前号へ 総目次 総索引 検索 研究所 次号へ (since 2000.05.01)

情報:農業と環境
No.9 2001.1.1

 
No.9

・21世紀に期待される農業環境研究

・農業環境技術研究所の歴史と展望

・第3回植生管理研究会:

・平成12年度気象環境研究会:

・第18回土・水研究会:

・統計情報部と農業環境技術研究所との交流会(第4回)開催される

・生物多様性のアセスメントと保全の戦略

・「環境ホルモン戦略計画 SPEED'98」が更新される

・本の紹介 25:アジア環境白書2000/01,

・本の紹介 26:生命誌の世界,中村桂子著,NHK出版(2000)


 

21世紀に期待される農業環境研究
 
 
 20世紀とは一体なんであったのか。恐らく,科学技術の大発展とそれに付随した成長の魔力に取り憑かれた世紀といえるのではないでしょうか。ここでいう成長とは,あらゆる意味の物的な拡大を意味します。自動車・工業生産・エネルギー使用・人口・食料生産の増大など枚挙にいとまがありません。
 
 このような成長を支える科学技術はわずか100年前にはじまり,その後,肥大・拡大し大きな潮流となり,20世紀後半を駆け抜けました。この歴史の潮流の中で,われわれ人類はものを豊かに造り,その便利さを享受するとともに,この技術を活用し,宗教や政治や主義にからむ多くの戦争を行ってきました。今もそのことは続いています。
 
 この間,宇宙から地球を眺め俯瞰的視点を獲得し,地球環境問題を認識するに至りました。俯瞰的とは,木を見る視点に対する森を見る視点です。これによって,時空スケールでわれわれがどこからきて,どこに行こうとしているのかという認識をも獲得するに至りました。
 
 それでは,われわれがこれから生きようとする21世紀の世界的規模での課題とは,一体なんでしょうか。それは「環境」と「情報」でしょう。いずれも現在の社会構造を根底から変革する威力を内包しているうえ,これらに対応しないで事を怠ると,まさに遅れた国にならざるを得ません。その上,これらは一国の混乱が世界中に様々な影響をもたらします。2000年問題や地球温暖化の問題などがそのよい例です。
 
 21世紀は環境問題の世紀だとよく言われます。果たしてそうでしょうか。批判を畏れずあえていえば,環境問題は実は人口問題の結果なのです。増加しつつある人口を養うことはすなわち食料問題だし,食料問題はまさに農業問題なのです。したがって,環境問題はとりもなおさず農業問題です。言うなれば,21世紀はまさに農業の世紀ともいるのです。
 
 ところで,現実の日々の中で「環境」とは何でしょうか。それは自然と人間との関係にかかわるもので,環境が人間を離れてそれ自体で善し悪しが問われているわけではありません。両者の関係は,人間が環境をどのように見るか,環境に対してどのような態度をとるか,そして環境を総体としてどのように価値づけるかによって決まります。すなわち,環境とは人間と自然の間に成立するもので,人間の見方や価値観が色濃く刻み込まれているものです。だから,人間の文化を離れた環境というものは存在しません。となると,環境とは自然であると同時に文化であり,環境を改善するとは,とりもなおさずわれわれ自身を変えることにつながります。われわれ自身を変えるとは何か。それは,人口増加,食料不足,生産性低下,環境悪化という現象の中で環境倫理の意識をもつことでしょう。土や水や大気にも生存権があることの意識を持たない限り,自然はわれわれに反逆します。
 
 となると,21世紀に期待される農業環境研究とは何か。それは,環境倫理のもとに20世紀に獲得した技術と俯瞰的認識で研究を深化させることでしょう。人類の将来を破壊する時限爆弾とも危惧される内分泌かく乱物質の研究を例に挙げます。21世紀には,内分泌かく乱物質と複雑系モデルのシミュレーションのために情報技術を活用し,現実の自然により近づいた環境をつくりだす必要があります。それに成功すれば,人類はまた新しい時代を迎えることになるでしょう。また,バンクの概念で農業環境資源を保全・活用するインベントリー研究を例に挙げます。21世紀の予想もしない環境問題に対応するため,これまでの技術と俯瞰的認識をもって農業環境資源を新たに評価・保全することに成功すれば,われわれの後の世代に,永久に土地や水や大気や生物を健全な状態で継承しつづけることができるでしょう。
 
 21世紀に生きるわれわれ人類は,どうやら,これまで自分たちの幸せのために造ってきたモノと,今ある貴重な環境資源保全のための戦争を強いられているようです。言いかえれば,21世紀の研究課題は,生物圏や大気圏や土壌圏や水圏などの既往の圏と,新たにできた人間圏の調和にあるとも言えます。後の世代のための奮闘が期待されているのです。
農業環境技術研究所長
 

農業環境技術研究所の歴史と展望
 
 
 農林水産省農業環境技術研究所は昭和58年12月1日に発足しました。平成12年12月1日をもって17年を経過したことになります。来春4月1日からは,独立行政法人農業環境技術研究所として再出発することになりました。そこで,この17年間の歩みを取りまとめ,記念誌「17年の歩み」を刊行しました。このことは,「情報:農業と環境」No.8で報告しました。刊行を記念して,平成12年12月1日に「17年史刊行記念式典」を開催しました。そのとき関係者に配布した資料,「農業環境技術研究所の歴史と展望」をここに掲載します。内容は,「わが国における農業環境研究の流れとその成果」と「新農業環境技術研究所の研究方向」の2部からなります。
 
わが国における農業環境研究の流れとその成果
 
1.世界と日本の環境問題の流れ
 世界の環境問題は,1962年に発刊されたレーチェル・カーソンによる合成殺虫剤の残留による自然界の汚染を警告した「沈黙の春」に始まる。これは世界の人々の環境に対する意識を大幅に変えた歴史的書物である。その後,OECDの環境委員会(1970)や国連環境計画(1972)が設立され,1982年の国連環境計画管理理事会特別会合では,世界環境の保全と改善を訴えた「ナイロビ宣言」が採択された。また,オゾン層保護のための「ウィーン条約」が1985年に結ばれた。1989年には,有害廃棄物の国境を越える移動および処分の規制に関する「バーゼル条約」ができた。さらに1990年には,気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が第1次報告書を作成し,温暖化の問題を提起した。また,1993年には,OECDで「農業と環境」合同専門部会が設置された。このような状況の中で,農業が環境問題と密接に関わっていることも広く認識されるようになった。
 
 また,1992年の「環境と開発に関する国連会議」(地球サミット)を契機として,「持続可能な開発」が世界のキーワードになった。地球サミットでは持続可能な開発に向けた行動計画である「アジェンダ21」が採択されるとともに,「気候変動枠組み条約」,「生物多様性条約」および「森林原則声明」が採択された。1996年には,カーソンの志を継いだシーア・コルボーン達が「奪われし未来」を発表した。ここでは,われわれが造った化学物質そのものが食べ物や食物連鎖を通してわれわれの体や他の生物を蝕み,さらにはその影響が世代を越える環境問題に発展していることを警告している。
 
