研究所トップ≫研究成果情報≫平成27年度
リンゴ褐斑病のチオファネートメチル剤耐性菌に対しシプロジニル水和剤は有効である
[要約]
シプロジニル水和剤がリンゴ褐斑病のチオファネートメチル剤耐性菌および感受性菌に対し治療効果を示すことが明らかになり、褐斑病のチオファネートメチル剤耐性菌対策としてシプロジニル水和剤が利用できる。
[キーワード]
リンゴ褐斑病、耐性菌対策
[担当]
秋田県果樹試験場
[代表連絡先]
電話 0182-25-4224
[区分]
東北農業・果樹
[分類]
普及成果情報
[背景・ねらい]
チオファネートメチル(以下TM)水和剤はリンゴ褐斑病に対し高い防除効果を示すが、耐性菌の出現により防除効果の低下がみられ、褐斑病の多発要因となっている。
そこで、褐斑病に対し治療効果を有する薬剤を検索し、治療剤の効果的な使用時期である 7月下旬に組み入れた防除での有効性を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
- TM剤感受性リンゴ褐斑病に対して、シプロジニル水和剤2,000倍散布は治療効果が認められる(図1)。
- TM剤耐性リンゴ褐斑病に対して、シプロジニル水和剤2,000倍散布は治療効果が認められる(表1)。
- TM剤耐性褐斑病菌の優占ほ場では、7月下旬の慣行防除剤にシプロジニル水和剤2,000倍を加用散布すると、褐斑病に対し高い防除効果が得られる(図2)。
[普及のための参考情報]
- 普及対象:リンゴ生産者
- 普及予定地域・普及予定面積:東北地方27,678ha
- ベノミル水和剤はTM剤と同一系統剤であり、交差耐性を示すため、褐斑病に対しベノミル水和剤の効力低下が認められる園でも、シプロジニル水和剤散布は有効である。なお、シプロジニル水和剤は輪紋病や炭疽病には効果が劣ることから、主剤(有機銅剤など)に加用するか、特別散布剤として利用する。
[具体的データ]
(佐藤裕)
[その他]
- 研究課題名
- リンゴ褐斑病に対する治療防除剤の利用法に関する研究
- 予算区分
- 受託
- 研究期間
- 2000 〜 2015 年度
- 研究担当者
- 佐藤裕
- 発表論文等
- なし