11月3日、東京大学弥生講堂において、シンポジウム「モンスーン・アジアの農業とフード・セキュリティー」が開催されました。
このシンポジウムは、レスター・ブラウン氏を基調講演者として招き、フード・セキュリティーについて多角的に議論することによって、人類社会が持続可能な発展を遂げるためモンスーン・アジアの農業に期待される役割や内在する課題に対して日本の農学・農業技術は何をなしうるか考えることを目的として行われたものです。農業環境技術研究所が主催し、東京大学大学院農学生命科学研究科、農学会、日本環境財団、環境文化創造研究所の共催、国際水田・水環境工学会(PAWEES)および日本農学会の後援、ワールドウオッチ・ジャパンの企画協力により開催されました。
参加者の総数は321名で、内訳は、農業環境技術研究所36名、他の独法・国立研究機関32名、地方自治体5名、民間39名、大学139名、行政部局15名、ほか55名でした。
プログラム
主催者あいさつ
基調講演: レスター・ブラウン(アースポリシー研究所長)
パネルディスカッション
コーディネーター: 小山修(国際農林水産業研究センター)
パネリスト: レスター・ブラウン
上沢正志(農業環境技術研究所)
川島博之(東京大学大学院農学生命科学研究科)
新藤純子(農業環境技術研究所)
根本圭介(東京大学アジア生物資源環境研究センター)
渡辺紹裕(人間文化研究機構総合地球環境学研究所)
フロアーとのディスカッション
閉会あいさつ
議論の概要
レスター・ブラウン氏の基調講演では、「人類の生産活動が、地球の自然システムの限界を超えつつある」中で、世界のフード・セキュリティーの崩壊を防ぐために、1) アフリカのHIV/エイズの流行に歯止めをかけること、2) 一人当たりの農地の減少に歯止めをかけること、3) 中国の砂漠化の防止、4) 過耕起による土壌侵食の防止、5) 温暖化の防止、6) 地下水の過剰な揚水や河川からの過大な取水の抑制、7) 工業化や都市化にともなう農業用水や農地の転用の規制などが早急に必要であることが提起されました。
パネリストからは、アジアにおけるイネ生産や水資源などの環境の現状と将来予測が紹介され、アジアにおける食料生産と環境問題に関連する課題について、多角的に、活発な議論が行われました。