 このように環境問題を抜きにしてわれわれの未来を語ることができなくなってきたと同時に,環境問題と農業問題とは密接に関連していることが明らかになってきた。
 
 国内では,1968年に「大気汚染防止法」が,1970年には「水質汚濁防止法」,「海洋汚染防止法」および「農用地汚染防止法」が制定された。その後,光化学スモッグの事件が頻発し,BHCやDDTの販売が禁止されるなど,農業と環境に関わる問題が数多く発生した。このような背景のもとに,「環境」と名のつく研究所がわが国ではじめて設立された。1983 年に発足した農業環境技術研究所がそれである。
 
 その後,国内において農業に係わるさまざまな環境問題が発生した。例えば,1986年にはチェルノブイリ原子力発電所の事故が発生し,わが国でも緊急の放射能汚染調査が開始された。当研究所は主体的に作物および土壌の放射能モニタリングを実施しており,この事故のときも安全性確保の実証に努めた。また,「地球環境研究計画」が1990年に,「環境基本計画」が1994年に策定され,国内でも環境問題への盛り上がりが見られた。このころ,組換え作物の安全性の問題が新たに浮上した。1998年には地球温暖化対策推進法が策定された。また,「食料・農業・農村基本法」が1999年に公布され,この基本法に関連して「環境3法」が公布された。この年には,ダイオキシンによる作物汚染問題が所沢で,ウラン加工施設(JCO)での臨界事故による作物汚染問題が東海村で発生し,当研究所も問題解決に大きな貢献をしてきた。
 
2.農林水産省における環境保全に関連する研究の流れ
 わが国の経済は,昭和30年頃を境にして戦後の復興期を脱却し,成長期へと入っていった。昭和40年代半ばにかけての新しい科学技術の発展には,目を見張るものがあった。その結果,わが国は世界でも類のない経済的発展をとげることができた。しかし,この発展の裏側には,人体や自然への安全性の確認,産業や都市廃棄物の適切な処理など,環境への配慮が十分に払われていない事実が厳然としてあった。
 
 このため,大気,水,土壌,生物および人間に対してさまざまな公害問題が発生し,これが大きな社会問題となり,経済活動そのものに制約が加えられるようになってきた。そのうえ,各種の汚染問題は農林水産業や食品の安全性にも深刻な影響を与えるにいたった。
 
 これらの問題に対して,農林水産省でも公害調査研究が実施された。この調査研究は,学際的なプロジェクト体制をとり,農林水産業の生産の維持・増進と安全な食料供給の観点から行われてきた。ところが,公害問題は年がたつにつれて複雑かつ深刻化したため,各省庁は個別の調査研究に対応しきれなくなった。このためもあって昭和46年に環境庁が発足し,各省庁の環境関係の試験研究を総合調整し,予算も一括して計上するようになった。
 
 この間,水質汚濁,重金属汚染,廃棄物,大気汚染,農林生態系の保全,農薬の安全性などのプロジェクトが実施され,その成果は,農林水産技術会議事務局で刊行している「研究成果」シリーズにまとめられた1)
 
3.農業環境技術研究所の設立
 これらの成果が発表され始めたのと時を同じくして,農業関係試験研究機関の再編整備が行われた。
 農業は食料の生産供給と同時に緑の保全,水資源の涵養,大気の浄化などの重要な役割を果たしている。しかし,人間の生産活動の発展と生活圏の拡大に伴って農業生産環境が悪化したり,あるいは逆に農業形態の変化に伴って農業生態系や自然生態系へマイナスのインパクトが生じたり,さらには地球規模の環境問題が懸念されるようにもなってきた。
 
 このような問題を克服し,人間生活と自然生態系とが高い親和性をもつ農業技術体系を確立するための試験研究の整備が必要とされ,農業環境の総合的制御・保全・利用に関する先行的・基盤的技術開発を行う機関として農業環境技術研究所が誕生した。
 
 農業環境技術研究所は,食料生産の基本となる持続的農業の確立,国土および資源の適切な利用,環境の維持・保全,多様な生物との共存などを満足させる理想的な農業・農村の創造,あるいは地球規模の環境問題の解決に向けて総合的農業環境管理システムを構築することを目指した。また,農業環境技術研究所は,農林水産省に所属する全国の研究機関の研究の専門区分のうち,「農業環境」を担当することになった。したがって,以下に記載する研究の流れや成果などの記載には,全国的な農業環境の研究も含まれている。
 
 上述した研究目標を達成するため,次の研究基本方向が定められ農業環境研究が行われてきた。
(1) 農業環境資源の分類及び大気,土壌,水,生物,資材など環境構成要素の特性解明と機能評価
(2) 農業生態系における環境構成要素の動態と相互作用の解明
(3) 地球環境保全に貢献する農業生態系の機能の解明・評価と影響軽減技術の開発
(4) 農業生態系を総合的に計画・管理する技術の開発。
 
4.農業環境研究の流れと成果
1)主要な研究の流れ(1983〜2000)
 農業環境技術研究所は,時代の流れに即応しながら各種の研究を実施してきた。研究内容は,次のように分類できる。
 
● 国土保全機能:「国土資源」「水保全管理」「多面的機能」「中山間保全」などに代表される国土保全および農業生態系の持つ環境保全機能に関する研究。
● 環境と貿易:国土保全機能研究の流れで,OECDで検討されている農業環境指標のための研究。国際的な対応も含まれている。
● 生物・生態機能:「GEP」「バイオマス」「生物情報」などに代表される生物や生態のもつ機能を解明し,これを利活用する研究。
● 持続的農業:「物質循環」「LCA」「ISA」など,環境を保全しつつ持続的な農業を営むための物質循環に関わる研究。
● 環境保全型有害生物管理:「生物防除」「天敵生物」「病害診断」などに代表される生物管理に関する研究。新たに「侵入帰化植物」や「IPM」などの研究にも発展。
●組換え作物の安全性:遺伝子組換え技術の実用化に向けた野外環境下での安全性を確保するための研究。現在は「組換え体産業化」の研究が進められている。
● 環境保全型の資源・資材管理:「地下水水質」「家畜排泄物」「ハイテク産業」など土壌および水質の汚染,またその原因となる家畜尿汚水,汚泥,微量元素など環境に影響を及ぼす物質の管理に関する研究。
● 環境ホルモン:「環境ホルモン」「ダイオキシン」など新たに時空を超えた環境汚染物質,内分泌かく乱物質の研究で,将来ますます深化が求められる分野。
● 重金属汚染:新たな「カドミウム」「微量重金属」に関わる環境問題で,内分泌かく乱物質およびCODEXに関係する重金属の研究。
● 地球温暖化:「地球温暖化」「炭素循環」「メタン・亜酸化窒素」に代表される温暖化に影響を及ぼす物質の基礎的な研究。また,温暖化が農業生産に及ぼす影響に関する研究が,「FACE」「先駆的地球環境」「生物圏脆弱性」などで行われている。
● 砂漠化・オゾン層破壊・酸性雨など地球環境問題:「大気汚染」「酸性降下物」「紫外線」「砂漠化」などの研究が幅広く行われている。最近では,「臭化メチル」「オゾン層破壊」の研究が行われている。
● 計測情報・リモセン:「リモセン」に始まる研究は,「マイクロ波」を経て,「高精度衛星」へと発展し,新たに「次世代SAR」が開始された。
● 原子力・放射能:「原子力」「放射能」などアイソトープ利用や放射能追跡のためのプロジェクトが継続的に実施されている。この研究の継続性が,東海村ウラン加工施設臨界事故などへの迅速な対応を可能にした。
● 食料生産予測:「冷害予測」「環境安全」「食料安全保障」など不測時の食料生産変動の予測に関する研究。
 
