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水稲新品種「つや姫」の特別栽培における施肥管理

[要約]

水稲新品種「つや姫」の特別栽培は、基肥窒素3〜4kg/10a、穂肥窒素1.5kg/10a(出穂30〜25日前)とし、堆肥の窒素有効化量や土壌の可給態窒素量に応じて減肥することにより、良食味で目標収量(570kg/10a)が得られる。また、全量基肥専用肥料を用いた省力化が可能である。

[キーワード]

水稲 つや姫 特別栽培 施肥 堆肥

[担当]

山形農総研セ・食の安全環境部

[代表連絡先]

電話 023-647-3500

[区分]

東北農業・基盤技術(土壌肥料)

[分類]

技術・普及

[背景・ねらい]

水稲新品種「つや姫」の肥培管理法について検討し、玄米中粗タンパク質含有率等を指標に良食味特性を維持しながら商品価値の高い特別栽培米生産の資とする。

[成果の内容・特徴]

  1. 有機態窒素50%以上含む肥料を用いて、窒素3〜4kg/10a、リン酸3〜4kg/10a、カリ3〜4kg/10aを基肥施用し、出穂30〜25 日前に窒素1.5kg/10a、カリ1.5kg/10a を追肥することで、玄米中粗タンパク質含有率7%以下で570kg/10a の収量を得ることができる(表1)。
  2. 堆肥を施用した場合、水稲の生育量が増大し、玄米中粗タンパク質含有率が高まるが、堆肥の窒素有効化率に従い基肥量を減量することで生育が適正に維持され、玄米中粗タンパク質含有率が低下する(図1)。
  3. 水田土壌の可給態窒素が多いと玄米中粗タンパク質含有率が高まる傾向にあり、可給態窒素の多い水田では基肥窒素量を減肥することで、より安定して玄米中粗タンパク質含有率7.0%以下、収量570kg/10a を達成できる(図2)。中粗粒質土壌では可給態窒素19mgN/100g 以上の場合、細粒質土壌では可給態窒素26mgN/100g 以上の場合、基肥窒素量を1kgN/10a 以上減肥する。
  4. 体系施肥(基肥+追肥)窒素量に相当する全量基肥専用肥料(有機態窒素50%)を施肥することにより、玄米中粗タンパク質含有率7%以下とし、無追肥で570kg/10a の収量を得ることができる(図3)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 沖積土壌に適用する。
  2. 有機物に由来する窒素を50%含む特別栽培用肥料を用いた「つや姫」の特別栽培に適用する。
  3. 追肥にあたっては生育状況を把握し、生育量、葉色に応じて施肥量を減ずる。
  4. リン酸、カリは下限量であるので、診断に基づく土壌養分の維持に努める。
  5. 堆肥の施用にあたっては、牛ふん堆肥の場合は500kg/10a、豚ぷん堆肥は300kg/10a、鶏ふんは50kg/10a を上限とし、地力の高い圃場では施用しない。
  6. 文、図、表中に記載する玄米中粗タンパク質含有率は全て乾物当たりの数値。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名
新品種「つや姫」の技術的評価と栽培法の確立
予算区分
県単
研究期間
2007〜2010 年度
研究担当者
齋藤寛、横山克至、熊谷勝巳、森静香、越智昭彦