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情報:農業と環境 No.61 (2005.5)
独立行政法人農業環境技術研究所

牧野知之氏: 平成17年度若手科学者賞を受賞

当研究所の職員、牧野知之氏は平成17年度科学技術分野の文部科学大臣表彰において、若手科学者賞を受賞した。この賞は「萌芽(ほうが)的な研究、独創的視点に立った研究等、高度な研究開発能力を示す顕著な研究業績をあげた40歳未満の若手研究者」を対象とするもので、科学技術週間の行事として4月20日に表彰式が行われた。受賞業績、所属および研究業績の概要は以下の通りである。

農業環境分野における汚染土壌の修復に関する化学的研究
牧野知之(化学環境部 主任研究官)

研究業績の概要

わが国には、廃鉱山等からの重金属によって汚染された農耕地が存在しており、土壌修復対策が緊急に求められている。

氏は、土壌中の重金属の挙動について化学的な面から研究を進め、マンガン酸化物中に共存している微量重金属が土壌の乾燥に伴って溶出する現象を見いだし、マンガンの酸化還元が他の重金属の挙動に及ぼす影響を明らかにした。これらの基礎的知見を基に、水田土壌中のカドミウムを除去するため、無機塩類を用いた化学的洗浄による汚染土壌修復技術を開発するとともに、土壌粒子の分散と凝集の研究から、凝集剤を利用した水田代かき時のダイオキシン流出抑制技術を開発した。

本研究成果は、農業をめぐる安全・安心な環境の確立と、国民の食に対する安全確保に寄与するものとして期待される。

主要論文

1) Determination of Optimal Chromium Oxidation Conditions and Evaluation of Soil Oxidative Activity in Soil. Journal of Geochemical Exploration, 64 (1-3), p435-441.

2) Influence of Soil-Drying under Field Condition on Exchangeable Manganese, Cobalt and Copper Contents. Soil Science and Plant Nutrition, 46 (3), p581.

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