2)研究成果
 農業環境の研究はきわめて幅が広い。分野別に見れば,環境資源である土壌・水・大気,環境生物である微生物・昆虫・植生,環境資材である肥料・農薬,またこれらの成果を総合化する環境・生態管理,さらには,これらの分野の基盤となる計測・情報の研究がある。空間的に見れば,微生物にはじまって地域から地球に広がる研究がある。環境影響の立場で見れば,農業活動が農業内(on farm)と農業外(off farm)に及ぼす影響が研究の対象となる。このようなさまざまな視点からの研究の成果を,一括して評価することは困難であるが,農業環境技術研究所17年の歩み2)から引用して,主要な研究成果を以下に記す。
 
3)研究成果の公表
 農業環境技術研究所では,研究の成果を広く認知してもらうために,さまざまな刊行物を発行するととともに,ホームページを開設している(http://www.naro.affrc.go.jp/archive/niaes/)。「主な刊行物目録集」3)には,所内で刊行されている刊行物のすべての目録とその表題が年次別に紹介されている。
 主要な刊行物に,「農業環境研究叢書」4),「NIAES Series」5),「農業環境技術研究所報告」6),「農業環境技術研究所資料」7),「農業環境技術研究成果情報」8),「農環研ニュース」9)があり,前2書は一般にも市販されており広く活用されている。「農業環境技術研究成果情報」はそれぞれの時代の研究の中から厳選された成果である。
 
参考文献
1) 農林水産技術会議事務局研究成果:6, 10, 17, 64, 65, 71, 73, 75, 92, 102, 122, 151, 164, 166, 184, 196, 231, 239, 242, 254, 257, 263, 269, 272, 277, 278, 279, 281, 283, 291, 294, 297, 308, 312, 313, 319, 321, 328, 332, 336, 339 (1961〜1999)
2) 農林水産省農業環境技術研究所 17年の歩み:農業環境技術研究所 (2000)
3) 主な刊行物目録集:農業環境技術研究所 (2000)
4) 農業環境研究叢書:農業環境技術研究所,第1号〜第13号 (1986〜2000)
5) NIAES Series: National Institute of Agro-Environmental Sciences, No.1〜No.3 (1992〜2000)
6) 農業環境技術研究所報告:農業環境技術研究所,第1集〜第18集 (1986〜2000)
7) 農業環境技術研究所資料:農業環境技術研究所,第1集〜第24集 (1986〜2000)
8) 農業環境技術研究成果情報:農業環境技術研究所,第1集〜第16集 (1985〜2000)
9) 農環研ニュース:農業環境技術研究所,No.1〜No.48 (1984〜2000)
 
新農業環境技術研究所における研究方向
 
1.検討の経過
 農政改革大綱に合わせて,技術会議に農業関係試験研究検討会が平成10年10月に設置された。その「中間とりまとめ」が平成11年2月に次のように整理された。
(1) 新たな農政の展開に即した政策研究の推進
(2) 食料の安定供給確保のための農業生産力の向上と農業の体質強化
(3) 安全・良質で多種多様な食糧の供給と食品産業の健全な発展
(4) 先端技術の開発・導入による生産性の飛躍的向上,農林水産業の新たな展開を可能とする新産業の創出
(5) 地域の条件や特色を生かした農業の展開
(6) 自然循環機能等農林水産業と環境の関連性の解明
(7) 農業・農村の有する多面的機能の維持・発揮及び農村地域社会の活性化
(8) 世界の食料・環境問題解決のための国際貢献
 このとりまとめの内容に対して,農業環境技術研究所は,上述の(6)の項目を推進する研究所として位置づけられた。
 農業環境技術研究所では平成11年1月12日に農業環境技術研究所将来方向検討会を設置し,新しい農業環境技術研究所が重点的に推進すべき課題と運営体制の枠組みを検討し,3月26日に報告書をとりまとめた。
 さらに,農業環境技術研究所推進方策委員会を3月26日に設置し,独立行政法人構成案にもとづいて,重点課題,研究組織のあり方など研究関連の問題を検討した。その結果を7月13日の運営委員会にかけ,外部有識者の意見を頂いた。また,10月20〜22日には外国人の有識者も参加する技術会議事務局レビューに検討案を説明し,基本的了解を得た。推進方策委員会の報告書は10月26日にとりまとめ,平成12年2月15日の技術会議3次レビューでそのまとめの一部を報告した。
 農業環境技術研究所推進方策委員会は,技術会議の指導のもと,平成11年11月11日に特定独立行政法人農業環境技術研究所(以下,新農業環境技術研究所と略す)準備委員会へ移行した。準備委員会は,これまで19回の会合を持ち,以下に示す研究方向,研究目標,そして組織の原案を作成し,検討を重ねてきている。
 
2.研究方向
 農林水産省農業環境技術研究所では,昭和58年の設立以降,時代の流れに即応しながらさまざまな農業環境に関する研究を実施してきた。これまで,国土保全や農業生態系の持つ環境保全機能,農業環境指標,生物や生態系のもつ機能の解明と利用,持続的な農業を営むための物質循環,生物管理,組換え体の安全性評価,土壌・水質の汚染,内分泌かく乱物質,重金属汚染,地球温暖化・砂漠化・オゾン層破壊・酸性雨等の地球環境問題,アイソトープ利用や放射能追跡等に関する研究が行われ,幅広く社会のニーズに応えてきた。
 新農業環境技術研究所の重点研究方向の検討にあたっては,上記の研究を踏まえながら,かつ農業環境研究の任務や領域を明確にし,農政と国民の期待に応える必要がある。さらに,農水省所管特定独立行政法人の枠組みの中での独自な領域を明確にするとともに,環境研究に関係する他省庁所管特定独立行政法人との違いを明確にする必要がある。さらに,農業環境研究の総合性や学際性にも配慮する必要がある。
 新農業環境技術研究所は,「食料・農業・農村基本法」およびその理念や施策の基本方向を具体化した「食料・農業・農村基本計画」ならびに「農林水産研究基本目標」に示された研究開発を推進するため,(1)農業生態系の持つ自然循環機能に基づいた食料と環境の安全性の確保,(2)地球的規模での環境変化と農業生態系の相互作用の解明,(3)生態学・環境科学を支える基盤技術,に関する研究を重点的に推進することになった。
このため,運営委員会やレビュー委員会において,将来積極的に研究を推進するよう指摘されていた「多面的機能」及び「環境保全型農業」に関する研究は,前述した農水省内の各特定独立行政法人の研究領域の明確化に従って,今後それぞれ「特定独立行政法人農業工学研究所」及び「特定独立行政法人農業技術研究機構」で行われることになった。
 
