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良食味の水稲新品種「青天の霹靂」の採用

[要約]

「青天の霹靂」は、青森県での熟期が“中生の中”に属する粳種で、「つがるロマン」に比べ食味・玄米品質が優れる。併せて、いもち病抵抗性・障害型耐冷性も強い。2015年度から青森県の奨励品種として採用される。

[キーワード]

イネ、青天の霹靂、良食味、高品質、青森県奨励品種

[担当]

青森県産業技術センター農林総合研究所・水稲品種開発部・藤坂稲作部

[代表連絡先]

電話0172-52-4312

[区分]

東北農業・稲(稲品種)

[分類]

普及成果情報

[背景・ねらい]

青森県産米は、業務用として利用されることが多いことから、特に県外での認知度が低い。青森県では、県を代表するブランド米を育成し、県外での認知度を高めることにより、青森県産米全体の評価を向上させることを目指している。このため、「つがるロマン」よりも食味・品質が優れ、更に品種特性が安定して発揮できる、栽培特性が優れる品種の導入が望まれている。

[成果の内容・特徴]

  1. 「青天の霹靂」の出穂期は「つがるロマン」より1日程度遅く、成熟期は「つがるロマン」並で、青森県での熟期は“中生の中”に属する粳種である(表1)。
  2. 稈長は「つがるロマン」よりやや短く、耐倒伏性がやや優る。また、穂長・穂数は「つがるロマン」並である(表1)。
  3. いもち病ほ場抵抗性は葉いもちが“極強”、穂いもちが“強”で、「つがるロマン」よりもそれぞれ2ランク強い。障害型耐冷性は“強”で「つがるロマン」よりも1ランク強い(表2)。
  4. 玄米千粒重は「つがるロマン」よりやや重い。収量は「つがるロマン」並かやや少ない(表1)。
  5. 玄米品質は「つがるロマン」よりやや優る(表1)。
  6. 食味官能調査の評価は、「つがるロマン」よりも粘りが強く、硬さがやや柔らかく、総合評価が優る(表3)。

[普及のための参考情報]

  1. 普及対象:青森県内生産者。
  2. 普及予定地域・普及予定面積:津軽中央地帯(山間冷涼地帯を除く)及び津軽西北地帯とし、特に良食味米生産が可能な水田・生産者に作付けを限定する。2015年度の普及面積は約550haである。
  3. その他:特に良食味米生産が可能な水田・生産者に作付けを限定するために、生産者にいくつかの栽培上(土壌診断に基づく土壌改良、農薬使用回数の制限、種子更新、栽培管理記録の整備等)及び出荷上(玄米タンパク質含有率等)の条件を設ける。

[具体的データ]

(地方独立行政法人 青森県産業技術センター農林総合研究所)

[その他]

研究課題名
あおもり米優良品種の選定試験
予算区分
県単
研究期間
2012〜2014年度
研究担当者
上村豊和、森山茂治、前田一春、鈴木健司、神田伸一郎、今智穂美、須藤充、須藤弘毅、若本由加里