情報:農業と環境 No.81 (2007.1)
独立行政法人農業環境技術研究所
農業生産者NPO 「田舎のヒロインわくわくネットワーク」 と農環研研究者との意見交換・交流会が開催された
平成18年度に開始された第3期科学技術基本計画では、研究の内容や成果をわかりやすく国民に説明すること、国民のニーズを研究者等が共有するために双方向のコミュニケーションを推進することが重視されています。
NPO法人「田舎のヒロインわくわくネットワーク」は、農家・農村・農業に携わる女性たちの全国的ネットワークです。11月30日の午後および12月1日の午前に、同法人の24名のメンバーが農業環境技術研究所を訪問し、研究者との意見交換・交流会を開催しました。
「わくわくネットワーク」からは、生産者の視点から農業と環境に関する話題を提供していただき、研究所からは農業現場にかかわりの深い環境問題について紹介しました。また、2日目の朝には、短時間でしたが、展示室や研究施設を見学していただきました。
プログラムは次のとおりです:
(1) 開会あいさつ 佐藤洋平 農環研理事長 および 山崎洋子 ネットワーク理事長
(2) 「わくわくネットワーク」からの話題提供と農環研からの研究紹介、質疑
- 「生物天敵」 梶谷きよみ さん (広島県三原市: ハーブ、七草生産)
- 「環境保全型農業」−植物保護研究の現状− (平井 研究領域長)
- 「水と植物と環境」 岩田康子 さん (滋賀県大津市: ブルーベリー生産、レストラン経営)
- 「地下水と河川水の硝酸汚染」 (菅原 研究領域長)
- 「作物環境と地球温暖化」 越 信子 さん (長野県須坂市: 巨峰、リンゴ生産)
- 「温暖化と農業」 (野内 研究領域長)
- 「遺伝子組換え作物」 江原美津子 さん (群馬県高崎市: 養豚)
- 「遺伝子組換え作物の安全性評価」 (塩見 研究コーディネータ)
- 「果樹と農薬」 田中 泉 さん (長野県中野市: リンゴ、桃生産)
- 「どうして農薬を使うの?」 (與語 研究領域長)
- 「水俣と土壌汚染」 吉野啓子 さん (熊本県水俣市: 茶生産・販売)
- 「農作物のカドミウム汚染の抑制」 (小野 研究領域長)
(3) ディスカッション
(4) 閉会あいさつ 上路 農環研理事
質疑とディスカッションで議論された問題、要望の一部を以下に紹介します:
- 研究の内容や成果を、もっとビジュアルに、わかりやすく知らせてほしい
- 有機農業や畜産廃棄物リサイクルが環境に与えるメリットやデメリットについて、もっと総合的に評価する必要がある
- 環境にやさしい農業技術を生産者が選択するための指標がほしい
- 地球温暖化が果樹、野菜、米などの生育・生産に与える影響を予測してほしい
- 土着の天敵生物の働きを活用するための方法を教えてほしい
- 遺伝子組換え作物を開発・利用することには、どのようなメリットがあるのか
写真1 「わくわくネットワーク」 からの参加者
写真2 農環研 からの参加者
写真3 「わくわくネットワーク」 山崎理事長
写真4 農環研 佐藤理事長