前の記事 | 目次 | 研究所 | 次の記事 2000年5月からの訪問者数(画像)
農業と環境 No.139 (2011年11月1日)
独立行政法人農業環境技術研究所

アジアにおける農業による窒素循環の増大:窒素発生削減のための技術的問題に関する MARCO-FFTC 国際セミナー が開催された

9月27日から30日まで、台北(台湾)において、アジアにおける農業による窒素循環の増大:窒素発生削減のための技術的問題に関する MARCO-FFTC 国際セミナー が開催されました。

アジアの多くの国では、1980年ごろから食料の増産のために大量の窒素肥料が使用されるようになり、これによって大幅な単収の増加が実現しました。一方、過剰な窒素肥料の利用は、余剰窒素の地下水や河川への流出、温室効果ガスの発生など、環境問題の原因となります。アジアでもすでに深刻な水質汚染が発生している地域があることが知られています。

この国際セミナーは、農業由来の窒素による環境への影響を緩和するための効果的な対策の策定をめざして、アジア各国の農業、食料需給に伴う窒素の環境への負荷の現状に関して理解を促進し、窒素の利用効率の向上や影響緩和のための技術・方策についての情報を共有することを目的として開催されました。

セミナーには、9か国・地域(日本、台湾、韓国、インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナム、オーストラリア)から、約60名の参加がありました

開催日時: 2011年9月27日(火曜日)〜30日(金曜日)

開催場所: 国立台湾大学(台北、台湾)

主催: 農業環境技術研究所アジア太平洋食糧肥料技術センター (FFTC)国立台湾大学

基調講演では、まず、International Nitrogen Initiative (INI) (最新のURLに修正しました。2012年8月) からの代表として招へいしたオーストラリア CSIRO (最新のページに変更しました。2012年1月) の Dr. John Freney から、農業起源窒素による環境負荷の削減と窒素利用効率向上のための技術について包括的な紹介があり、次に北海道大学の波多野教授から、窒素のフローやNO発生量の推定法の紹介と日本の推定例などに関する話題提供が行われました。

その後2日間にわたり、各国の参加者より、土壌−作物系における窒素のフラックス・バランス・循環、農業からの窒素発生を削減するための戦略と管理システムなどに関して発表・討論が行われました。農業環境技術研究所からは、林健太郎主任研究員が、肥料からのアンモニア発生のメカニズムと定量的評価に関して、江口定夫主任研究員が、土壌と地下水系への窒素蓄積量の推定とそれを考慮した窒素フロー推定の提案について、話題提供しました。

総合討論では、窒素フローの推定のために必要なモデルの共通化や広域評価のための共用可能なデータの整備が必要であることなどが指摘され、今後、土壌などのデータの共有化をめざすことが提起されました。これらの実現のためには各国間のさらなる情報交換とより緊密な連携が必要です。

(集合写真)

MARCO-FFTCセミナー開催関係者

前の記事 ページの先頭へ 次の記事