平成27年4月7日、平成27年度科学技術分野の文部科学大臣表彰の受賞者が文部科学省から公表され、農業環境技術研究所 大気環境研究領域の飯泉仁之直 任期付研究員が 「グローバルな食糧生産変動の予測に関する研究」 で、若手科学者賞を受賞しました。
受賞業績の概要は次のとおりです。
グローバルな食糧生産変動の予測に関する研究
国際的な食糧需給の安定化と飢饉(ききん)対策のためには、グローバルな食糧生産変動の予測・監視に基づく食糧輸入国の備蓄や国際機関の緊急援助などの対策が重要ですが、先行研究の大半は、入手できる作物収量データの制約から、予測の地域が限定されていました。
飯泉 任期付研究員は、コメ、コムギ、トウモロコシ、ダイズの主要生産地域を網羅する収量データベースを構築し、気温と土壌水分量の季節予測データと組み合わせて、コメとコムギは世界の収穫面積の約20%で収穫3か月前に収量変動を予測できることを世界に先駆けて示しました。さらに、エルニーニョやラニーニャ発生による収量影響の見通しを得るための全球マップを作成しました。
この研究成果は、気象の季節予報、とくにエルニーニョとラニーニャの発生予測を、国際的な食糧需給安定化および飢饉対策に結び付けるものと期待されます。
主要論文:
1)「Prediction of seasonal climate-induced variations in global food production」 Nature Climate Change、vol. 3、p904〜908、2013年7月発表
2)「Impacts of El Nino Southern Oscillation on the global yields of major crops」 Nature Communications、vol. 5、Article number: 3712、doi:10.1038/ncomms4712、2014年5月発表
報道発表:
1) 世界のコムギとコメの不作を収穫3か月前に予測する手法の開発―季節予測による穀物の世界的豊凶予測― (2013年7月 農業環境技術研究所/海洋研究開発機構 記者発表)
2) エルニーニョ/ラニーニャと世界の主要穀物の生産変動との関係性を解明 (2014年5月 農業環境技術研究所/海洋研究開発機構 記者発表)
農環研ニュース(研究トピックス):
1) 世界のコムギとコメの不作を収穫3カ月前に予測する手法を開発 ー3カ月先の気候予測から世界的な豊凶を予測ー (PDF) (2013年10月 農環研ニュース No.100)
2) エルニーニョ、ラニーニャと世界の穀物収量の変動との関連性を解明 (PDF) (2014年11月 農環研ニュース No.104)