3.研究目標
新農業環境技術研究所で推進する研究目標は中期計画案の中で検討されている。以下にその概略を示す。
1.農業生態系の持つ自然循環機能に基づいた食料と環境の安全性の確保
1)環境負荷物質の動態解明と制御技術の開発
(1) ダイオキシン類のイネ等による吸収,移行及び農業排水系への流出実態の解明
(2) カドミウム等微量元素の土壌集積経路の解明とイネ・ダイズ子実への移行抑制品種の検索
(3) 土壌・水系における硝酸性窒素等の動態解明と流出予測モデルの開発
(4) 難分解性有機化合物分解微生物の分解能解析技術及び汚染環境中への接種技術の開発
(5) 農薬の水生生物等に対する影響評価法の開発
2)人為的インパクトが生態系の生物相に及ぼす影響の評価
(1) 遺伝子組換え生物による生態系かく乱機構の解明と影響評価手法の開発
(2) 導入・侵入生物による生態系かく乱の実態とかく乱機構の解明
3)農業生態系の構造と機能の解明
(1) 農業生態系機能の維持増進にかかわる生物間の生育阻害・促進関係の要因解明
(2) 農業生産活動が農業生態系の生物群集の構造と多様性に及ぼす影響の評価
2.地球規模での環境変化と農業生態系との相互作用の解明
1)地球規模の環境変動が農業生態系に及ぼす影響解明
(1) 温暖化に伴う東アジア地域のコメ生産変動予測手法の開発
(2) 地球規模の気候変動に伴う農業生態系への影響の解明
2)農業が地球環境に及ぼす影響解明と対策技術の開発
(1) 農業活動が温室効果ガス・大気質等へ及ぼす影響解明と対策技術の開発
(2) 人間活動に伴う環境変動が農業生態系における物質循環及び空間構造の特性に及ぼす影響の解明
3.生態学・環境科学研究に係る基礎的・基盤的研究
1)環境負荷物質の分析技術の高度化
(1) 農業環境中におけるダイオキシン類等化学物質の超微量分析法の高度化
(2) 作物・農耕地土壌における137Cs等放射性同位体元素のモニタリング
2)環境資源情報の計測・解析技術の高度化
(1) 農業生態系の広域的計測手法及び多変量解析手法の高度化
3)農業環境資源情報の集積
(1) 農業環境資源の分類・同定及び機能の解明に基づくインベントリーフレームの構築
(2) 昆虫・微生物の分類・同定及び特性の評価とジーンバンク登録
 
4.組織
 準備委員会では,上記の重点研究を効率的に推進するための組織を検討してきた。新組織案の主な特徴は次のとおりである。
(1) 研究目標,運営方針に即した研究所の運営の円滑化を図るため,総務部の係等の見直しを行い,企画調整部門の体制を強化する。
(2) 研究部を,地球環境問題,生物環境問題,化学環境問題に取り組む三つの部に再編する。
(3) 農業環境インベントリーセンターを設置し,農業環境に関わるさまざまな情報を利用・提供できるセンターをめざす。
(4) 環境化学分析センターを設置し,さまざまな化学物質・放射性同位体等の分析に関わる共同研究センターをめざす。
(5) 重点的・機動的な研究の推進のため,研究室制による固定的な組織を改め,部にグループ及びチームを導入する。グループ内には上席研究官を中心とするユニットをおき,機動的な研究推進を可能にする。
 
新農業環境技術研究所の組織案および各研究部の研究内容を以下に示す。
理事長,理事,監事
企画調整部
研究企画科,研究交流科,研究情報システム科,情報資料課,業務科
総 務 部
庶務課,会計課
地球環境部:農業が地球規模の環境変動に及ぼす影響の解明,地球規模の環境変動が農業に及ぼす影響の予測,及びそれらの影響緩和のための技術シーズの開発に関する調査及び研究を行う。
気象研究グループ:地球規模の気候変動と農業生態系の関連性を解明するため,気候資源,生態系影響,大気保全等に関する基礎的な調査及び研究を行う。
生態システム研究グループ:モデリング,環境計測,環境統計等の手法により農業環境に関わる生態システムに関する基礎的な調査及び研究を行う。
温室効果ガスチーム:農業活動に伴う温室効果ガス等による地球規模の環境変動への影響解明・評価及び影響低減についての調査及び研究を行う。
食料生産予測チーム:地球規模の環境変動に伴う食料生産の予測,人間活動による土地荒廃等土地資源変動の予測及びその対策技術についての調査及び研究を行う。
生物環境安全部:農業生態系における生物群集の構造と動態の解明,導入・侵入生物の環境影響評価,組換え体の生態系安全評価等のための調査及び研究を行う。
植生研究グループ:農業生産活動による植生への影響等について,植生生態,景観保全,化学生態等に関する基礎的な調査及び研究を行う。
昆虫研究グループ:農業生産活動による昆虫相への影響等について,導入昆虫影響,個体群動態,昆虫生態等に関する基礎的な調査及び研究を行う。
微生物・小動物研究グループ:農業生態系における微生物生態,微生物機能,小動物生態等について基礎的な調査及び研究を行う。
組換え体チーム:組換え体等新規作出作物の栽培による農業生態系への影響の解明と評価についての調査及び研究を行う。
化学環境部:農業生態系における化学物質の動態解明,影響評価,化学物質等の環境負荷軽減,農業環境資源の動態モニタリング,健全性の保全技術及び修復技術開発のための調査及び研究を行う。
有機化学物質研究グループ:農薬等の有機化学物質を対象としたリスク評価や環境浄化等のため,農薬動態評価,農薬影響軽減,土壌微生物利用等に関する基礎的な調査及び研究を行う。
重金属研究グループ:カドミウム等の無機化学物質の生態系への影響について,微量元素,土壌化学等に関する基礎的な調査及び研究を行う。
栄養塩類研究グループ:硝酸性窒素等の栄養塩類の動態について,土壌物理,水動態,水質保全等に関する基礎的な調査及び研究を行う。
ダイオキシンチーム:ダイオキシン類の動態解明及び制御技術の開発のための調査及び研究を行う。
農業環境インベントリーセンター:農業環境資源及び農業生態系に生息する生物の調査・分類及びインベントリー構築のための調査及び研究を行う。
土壌分類研究室:土壌の分類・機能の評価及び土・水インベントリーの構築についての基礎的な調査及び研究を行う。
昆虫分類研究室:農業生態系に生息する昆虫の分類・同定及び昆虫インベントリーの構築についての基礎的な調査及び研究を行う。
微生物分類研究室:農業生態系に生息する微生物の分類・同定及び特性解明と微生物インベントリーの構築についての基礎的な調査及び研究を行う。
環境化学分析センター:共同研究センター2号棟及びRI施設を管理し,農林水産省所管の研究機関等との共同利用を行うとともに,内分泌かく乱物質等有害化学物質並びに放射性同位体に関する調査及び研究を行う。
環境化学物質分析研究室:ダイオキシン類・内分泌かく乱物質等の超微量・簡易・迅速分析法の開発についての基礎的な調査及び研究を行う。
放射性同位体分析研究室:放射性核種の動態解明及び同位体元素を利用した物質動態についての基礎的な調査及び研究を行う。
 
