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情報:農業と環境 No.70 (2006.2)
独立行政法人農業環境技術研究所

牧野知之氏: 平成17年度若手農林水産研究者表彰を受賞

1月24日、農林水産省農林水産技術会議は平成17年度若手農林水産研究者表彰の受賞者を発表しました。受賞者は次の3名の方でした。

独立行政法人 農業環境技術研究所 牧野知之 氏

(業績名)土壌洗浄法によるカドミウム汚染水田の修復技術に関する研究

独立行政法人 農業・生物系特定産業技術研究機構 作物研究所 矢野裕之 氏

(業績名)新しい網羅的タンパク質解析手法の開発とアレルゲン検出技術への応用

国立大学法人 東京海洋大学 吉崎悟朗 氏

(業績名)生殖細胞の異種間移植を利用した魚類養殖法に関する研究

この賞は「農林水産業及び関連産業に関する研究開発について、その一層の発展及びそれに従事する若手研究者の一層の意欲向上に資するため、優れた功績をあげた若手研究者、又は将来の技術革新等につながる優れた研究業績をあげた若手研究者を農林水産技術会議会長が表彰するもの」です。対象者は、農林水産業及び関連産業の研究開発の業務に従事する4月1日時点において40歳未満の個人(独立行政法人、大学、都道府県、民間等の研究者)に限られます。今年度の表彰はその第1回です。

表彰式と受賞講演は、2月2日に虎ノ門パストラルにおいて行われます。詳細は、農林水産技術会議報道発表(2006年1月24日) (http://www.s.affrc.go.jp/docs/press/2006/0124.htm) をご覧ください。

当研究所の牧野知之氏の受賞業績とその概要は次の通りです。

土壌洗浄法によるカドミウム汚染水田の修復技術に関する研究

牧野知之 (独立行政法人 農業環境技術研究所 主任研究官)

業績の概要

わが国には、廃鉱山や旧製錬所等からのカドミウムによって汚染された水田が存在しているが、既存の修復技術である客土法はコストが高く、未汚染土壌の確保が国難である等の理由で実施が困難となりつつある。一方、コーデックス委員会において、米等の食品中カドミウム含量の国際的な基準値が現在策定中であることから、低コストなカドミウム汚染土壌の修復技術の開発が緊急に求められている。

本研究では、水田土壌に塩化第二鉄を添加すると、生成する水素イオンと塩化物イオンの働きによって土壌に吸着したカドミウムが効率よく抽出されることを明らかにした。この原理に基づき、カドミウム汚染水田に塩化第二鉄を施用・洗浄し、さらに、カドミウムを含む廃液を現場で処理する実用的な土壌洗浄技術を開発した。本法実施後の水田で栽培した水稲の収量減少などの悪影響はなく、稲わら及び玄米中のカドミウム含量は大幅に低減することから、本法は食品中のカドミウム濃度低減における有効な対策として期待される。

これらの成果は、国産米の安全な生産環境を確立し、国民の食に対する安全確保に大きく寄与するものである。

主要な特許・論文

○ 2005年特許出願公開169381号「重金属汚染土壌の浄化方法」

○ Restoration of Cadmium Contamination in Paddy Soils by Washing with Chemicals I, Environmental Pollution, in press (2006)

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