当者
工藤 信