【参考】農業関係特定独立行政法人の概要
 

第3回植生管理研究会:「化学生態学から見た農業生態系
における生物多様性の成立要因」開催のお知らせ

 
 
趣 旨
 安全性の高い食糧を持続的に生産する農業生態系においては,多種多様な生物が一定の安定性を保って生息していると考えられる。とくに,一次生産者である植物は,体外に放出する化学物質を介して,他の生物や無機環境に直接あるいは間接的に関与しあい,生物多様性の成立に大きな影響を及ぼしている。これまで,植物と他の生物ならびに無機環境との相互作用メカニズムの解明は十分ではなかったが,今日の化学生態学的研究手法の急速な進歩によって,今後,生物多様性の成立要因が化学生態学的に解明されて行くものと期待される。

 そこで,本研究会では,農業生態系における多様な生物の成立要因を生物間ならびに生物と無機的環境との相互作用を中心に化学生態学的見地から論じ,多様な生物の機能が発揮された農業生態系の特性を解明するための基礎的研究戦略について議論する。

 
開催日時:平成13年3月9日(金)9:30〜17:00
開催場所:農業環境技術研究所2F大会議室  
 
開会の挨拶  農業環境技術研究所所長 陽 捷行
 
       座長:杉江 元
1. 植物・昆虫間の化学生態学的相互作用−生物多様性の観点から−:西田律夫(京都大学)
2. 微生物・植物間の化学生態的相互作用-Burkholderia属菌が生産する生理活性物質トロポロンとその役割-:畔上耕児(農業環境技術研究所)
3.
 
植物・土壌間の化学生態的相互作用-土壌環境が植物に与えるストレスと植物の多様なレスポンス-:平舘俊太郎(農業環境技術研究所)
 
       座長:伊藤一幸
4. ヒマラヤにおける植物資源の薬用成分から見た多様性について:渡辺高志(北里大学)
5.
 
Biodiversity of alkaroids and their role as allelochemicals in plants.(植物界におけるアルカロイドの多様性と他感物質としての役割):Z. Iqbal( ノダ・プランツ・テクニカ)
6.
 
DNA micro-array technique; A new tool for plant chemical ecology. (新たな植物化学生態学の研究手法としてのDNAマイクロアレイ法):Brian Scheffler(米コメアメリカ合衆国農務省天然物研究開発ユニット)
7.
 
農業研究における化学生態学から見た生物多様性の意義:藤井義晴(農業環境技術研究所)
 
8. 総合討論 司会:三田村 強
 
[問い合わせ先] 農業環境技術研究所 環境生物部 植生管理科長三田村 強
  〒305-8604 茨城県つくば市観音台3−1−1
  Tel & Fax 0298-38-8294
  E-mail mitamura@niaes.affrc.go.jp
 
講師の紹介
1)植物・昆虫間の化学生態学的相互作用―生物多様性の観点から-
  西田律夫(京都大学・化学生態学研究室・助教授)
 西田先生は日本における化学生態学の第一人者であり,長く昆虫と植物の二次代謝物質に関する研究を行ってこられ,多くの新規な生理活性物質を発見した業績で知られる。アゲハチョウの仲間には,特定の植物を食草として,その有毒成分を体内に蓄え,小鳥などからの食害を免れているものがある。特に,アゲハチョウがウマノスズクサ(Aristolochia debilis)に含まれる有毒物質アリストロキア酸(aristolochic acid)を摂取し,その毒性に耐え,なおかつこれをヘアーペンシルに蓄えて鳥に対する防御に利用していることを解明した研究を紹介する。一方,このチョウの近縁種はこの有毒物質を持っていないが,このチョウそっくりに擬態をして身を守っているものがある。これ以外にも植物成分と昆虫の化学生態学的な相互作用に関するトピックスを紹介する。
 
2)微生物・植物間の化学生態的相互作用
  -Burkholderia属菌が生産する生理活性物質トロポロンとその役割-
  畔上耕児(農環研・寄生菌動態研究室・室長)
 畔上室長は,元Pseudomonas属に分類されていたBurkholderia属の菌が植物に及ぼす毒性を研究する過程で,この原因物質が,トロポロンであることを発見した。トロポロンは鉄とキレート錯体をつくり,その有効性を失わせる。本研究は,トロポロンが植物生育阻害作用を持つことを報告した最初のものである。なお,トロポロンはカテコールに類似した構造を持ち,またヒバやヒノキに含まれる抗菌物質として知られるヒノキチオールの前駆体であることから,前核微生物―真核微生物―高等植物の間でのトロポロン化合物による化学生態的な相互関連に興味が持たれる。
 
3)植物・土壌間の化学生態的相互作用
  -土壌環境が植物に与えるストレスと植物の多様なレスポンス-
  平舘俊太郎(農環研・他感物質研究室・主任研究官)
 平舘主任研究官は,土壌の吸着反応に詳しく,ムギ類が低栄養条件に置かれたときに根から滲出するようになるムギネ酸の研究で業績を上げている。近年,酸性土壌の作物生育阻害の原因とされるアルミニウムの形態とその毒性について,配位子交換反応から説明した自分の研究を紹介し,これらを解毒する作用のあるアジサイやソバの解毒機構,とくに植物体内に含まれるシュウ酸による解毒機構についても紹介する。
 
4)ヒマラヤにおける植物資源の薬用成分から見た多様性について
  渡辺高志(北里大学・薬学部付属薬用植物園・助手)
 日華区系に属し,植物地理・分類学上日本との近縁種が多く,植物の宝庫として知られるネパール・ヒマラヤには日本を上回る6500種の高等植物が分布し,その内の700種が薬用植物であるこれらについて,発表者は1984年から調査を開始し,以後16年に渡って,絶滅危惧種を含めた薬用植物の分類と成分について詳細な研究を行った。これらの成果から,植物の二次代謝成分である薬用成分と植物の多様性の起源について論じる。とくに,重要なマオウ属に含まれるエフェドリンと関連物質,ニンジン属,ダイオウ属,ミシマサイコ属に含まれる新規サポニン類について紹介する。
 
5)Biodiversity of alkaroids and their role as allelochemicals in plants.
  (植物界におけるアルカロイドの多様性と他感物質としての役割)
  Dr. Zahida Iqbal (ノダ・プランツ・テクニカ研究員)
 代表的な植物の二次代謝物質であるアルカロイドは薬理効果の面から詳細に研究されてきたが,その植物自身にとっての意義については不明であった。近年,これらのアルカロイド,たとえばカフェインニコチンなどが,植物のアレロケミカルであるとする仮説が提唱され,有力になっている発表者は,パキスタン国立化学研究所でニチニチソウに含まれる抗癌剤であるビンブラスチン・ビンクリスチンの研究を行い,イギリスでこれを継続してきたが,1998年から農環研・他感物質研において共同研究を実施し,ヒガンバナに含まれるリコリンが強い植物成長阻害・細胞分裂阻害作用を有することを見いだし,他感物質としての役割に関する研究を行ってきた。ヒガンバナ科のスイセン,アマリリス,ハマユウ,ネリネ,キツネノカミソリ,ナツズイセンなどにはリコリン関連のアルカロイドが分布している。今回は植物に含まれるこれらのアルカロイドの植物化学生態学的な役割についても考察する。
 
