本書、Generic handbook for assisting in the management of contaminated food production systems in Europe following a radiological emergency (PDF 7.4 MB) (ページのURLが変更されました。2015年5月) は、放射能事故で汚染された食料生産システムを管理するための包括的な手引き書であり、2002−2006年に欧州委員会のもとで行われた研究プロジェクト(European approach to nuclear and radiological emergency management and rehabilitation strategies:EURANOS、原子力・放射線危機管理と再生戦略に対する欧州提案)において作成された。
本書は、事前計画、対策、訓練の3部から構成されている。
全部で58の管理手法のそれぞれについて、核種別の適用可能性、実施時期、実施にかかる有効性、各種の制約とコスト、被ばくの増大、廃棄物の発生と処理、副次的効果など、40数項目に上る特性の要点を記したデータシートを収録している(第3章)。これらの管理手法をどのように選択・結合し、復旧戦略を構築するかについて、必要な8つのステップを提示してその手引きを示している(第5章)。2つの実施例の解説も含む(第6章)。
この手引き書は、国・地方自治体、放射線防護・農業の専門家、農業・食料生産部門の代表者、さらに、小売業、消費者、廃棄物管理者など、関係する利害関係者の参加により作成され、また、これらの機関・団体を読者として書かれている(第1章)。意思決定へのガイドを提供すること、すべての利害関係者の間での建設的な対話を推進することなどを目的としている。
EURANOS Food Handbook の目次(仮訳)
第1章 フード・ハンドブック(The Food Handbook)について
1.1 フード・ハンドブックの目的
1.2 読者
1.3 適用
1.4 文脈(Context)
1.5 範囲(Scope)
1.6 フード・ハンドブックの構造
1.7 フード・ハンドブックに含まれている食料生産システム
1.8 フード・ハンドブックで取り上げていない食料生産システム
1.9 食品の放射線防護基準
1.10 一般的な放射線防護の原理と基準
1.11 専門用語
1.12 引用文献
第2章 管理手法の実施に影響する要因
2.1 時間的および空間的な要因
2.2 有効性
2.3 増分放射線量
2.4 廃棄物の廃棄に関わる問題
2.5 社会的および倫理的要因
2.6 環境への影響
2.7 経済的コスト
2.8 欧州の法律制定
2.9 情報およびコミュニケーションの問題
2.10 引用文献
第3章 管理手法のデータシート
3.1 データシートの定型書式(テンプレート)
3.2 管理手法
第4章 事故前の復興設計
第5章 管理戦略の構築法
5.1 管理手法の選択と組み合わせにおける重要な手順
5.2 選択表
5.3 複数の放射性核種を含む状況での適用可能管理手法
5.4 各管理手法における重要な制約因子のチェックリスト
5.5 汚染された食料生産のスケールの観点からの管理手法の適用可能性
5.6 管理適用者の増分放射線量を伴う管理手法
5.7 利害関係者の意見に基づいた管理手法の適用可能性
5.8 引用文献
第6章 ハンドブックの使用例
6.1 例1: Windscale scenario
6.2 例2: Simulated scenario in Belgium with mixed source term
6.3 引用文献
第7章 用語集