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農業と環境 No.170 (2014年6月1日)
独立行政法人農業環境技術研究所

農業環境技術研究所の30年(コラム)大気環境研究領域が受け継いだもの

農業環境技術研究所の発足以来、気象管理科、気象研究グループ、大気環境研究領域と受け継がれてきたものの一つに、「気象環境研究会」 がある。気象環境研究会は国 (独立行政法人) や都道府県の研究機関、大学等に所属する研究者をおもな対象とする研究会であり、外部からも講師を招へいして各回のテーマに関わる最新の研究成果を紹介し、将来の研究方向を議論する場として開催してきた。

記録が残っている1987年以降の各回の参加者数は132 ± 40名 (平均値±標準偏差) である。大冷害 (1994年) や異常高温 (2008年) などの農業気象災害を、時機を逸することなく、研究会のテーマとして取り上げた場合もあるが、むしろ農業気象分野が長期的に取り組んでいる課題をテーマとした場合が大半を占める。大気環境変化や気候変動 (気候変化)、温暖化をタイトルに含む研究会が9回もあることは、この30年間の農業気象分野の研究の重点を端的に表している。

ところで、「気象環境研究会」 という名称は、1986年の研究会が初出であるが、現在では1984年と1985年に開催された研究会も気象環境研究会に含めている (「農林水産省農業環境技術研究所17年の歩み」 資料編 、p.123)。一方、気象環境研究会の名称に通算回数を冠するようになったのは2003年(第19回)からであり、ここからさかのぼると1985年の研究会が第1回となる。1984年の研究会が通算回数から漏れたのは、2003年当時、すでに1984年の研究会資料が散逸してしまっていて、確認できなかったためと推測される。

気象環境研究会以外に大気環境研究領域が受け継いだものとして、「農業気象研究集録」 と 「気象談話会」 がある。前者は所属する職員が公表した論文の別刷りを冊子体にまとめたものであり、農業技術研究所時代の1953年に第一冊を発刊して以降、国内外の研究所や大学の図書館などに寄贈していたが、別刷り価格の高騰と電子媒体での別刷りの流通が普及したことにより、2006年12月の第四十七冊をもって発刊を終了した。一方、気象談話会は、1958年に開始された気象科月例読書会に端を発し(「300回の歩み」、農業環境技術研究所気象管理科、1987年2月)、その後、数回にわたる会の名称の変更はあったものの、組織改編をものともせず、研究所の農業気象分野のセミナーとして50年以上も脈々と受け継がれてきた。1997年12月以降は現在の 「気象談話会」 の名称が使用され、2013年11月現在の開催回数は539回に達している。その記録は、 当所のホームページで閲覧 できる。

宮田 明 (大気環境研究領域長)

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