6)DNA micro-array technique; A new tool for plant chemical ecology.
  (新たな植物化学生態学の研究手法としてのDNAマイクロアレイ法)
  Dr. Brian Scheffler (米国農務省・天然物研究開発ユニット)
 ブライアン・シェフラー博士は,植物遺伝学者であり,他感作用のバイオアッセイに用いられるレムナを用いて,そのDNAチップを構築し,ユニット内で同定された他感物質が植物のどの遺伝子のスイッチをオン・オフするのかを解明する研究を行っている。これまでに,ヒトの繊維芽細胞,イースト(酵母)ではDNAチップが作成され,生理活性物質の作用機構に関する研究が発表されているが,シロイヌナズナやレムナに関する研究は開始されたばかりであり,シェフラー博士のグループは最先端のひとつである。農業環境技術研究所では,平成12年度の科学技術庁の二国間共同研究でシェフラー博士のグループと,揮発性他感物質であるシスー3−ヘキセナール(cis-3-hexenal)の作用機構を研究している。
 
7)農業研究における化学生態学から見た生物多様性の意義
  藤井義晴(農環研・他感物質研究室・室長)
 植物には,二次代謝物質と呼ばれる,生命維持にはかならずしも必要でない物質が含まれており,時には体内成分の数%にも達する。しかし,移動することができない植物は,これらの物質を介して他の生物から身を守ったり,情報伝達の手段として重要な役割を果たしているとされている。すなわち,植物は進化の過程で偶然身につけた二次代謝物質を,周辺環境に生息する動植物や昆虫・微生物に対し攻撃・忌避・共存あるいは何らかの情報伝達の手段として利用し,競争上有利となって生き残ってきたと考えられる。このような二次代謝物質は,化石植物といわれ古くから生き残っている植物や,一属一種しか知られていない植物に多い。
 そこで,植物が生き残るための進化の途上で身につけたと思われる二次代謝物質を介した植物の
生存・拡大の特性ならびにそれらの植物が生物多様性の成立に及ぼす影響について考察する。
 

平成12年度気象環境研究会:「陸域生態系における温室効果ガスの
モニタリングとモデル」開催のお知らせ

 
 
趣 旨
 人間の活動が活発になるにつれて,大気中に含まれる二酸化炭素(CO2),メタン(CH4),亜酸化窒素(N2O),フロンなどが大気中に大量に放出され,地球全体の平均気温が急激に上昇し始めている。地球規模で気温が上昇すると,気候メカニズムの変化により異常気象が頻発するおそれがありひいては自然生態系や生活環境,農業などへ大きな影響を与えることが考えられる。この温暖化による影響を少しでも緩和するために,大気中の温室効果ガス濃度を安定させようとする国際的な取り組み(COP6など)がつづけられているが,どのような方法で安定させるのかが大きな問題となっている。そしてこの問題を明らかにするためには,現在,これらの温室効果ガスがどのくらい,そしてどのように大気中に排出され,消費(固定)されているのかという収支と循環,そしてその変化を精度良くモニタリングし,モデル化することが求められている。
 本研究会では,農林生態系における温室効果ガスの収支と循環を明らかにするためのモニタリングの手法である観測とモデルを紹介して,その問題点を明らかにし,今後の展望について討議する。
 
1. 主  催 農業環境技術研究所  
2. 開催日時 平成13年3月6日(火)10:00〜17:00  
3. 開催場所 農業環境技術研究所2F大会議室  
     
4. プログラム  
1)
 
開会の挨拶 農業環境技術研究所長:陽 捷行
 
10:00〜10:10
2) グローバルな視点から見た陸域生態系のCO2ガスの収支:  

 

 
及川武久(筑波大学生物科学系教授)
 
10:10〜11:00
3)
 
リモートセンシング手法からみた農業生態系と温室効果ガス:
 

 

 
岡本勝男(農業環境技術研究所地球環境研究チーム) 11:00〜11:40
4) 地上観測からみた農業生態系と温室効果ガス:  

 

 
宮田 明(農業環境技術研究所気象特性研究室)
 
11:40〜12:20
     

 
−昼食−
 
12:20〜13:20
5)
 
リモートセンシング手法からみた森林生態系と温室効果ガス:
 

 

 
粟谷善雄(森林総合研究所東北支所広葉樹林管理研究室長) 13:20〜14:00
6) 地上観測からみた森林生態系と温室効果ガス:  

 

 
大谷一義(森林総合研究所気象研究室)
 
14:00〜14:40
7) 地上観測からみた湿地生態系と温室効果ガス:  

 

 
鶴田治雄(農業環境技術研究所影響調査研究室長) 15:00〜15:40
8) 地上観測からみた土壌と温室効果ガス:  

 

 
鞠子 茂(筑波大学生物科学系助教授)
 
15:40〜16:20
9)
 
総合討論
 
16:20〜16:50
    コメンテーター:大場和彦(九州農業試験場気象特性研究室)
     暖地牧草畑における夏季のCO2フラックス特性
10)
 
閉会の挨拶 農業環境技術研究所 環境資源部長:浜崎忠雄
 
16:50〜17:00
   
5. 参集範囲
   国公立試験研究機関,大学,関係団体,行政部局等
   
7. 問い合わせ先
   農業環境技術研究所 環境資源部 気象管理科:鳥谷 均
    〒305-8604 茨城県つくば市観音台3-1-1
    Tel: 0298-38-8206 Fax: 0298-38-8199
    e-mail: toritanii@ss.niaes.affrc.go.jp
 

第18回土・水研究会:「窒素・リン等の総量規制及び環境基準に
係わる環境行政の動向と研究問題」開催のお知らせ

 
 
趣 旨
 平成12年2月に,中央環境審議会会長から環境庁長官へ第5次水質総量規制の在り方について答申があった。これは,COD汚濁負荷量の削減と併せて窒素及びリンの負荷量削減を総合的に進めるための枠組み等に関するものである。そのうち,窒素・リンについては非特定汚染源の占める割合が高いことから,今後,農用地についてもその汚濁負荷量の的確な把握に努めるとともに,その発生特性を踏まえた負荷量削減対策の推進等が必要となる。

 また,平成11年2月に,環境庁は水質汚濁に係る環境基準について一部改正を実施し,公共用水域及び地下水を対象に硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素,ふっ素及びほう素を環境基準項目に追加した。これらの項目については,平成12年度中に都道府県知事により実施された概況調査の結果が明らかとなる。さらに,平成12年11月10日に,中央環境審議会水質部会事務局から,水質汚濁防止対策の強化のため,排出水の排水,地下浸透水の浸透等の規制に係る項目の追加等について答申案が公開された。特に,硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素については,点的な汚染源への対策,生活排水対策とともに施肥対策が提示されている。

 このようなことから,本研究会では,窒素・リン等総量規制に係る最近の状況,水質汚濁に係る硝酸性窒素の排出問題,養分収支を踏まえた窒素・リンの動態及び負荷削減対策技術の研究推進状況等を取り上げ,環境施策の動向からみた今後の研究方向を明らかにする。
 
