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農業と環境 No.168 (2014年4月1日)
独立行政法人農業環境技術研究所

「核酸から見えてきた農業に関わる微生物の生態と機能」 (農環研30周年記念公開セミナー) 開催報告

独立行政法人農業環境技術研究所は、2014年3月7日(金曜日)、秋葉原コンベンションホール (東京都千代田区外神田1丁目)において、農業環境技術研究所設立30周年記念公開セミナー 「核酸から見えてきた農業に関わる微生物の生態と機能」 を開催しました。

会場のようす(写真)

会場のようす(30周年記念公開セミナー)

この公開セミナーは、農業環境技術研究所設立30周年の節目を迎え、環境から抽出した核酸から見えてきた微生物の生態と機能に関わる研究に焦点を絞り、この分野で先進的な成果をあげている研究者を招いて講演をいただくとともに、農業環境技術研究所で得られた研究成果を紹介することを目的に開催しました。

参加者数は164名で、他の独法研究機関(20名)や大学(48名)のほか、民間企業等(48名)、地方自治体(20名)からも多くの参加をいただきました。

東京工業大学大学院の本郷裕一先生からは、シロアリ腸内微生物を単離してそのゲノム解析を行った先進的な研究成果を報告いただきました。茨城大学の太田先生には、三宅島噴火後の土壌細菌相の遷移を土壌から抽出したDNAを用いて解析した、興味深い研究をご紹介いただきました。

引き続き、農業環境技術研究所の研究者から、DNAあるいはRNAを土壌から抽出する手法の開発、抽出したDNAを用いた土壌微生物相の解析結果を格納したデータベースの構築、得られた情報を土壌病害の診断に役立てる研究が紹介されました。また、併せて土壌抽出DNAから見えてきた土壌中の窒素代謝に関わる微生物、害虫に農薬耐性を付与する農薬分解菌の生態、農薬分解遺伝子の自然界での伝搬、土壌抽出RNAから明らかになった放線菌における抗生物質生産遺伝子の土壌における発現解析の研究成果が紹介されました。

今回のセミナーでは、微生物の生態と機能に関わる核酸を用いた研究について、基礎から応用までの話題を比較的幅広く取りあげたためか、学生から企業関係者までさまざまな立場の方々に来場いただきました。また、アンケートでは、企業関係者や公設機関の研究者の方々から、技術の実用化に関する多くの貴重なご意見が寄せられ、今後の試験研究を推進する上でたいへん参考となりました。

主催:独立行政法人農業環境技術研究所

開催日時:平成26年3月7日(金曜日)13:00−17:00

開催場所:秋葉原コンベンションホール

後援:茨城大学農学部、 日本土壌微生物学会、 日本微生物生態学会

出席者:164名 (大学48、民間46、独法研究機関20、都道府県20、所内17、その他13)

プログラム:

開会挨拶

(独)農業環境技術研究所 理事長 宮下 C貴

シングルセル・ゲノミクスを用いた環境微生物の遺伝資源化と生態系解明

東京工業大学大学院 本郷 裕一

三宅島噴火後の土壌微生物相変遷のメタゲノム的解析

茨城大学 太田 寛行

メタゲノム解析手法を用いた窒素循環に関わる微生物の生態解析

(独)農業環境技術研究所 早津 雅仁

カメムシに農薬抵抗性を与える有機リン系農薬分解菌 Burkholderia 属の多様性と生態

(独)農業環境技術研究所 多胡香奈子

農薬分解遺伝子を細菌間に伝播する未分類な大型プラスミドの解析

(独)農業環境技術研究所 酒井 順子

土壌抽出DNA/RNAを用いたくん蒸処理の影響評価と土壌微生物相データベース作成のための標準的解析手法の確立

(独)農業環境技術研究所 星野 裕子

土壌抽出核酸に基づく微生物相の解析を土壌病害の診断に役立てる

(独)農業環境技術研究所 吉田 重信

土壌抽出RNAから明らかになった抗生物質生産遺伝子の土壌における誘導発現

(独)農業環境技術研究所 藤井  毅

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