日本産糸状菌類図鑑 No.6 before← →next ↑top
バランシア・エピファイト
[Balansia spp. =Ephelis japonica Henn.]
分類:子のう菌門,核菌綱,ボタンタケ目,バッカクキン科
関東以南に分布し,スズメノヒエ,バミューダグラス,カゼクサなど数多くの暖地型イネ科植物(C4植物)に寄生する。すべての感染植物でミイラ穂病を引き起こし,葉表面にも条状に菌叢を形成するが,植物体が大幅に弱まることはない。感染植物は耐虫性,環境ストレス耐性が高まるが,効果はネオティホディウム・エンドファイトほどではない。種子伝染しない。
性状(機能):植物表生菌(エピファイト),植物病原菌
病徴→JPEG(35kb)
形態: 有性世代: Balansia属。感染植物の穂を菌糸で綴り合わせる形でミイラ化し,その表面の形成された偽菌核上に球形の子座を形成する。子座表面には楕円形の子のう殻を埋没して形成し,内部には円筒形の子のう及び無色,糸状,大きさ20×1μ程度の子のう胞子を形成する。 無性世代:Ephelis japonica. 菌糸束上の分生子柄上に,無色,針状,単胞,大きさ15-20×1μ程度の分生子を多数形成する。 |
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分生子(核染色) | 葉表面の菌糸束と分生子 | 培養菌叢 |
標本番号 | 菌種 | 宿主和名 | 宿主学名 | 症状 | 採集地 | 採集年月日 | 採集者 |
135-1-33 | Ephelis japonica | スズメノヒエ | Paspalum thunbergii | ミイラ穂病 | 栃木県西那須野町 | 1995.5 | 月星隆雄 |
135-1-34 | 〃 | パラグラス | Brachiaria mutica | 〃 | 沖縄県石垣市 | 1998.3 | 〃 |
(記述および図版提供者:月星隆雄,農環研,微生物分類研究室,2002)
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