1. 主  催 農業環境技術研究所
2. 開催日時 平成13年3月8日(木)10:00〜17:10
3. 開催場所 農業環境技術研究所2F大会議室
   
4. プログラム
1) 開会の挨拶 農業環境技術研究所所長 陽 捷行
2)
 
窒素・リンの総量規制に係る行政からの報告(仮題):未定(環境庁水質保全局水質規制課総量規制室担当者)
3)
 
面源からの硝酸性窒素排出問題−中環審関連の検討経過から−:増島博(東京農大)
4)
 
森林・農地・水域における養分収支を踏まえた自然循環機能に関する研究推進について:保科次雄(農業環境技術研究所)
5)
 
輪作を基本とする露地野菜作窒素収支改善技術の実証:大橋哲郎(日本農業研究所)
6)
 
滋賀県における水田からの窒素・リン等汚濁負荷軽減に向けた取り組み:田中靖志(滋賀農試)
7) 茶園における施肥量削減技術とその評価:加治俊幸(鹿児島茶試)
8)
 
水質環境施策の動向からみた研究開発の方向:藤井國博(農業環境技術研究所)
9) 総合討論

 
コメンテーター 森林域における窒素収支について:加藤正樹(森林総合研究所)

 

 
水域における窒素・リン収支と森林・農地への要望について:内田卓志(瀬戸内海水産研究所)
5. 参集範囲集範囲
   国公立試験研究機関,大学,関係団体,行政部局等
   
7. 問い合わせ先
    農業環境技術研究所 環境資源部 水質管理科:保科次雄
    〒305-8604 茨城県つくば市観音台3-1-1
    Tel: 0298-38-8268 Fax: 0298-38-8199
    e-mail: hosina@ss.niaes.affrc.go.jp
 

統計情報部と農業環境技術研究所との交流会(第4回)開催される
 
 
 12月6日に上記交流会が農林水産省本省で開催された。統計情報部からは,企画調整課,生産統計課,地域・環境情報室の課長をはじめとする12人のメンバーが,農林水産技術会議事務局からは環境担当研究開発官,環境研究推進班長が,当所からは,藤井環境研究官ほか7名の部科長などが参加した。紹介された内容は以下の通りで,これらについての意見交換が行われた。
 
[統計情報部]
●アジア太平洋地域農業食料生産予測手法の開発研究結果について
●アジア太平洋地域農作物被害予測手法の開発研究について
●農業農村地域資源・環境総合調査について
●東日本におけるリモートセンシング技術を活用した水稲作付面積試行求積について
[農業環境技術研究所]
●リモートセンシングによる災害把握
●農業環境インベントリーの現状と将来構想
●昆虫インベントリーについて
 
 統計情報部では,食料・農業・農村基本法,基本計画を受けた施策に必要な統計の整備を進めている。リモートセンシング技術の応用では,研究の進展により水稲作付面積の推定に適用性が高いことが明らかになり,現場で利用する際の操作性,地形との関係等を検討し,現場での使用について試みていることが紹介された。衛星データを用いたモニタリングの応用場面では作付面積の把握が重要であること,また,環境モニタリングでは面的な負荷が問題となっており,その評価等のために集水域レベルでの情報把握が望まれること,情報整備の基礎単位をどうするかなどについて意見交換が行われた。
 

生物多様性のアセスメントと保全の戦略
 
Biodiversity Assessment and Conservation Strategies
Alvert S. van Jaarsveld ほか, Science 279: 2106-2108 (1998)
 
 農業環境技術研究所は,農業生態系における生物群集の構造と機能を明らかにして生態系機能を十分に発揮させるとともに,侵入・導入生物の生態系への影響を解明することによって,生態系かく乱の防止,生物多様性の保全など生物環境の安全を図っていくことを重要な目的の1つとしている。このため,農業生態系における生物環境の安全に関係する最新の文献情報を収集しているが,その一部を紹介する。
 
(要約)
 生物多様性の保全計画において,すべての生物種を適切に表現する確実な方法はまだない。現実に保全地域を設定する際には,指標とする分類群の種数,地域固有の分類群の種数,あるいは上位の分類群(属または科)の数など,代用の情報が使われている。
 
 生物多様性の保全については,土地を格子(グリッド)に分割して種の分布を調査し,このグリッドの中から,それぞれの分類群が必ず1回は現れるような,相補的なグリッドの組合せ(相補セット)を探すことがしばしば行われる。この相補性の原理によって,保全地域のすべての種が効率的に現れ,稀少種が含まれることが保証される。保全地域では,地域的な特徴を持つ生物種が抽出されるように努力することが広く同意されているが,これは相補セット法によって効率的に達成できる。相補性の分析の結果は,対象にした分類群の適切な保全のための十分な根拠となるが,ある分類群で得られた結果が別の分類群にも広く適用できるのではないかとも考えられている。
 
 従来の調査結果,すなわち,生物種の数,稀少性,あるいは上位の分類群の数を生物多様性の代用情報とする結果は,種数の多い地域(ホットスポット)と種数の少ない地域(コールドスポット)が一致することはめったになく,ホットスポットに生息地域が限られる稀少な分類群が出現することも少ないという点で共通している。
 
 相補セット法による結果が有用な代用情報となるかどうか確かめるため,南アフリカの動物と植物の生物種とその上位の分類群のデータを分析した。この研究では,9199の種を対象とし,トランスバール地区を25km×25kmの474個のグリッドに分割して,各分類群についての相補セットを調べた。
 
 調査の結果,種レベルの相補セットの一致は見られず,上位分類群レベルのセットともほとんど重ならなかった。これは,実際の保全計画のスケールでは,種に基づく相補セットの選択を上位分類群による相補セットで代用することは適切でないこと,さらに,生物多様性保全の計画で使われている指標分類群や上位分類群レベルの情報の根拠が危うくなることを示している。
 
 「種数のホットスポットとコールドスポット,稀少生物の存在」という従来の基準によって決められた保全地域は,相補的な保全ネットワークの代用としては不十分である。優先的保全地域に対する分類群,階層レベル,従来の基準の間に一致が見られないことは,地域的な保全のアセスメントには生物種ごとの可能な範囲の全情報を取り込むべきであることを示している。また,保全計画のためには種レベルの分布データが必要であり,保全生物学における現地調査が必要であることを示している。
 

「環境ホルモン戦略計画 SPEED’98」が更新される
 
 
 環境庁は,平成10年5月に「外因性内分泌かく乱化学物質問題への環境庁の対応方針について−環境ホルモン戦略計画SPEED'98−」を公表した。その後,種々の調査・研究や技術開発が行われてきており,これらの新たな科学的知見や情報を提供するため,先の「環境ホルモン戦略計画SPEED'98」に新しい知見等を追加・修正して,2000年11月版が公表された。環境庁のホームページの記事か要点を転載する。全文は環境庁のホームページを参照されたい。(http://www.eic.or.jp/
但し2000年1月6日以降は,http://www.env.go.jp/)
 
1.内分泌攪乱化学物質問題について
(1)内分泌攪乱化学物質とは
 内分泌攪乱化学物質をどのように定義するかは,そのメカニズムが必ずしも明らかになっていないため,国際的に科学的な議論が続けられてきている。環境庁では,当面,1998年に公表した「環境ホルモン戦略計画SPEED'98」での定義:「動物の生体内に取り込まれた場合に,本来,その生体内で営まれている正常なホルモン作用に影響を与える外因性の物質」を引き続き用いる。
 
