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農業と環境 No.166 (2014年2月1日)
独立行政法人農業環境技術研究所

農業環境技術研究所30周年記念シンポジウム 「21世紀の農業と環境」 開催報告

独立行政法人農業環境技術研究所は、平成25年12月13日、新宿明治安田生命ホールにおいて、農業環境技術研究所30周年記念シンポジウム 「21世紀の農業と環境」 を開催しました。

農業環境技術研究所は、昭和58年(1983年)12月に発足し、平成13年(2001年)4月の独立行政法人化を経て、平成25年(2013年)12月に、設立30周年を迎えました。これを記念して、農業環境シンポジウムを開催し、有識者からアジアモンスーン地域における農業環境に関する講演をいただくととともに、当研究所の研究活動報告・紹介し、各方面の有識者によるパネルディスカッションによって、21世紀の農業環境研究について議論しました。

開催日時: 平成25年(2013年)12月13日(金曜日)13:00−17:15

開催場所: 新宿明治安田生命ホール

主催: (独) 農業環境技術研究所

後援: 農林水産省農林水産技術会議事務局

参加者数: 205名

(国・独立行政法人30、県など31、企業・団体など38、大学16、個人32、農環研58)

総合地球学研究所 安成哲三所長(写真)

総合地球学研究所 安成哲三所長(農環研30周年シンポジウム基調講演)

会場のようす(写真)

農環研30周年シンポジウム会場

おもなプログラム:

基調講演: Future Earth : アジアの環境研究における意義

安成 哲三(総合地球環境学研究所 所長)

特別報告: 農業環境における放射性物質のモニタリングと動態解明

谷山 一郎(研究コーディネータ)

研究トピックス

温暖化に挑む、温室効果ガス発生制御技術のこれまでとこれから

秋山 博子 (物質循環研究領域)

多様な生き物と共存する、里山・ビオトープから世界農業遺産まで

楠本 良延(生物多様性研究領域)

食の安全を守る、低カドミウム米の開発

石川  覚 (土壌環境研究領域)

パネルディスカッション 「21世紀の農業環境研究」

パネラー:加藤 弘道(茨城県農業総合センター長)

小ア  隆 (首都大学東京教授)

小林 優子 ( NPO 法人田舎のヒロインわくわくネットワーク理事長)

松永 和紀 (サイエンスライター)

吉田謙太郎 (長崎大学教授)

座長:宮下 C貴(農業環境技術研究所 理事長)

総合地球環境学研究所 安成哲三 所長の基調講演 「Future Earth: アジアの環境研究における意義」 では、地球環境の現状が示され、国際研究プログラム Future Earth の紹介、地球規模の環境問題におけるアジアモンスーン(水田稲作を中心に世界人口の6割を占める)の重要性についての解説がありました。Future Earth に関する情報として、安西氏が執筆された解説記事「Future Earth −地球環境変化研究における 国際的枠組み−」(季刊 環境研究 170号、5-13ページ (2013) ) が紹介されました。

谷山研究コーディネータの特別報告、秋山、楠本、石川の各主任研究員の研究トピック紹介では、放射性物質、温室効果ガス、生物多様性、カドミウムについて、農業環境技術研究所設立以来の研究の流れと、最新の研究成果が紹介されました。

パネルディスカッションには、5名のステークホルダーに参加いただき、「21世紀の農業環境研究」について議論していただきました。小林氏は高温障害など農業生産現場で顕在化している問題への研究について、加藤氏は各分野の最新の研究成果を早期に現場に普及することについて、小ア氏は広く社会全体に向けた研究成果の発信について、吉田氏は生態系サービスに関わる自然科学と社会科学の融合、科学と政策、産業の連携について、松永氏はレギュラトリーサイエンスに対する農環研の取り組みについて、意見や期待が表明されました。

様々な要因が複雑に関係し合う農業環境問題の解決と、今世紀の世界の食料問題、環境問題解決への貢献に向けて、多様なステークホルダーが参加する学際的な研究を推進するとともに、その成果を社会に還元していく取り組みが重要との認識を深めました。

なお、この30周年記念シンポジウムと、先立って開催された4つの記念研究会・セミナーについては、本年2月に発行する 「農環研ニュース No.101 農環研30周年記念特集号」 でもご報告します。

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