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リンゴ「ファーストレディ」の早期成園化と着果管理・収穫法
[要約]
「ファーストレディ」の高接ぎ一挙更新は、高接ぎ3年目以降10a当たり2〜3t程度の収量が見込まれ、早期成園化が可能である。果実肥大・糖度からみた着果程度は4頂芽に1果が適する。収穫時期は「ファーストレディカラーチャート」を用い、地色で判断する。
[キーワード]
リンゴ、 ファーストレディ、早期成園化、栽培管理、カラーチャート
[担当]
山形県農業総合研究センター・園芸試験場・果樹部
[代表連絡先]
TEL 0237-84-4125
[区分]
東北農業・果樹
[分類]
普及成果情報
[背景・ねらい]
山形県育成のリンゴ「ファーストレディ」の早期産地化を図るため、高接ぎ更新及びわい性台木利用による早期成園化技術を開発するとともに、適正な着果管理及び収穫時期を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
- 高接ぎ一挙更新により、高接ぎ3年目以降10a当たり2〜3t程度の収量が見込まれ、マルバカイドウ台苗木を新植する場合より成園化までの期間を大幅に短縮できる(図1)。
また、JM7台苗木の6年生樹では10a当たり2t程度の収量が見込まれ、マルバ台樹より花芽の着生が早く、早期の収量性が高い(図1)。
- 果実肥大・糖度からみた摘果程度は、「ふじ」よりやや多めで「つがる」等と同程度の4頂芽に1果が適する(図2)。
「ファーストレディ」は収穫前落果がみられるので、1−ナフタレン酢酸ナトリウム水溶剤2,000 倍(商品名:ヒオモン水溶剤)を収穫開始9〜14 日前頃またはジクロルプロップ液剤1,500倍(商品名:ストッポール液剤)を収穫開始14 日前頃に散布することで、落果を低減することができる(図3)。
- 収穫時期は、地色で判断する。市場流通を考えた場合、「ファーストレディカラーチャート」で「2」程度を収穫始め、「3」〜「4」程度を収穫盛期の目安とする(表1)。
[成果の活用面・留意点]
- 普及対象 リンゴ「ファーストレディ」生産者 (種苗は2009 年より国内一般流通)
- 普及予定地域・普及予定面積 早生新品種の導入地域・山形県150ha(H30)
- その他
- 高接ぎに用いた中間台は、王林/マルバ(22 年生)、ふじ/マルバ(17 年生)、さんさ/マルバ(23 年生)、つがる/マルバ(37 年生)である。
- JM7台苗木の栽植距離は5m×3m(10a当たり66 本)、マルバカイドウ台苗木の栽植距離は8m×4m(10a当たり31 本)である。
- 収穫時期の判断に用いた果実は、場内産の「ファーストレディ」で、いずれの年度とも収穫開始14 日前頃にジクロルプロップ液剤(商品名:ストッポール液剤)1,500 倍を散布した。
[具体的データ]




(山形県農業総合研究センター園芸試験場)
[その他]
- 研究課題名
- リンゴ早生有望品種「ファーストレディ」の早期成園化と安定生産技術の確立
- 予算区分
- 県単
- 研究期間
- 2009〜2011 年度
- 研究担当者
- 佐藤光明・斎藤芳郎・仲條誉志幸・今野勉・小野寺玲子・高橋和博
- 発表論文等
- 佐藤ら(2012)東北農業試験研究 第65 号:印刷中