農業環境技術研究所 有機化学物質研究領域の永井孝志主任研究員らの共著論文が、2013年度日本陸水学会第1回学会賞論文賞を受賞しました。
日本陸水学会は、「湖沼、河川、地下水、温泉等内陸部のあらゆる水域に関して、地球物理学、地球化学、生物学、地理学、環境科学などの側面から総合的に研究を行なおうと志す研究者の集団」で、「陸水に関する学術の進歩、普及ならびに応用をはかることを目的」として活動している学会です。
論文賞は、日本陸水学会が発行する英文学術誌である Limnology 誌に掲載された論文の中から、編集委員会が特に優れた論文と認めたものを対象として表彰するものです。2013年9月12日に開催された日本陸水学会第78回大会(龍谷大学)において、表彰式が行われました。
受賞論文の概要は以下のとおりです。
In situ growth rate of Microcystis spp. and their growth limiting factors: An application of cellular RNA content.
Nagai Takashi, Tomioka Noriko, Kawasaki Tatsuya, Imai Akio, Matsushige Kazuo
Limnology, 12(3), 235-243 (2011)
(概要)
水生生物の個体数の変動要因には外的要因 (被食、沈降、移流など) と内的要因 (栄養状態、日射、温度、化学物質によるストレスなど) があり、野外における生態影響評価においてはこれらの影響を要因ごとに分けて知ることが重要になります。
この研究は、アオコを形成する藻類の遺伝子のみを環境中から特異的に増幅する手法を用いて、細胞内 RNA 含有量を内的自然増加率の指標とする方法を、フィールド研究に適用したものです。
水温が低くアオコが出なかった年と、水温が高くアオコが発生した年では、アオコを形成する藻類の細胞内 RNA 含量が有意に異なっていたことを示しました。