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農業と環境 No.152 (2012年12月1日)
独立行政法人農業環境技術研究所

第12回有機化学物質研究会 「化学物質による環境中生物への影響評価 −遺伝子から生態系まで−」 開催報告

11月1日、文部科学省研究交流センター(茨城県つくば市)において、第12回有機化学物質研究会 「化学物質による環境中生物への影響評価 −遺伝子から生態系まで−」 を開催しました。

私たちの生活にとって様々な化学物質の利用は不可欠なものですが、一方で、過度の使用は周辺環境への流出を伴い、環境中生物への影響が指摘されています。このため、化学物質による生物影響を調べることは、人間活動と生態系保全の両立を図る上で重要なテーマとなっています。

この研究会では、環境中の化学物質による生物影響について第一線で取り組んでいる5名の研究者から、遺伝子〜個体〜群集までの様々なレベルにおける研究の現状を紹介いただき、今後の展望および課題について議論を深めました。

開催日時: 2012年11月1日(木曜日) 10:00 〜 17:00

開催場所: 文部科学省研究交流センター(つくば市竹園2−20−5)

プログラム:

(1) Ecological System Toxicology は生態系進化への影響を評価できるか?

東洋大学 生命科学部 柏田  祥

(2) 化学物質影響評価へのトキシコゲノミクスの活用と挑戦

愛媛大学 沿岸環境科学研究センター 仲山  慶

(3) 個体レベルでの急性毒性評価とその感受性変動

(独)農業環境技術研究所 有機化学物質研究領域 横山 淳史

(4) 農薬生態毒性データベースの構築とその活用 〜種レベルと群集レベルの評価をつなぐ〜

(独)農業環境技術研究所 有機化学物質研究領域 永井 孝志

(5) 生物多様性に対する総合的影響評価手法としてのメソコズム実験

(独)国立環境研究所 生物・生態系環境研究センター 五箇 公一

今回の研究会には、独法・地域公設試験研究機関、行政部局、大学、民間企業、関係団体、一般市民など、107名の多岐にわたる方々にご参加いただきました。

参加者からアンケートをとったところ、「ミクロからマクロまで様々なレベルでの環境毒性研究の現状が順を追って聴けて良かった」 という感想が多く寄せられました。ゲノム、個体、生態系各レベルの研究者は、所属する学会が異なることもあり、一堂に会して議論する機会は貴重なようです。この研究会を通して、ゲノム〜個体・個体群〜生態系の研究者が情報交換を密にし、お互いに補完しながら環境毒性研究を深化させていくことが重要との認識を共有することができました。化学物質の生態リスク評価研究の推進に向け、実りの多い研究会であったと思います。

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