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農業と環境 No.120 (2010年4月1日)
独立行政法人農業環境技術研究所

農業環境技術研究所連携推進会議が開催された

平成22年3月5日、東京 (会場:ベルサール神田) において、平成21年度農業環境技術研究所連携推進会議を開催しました。

この会議は、農業環境研究にかかわる連携・協力を広く推し進めるため、行政部局、独立行政法人研究機関、公立試験研究機関、大学、民間等の関係者に出席いただき、意見交換を通じて今後の連携推進に資することを目的としています。

会議には、合計63名(行政部局9名、試験研究独法10名、都道府県8名、民間11名、農業環境技術研究所25名)の出席者がありました。

最初に、農業環境技術研究所の平成21年度の主要業務実績および主要研究成果の報告、続いて民間・大学・都道府県等と農業環境技術研究所との連携状況について報告を行いました。その後、農業環境技術研究所との連携の事例と成果について、民間・都道府県から「化学洗浄法によるカドミウム汚染水田の浄化」、「環境中のヨウ素129のモニタリング手法の開発」、「都道府県と農環研との連携の事例と成果」と題して、ご講演いただきました。

意見交換と総合討論では、農業環境技術研究所の活動について、多数の要望やコメントをいただきました。その中から、主要なものを以下に紹介します。

<民間から>

・研究所から産業界・経済界へのアプローチが少ない。研究所からオピニオンを出してもらえれば、それに沿って社内でも提案しやすい。

・研究成果のトレンドがない印象。産業・市場との関係から時代を読むことが必要。農村で産み出されるクレジットは何か、方法論を期待。

・独法研究所には、炭素蓄積の効果や生物多様性の効果についてのお墨付きになるような成果を期待。

・クレジットに関わるデータについて農業分野ではバラツキが大きいが、想定量の10 %をカウントするなどコスト計算を可能にできないか。

・研究の出口、最後の利用先を見つめながら研究を進めることが必要。

・研究所は、雇用創出、日本経済にどれだけ具体的に貢献するのか、そういう切り口をはっきりしてほしい。

・コスト・経済的観念などは、研究とは異なるスキルである。総合的考えを体験することが必要。

<都道府県から>

・民間からのコストの話には刺激を受けた。県では、研究者の専門性すら継承できない状況。

・独法研究所との共同研究のメリットは、研究員のスキルとモチベーションのアップ、外部資金の獲得。現場への普及や行政への提言など農環研への期待大。

・県の研究テーマは、県で問題になっているものに限られ、基盤的・長期的研究の実施が困難。農環研には、より深い基盤的研究をお願いしたい。

<試験研究独法から>

・女性研究者支援の取り組みや国際的ベンチマークによる評価の考え方等に関心。今後とも情報交換を期待。

・イノベーションへのアプローチについて、従来と真逆の考え方が求められているところ、協力して取り組んで行きたい。

・生物多様性について、OECD では畑作が議論の中心。水田に関する生物多様性の成果は、日本から世界に積極的に発信する必要があり、協力して行きたい。

<行政部局から>

・民間からの意見で、生物多様性に関心が高いことを再認識。

この会議で出席者からいただいた要望やコメントは、農業環境技術研究所の今後の研究推進および連携推進の参考とさせていただきます。

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