(独)農業環境技術研究所の堀田光生 生物生態機能研究領域 主任研究員が筆頭著者となって発表した論文が、平成24年度日本植物病理学会論文賞を受賞します。
この賞は、日本植物病理学会が発行する Journal of General Plant Pathology および日本植物病理学会報に掲載された原著論文のうち、植物病理学の進歩に寄与する優れた論文に対して贈られるものです。
授賞式は、3月28日に福岡市で開催される日本植物病理学会大会総会において行われます。
受賞論文の概要は以下のとおりです
Analysis of genetic and biological characters of Japanese potato strains of Ralstonia solanacearum
Mitsuo Horita,Yasuhiro Suga,Atsushi Ooshiro,Kenichi Tsuchiya
JGPP 76(3): 196-207 (2010)
(日本のジャガイモ青枯病菌の遺伝的・生物的特性の解析)
(堀田光生、菅 康弘、大城 篤、土屋健一)
論文の概要
日本国内のジャガイモ青枯病菌 Ralstonia solanacearum について、各菌株の生理型、系統型を調べ、それらの地理的分布を調べるとともに、DNA フィンガープリント(rep-PCR 法)およびエンドグルカナーゼ塩基配列に基づく系統解析により、同病原細菌の遺伝的多様性を評価した。
日本各地のジャガイモ畑から分離した 188 株の青枯病菌のうち、74 株は生理型 N2 (39%)、44 株は生理型 3 (24%)、70 株は生理型 4 (37%) だった。生理型 N2 と生理型 4 は、北海道から沖縄まで広く分布していた。
マルチプレックス PCR による解析の結果、分離されたすべての菌が、系統型 I および IV に属していた。系統型 I には生理型 3 と生理型 4 の両方が、系統型 IV には生理型 N2 のみが含まれ、系統型 II、III、あるいは生理型 1、2 に属する菌は見つからなかった。
DNA フィンガープリントとエンドグルカナーゼ遺伝子配列に基づく系統樹の解析により、日本のジャガイモ青枯病菌が遺伝的に多様であること、また、系統型 I と IV に属するアジアの青枯病菌と遺伝的に近いことを明らかにした。