 野生生物の生殖機能異常,生殖行動異常,雄の雌性化,孵化能力の低下等,人での悪性腫瘍の発生,精巣形成不全症,生殖器の形態異常や精子数の減少傾向と化合物質への曝露との関連が指摘されている。また,新たに,胎児期におけるPCBやダイオキシンの曝露が乳幼児期及び小児期の神経発達及び認識発達に影響することが報告されている。
 
(2)内分泌攪乱化学物質の作用メカニズム
 内分泌攪乱化学物質の作用メカニズムに関し,本来ホルモンが結合すべきレセプターへの化学物質の結合性,レセプターの種類,化学物質の作用時期と影響,作用発現量を中心に研究が進められている。特に,通常の毒性学における毒物の作用と用量との関係が内分泌攪乱化学物質では当てはまらず,時として従来の毒性学における用量の数百万分の一という非常に低い用量範囲,すなわちヒトや野生生物が環境で曝露するレベルにおいて影響を及ぼすと指摘され,また,閾値の有無についても議論されている。このように,低用量問題は内分泌攪乱化学物質問題の中で,検討すべき主要なトピックのひとつである。
 
(3)スクリーニング・試験法について
 経済協力開発機構(OECD)や米国環境保護庁(EPA)において,段階的に内分泌攪乱化学物質のスクリーニング・試験を行うプログラムが提案され,様々なスクリーニング・試験法の開発が進められている。例えば,まず,(1)既存の情報を収集・分析し,続いて,(2)化学物質の構造解析や人間の組織由来の培養細胞や酵母等を使用した試験を実施し,さらに(3)卵巣や精巣を除去するなどの処置を加えた実験動物を使用した試験(子宮肥大試験・ハーシュバーガー試験)や被験物質を28日間連日投与する試験を行い,最終的には,(4)無処置の動物を用いた長期間の影響や次世代への影響を評価するといった一連のプロセスが考えられている。
 
 なお,最近では分子生物学的な手法を応用した新たなスクリーニング法の開発が各国の研究機関で進められており,細胞や組織レベルでの作用メカニズムや作用の有無を評価するために用いられつつある。
 
(4)調査研究に当たって考慮すべき事項
 内分泌攪乱化学物質による人や野生生物への影響の発生可能性及びその防止対策を検討するに当たっては,環境媒体の汚染を通じて人や野生生物がその化学物質に曝露する可能性やその内分泌攪乱作用の強さ等を考慮した環境リスク評価を鋭意進め,それに基づく的確な環境リスク管理を行うことが重要と考えられる。なお,環境基本法及び環境基本計画の記述から明らかなように,野生生物への影響を防止すること自体が環境保全上の重要な目的であり,以下の点に留意して本問題への取組を進める必要がある。
(1)脊椎動物のホルモン作用が共通性をもっているか,また逆に,内分泌攪乱化学物質に対 する野生生物の感受性がその種類等によって相当程度異なる可能性があるか,
(2)化学物質の影響の発生機構を明らかにし,環境リスクを評価しようとする場合,水域の 環境汚染に特に着目すること,
(3)内分泌攪乱化学物質の環境中での挙動及び体内での代謝経路,代謝物質の作用性,及び
 複数の化学物質の複合影響にも十分留意すること,
(4)内分泌攪乱作用のメカニズムと同時に物質による作用の強さの違いをできるだけ明らかにし,これらの環境リスク評価を進めること,
(5)難分解性でしかも食物連鎖を通じて体内に高濃度で蓄積したり,あるいは代謝が遅く体外に排泄されにくい場合等など,環境リスク管理上特に留意すること,
(6)退治,乳幼児への影響による,世代をこえた長期的な影響の発生を未然に防ぐため,発生を未然に防止する観点から環境リスク評価及び環境リスク管理のあり方を検討すること。
 
(5)人畜由来女性ホルモン等及び植物ホルモン
 女性の尿中から排出される総エストロジェン量(天然エストロジェン)は,通常一日あたり数〜60μg程度,妊娠中(妊娠初期)は一日あたり200〜400μg程度排出されると言われている。また1999年に,わが国の薬事法により合成エストロジェンを含有する経口避妊薬(ピル)が承認された。しかし,これらの天然女性ホルモンが水生生物に対してどの程度の影響を及ぼすのかについて,未だ十分な知見は得られていない。これらの天然女性ホルモンは,環境調査においては比較的高濃度に検出されており,今後はこれらの環境中における濃度の測定,物質の物性,生分解性,濃縮性,生態毒性についての検討が必要である。水生生物への化学物質のリスク評価を考える際には,天然女性ホルモンの関与に十分配慮する必要がある。
 
 さらに,植物が作り出す天然の物質の中にエストロジェン様作用をもつ物質がある。有機塩素系化合物などでエストロジェン様作用を有するとされる化学物質に比べて,はるかに多くの量が食事などから摂取されている。我が国においては,エストロジェン様作用を有する植物由来の化学物質は健康にむしろ好ましい影響を及ぼしうるとして栄養学の分野等においても研究が進められている。こうしたことから,植物エストロジェンの人の体内での吸収・代謝機構や健康への影響,他の化学物質との対比,内分泌攪乱作用を有する人工の化学物質と共存した場合の複合影響等について,早急に研究を進める必要がある。
 
2.本問題に対する環境庁の対応状況と今後の方向性について
(1)基本的な考え方
 我が国における内分泌攪乱化学物質対策の本格的な調査研究は,わが国では平成10年度から着手されたので,いまだ科学的には不明な点が多い。しかし,人間及び生態系へ内分泌攪乱作用として影響を及ぼしているという指摘が事実であれば,取り返しのつかない危険性をはらんだ問題で,後世代に安全な環境を確保することをめざすことが重要である。内分泌攪乱作用が疑われている物質の有害性評価を行うとともに,環境中での様々な経路を通じたリスクを総合的に評価し,それに基づき有効な対策を策定することが基本となる。
 
 平成12年度から,政府のミレニアムプロジェクトに取り上げて,試験研究を加速的に推進している。この研究では,内分泌攪乱作用が疑われている物質のうち,優先してリスク評価に取り組むべき物質について有害性を評価し,これら物質の環境中挙動を調査する。また,国際共同研究や国際シンポジウム等学際的なフォーラムの下で科学的研究を加速的に推進し,各国と協調・連携を図りながら,新しい科学的知見に基づいて,行政的手段を遅滞なく講じうる体制を整備することとなっている。平成13年1月には環境省となり,国民の期待に応えるためにも,以下の点を十分留意し本問題の対策にあたることが肝要と考える。
 
○内分泌攪乱化学物質の判定と行政措置
 スクリーニング・試験法の開発・検証等を踏まえた,化学物質の内分泌攪乱作用の有無・程度やそのメカニズム等の解明については,各省庁の協力のもと,試験研究機関,大学及び民間企業・団体などで迅速かつ効果的に研究を推進できるよう支援する。また,環境中での検出状況や野生生物への影響等の調査等も迅速に進め,これら調査・研究成果が遅滞なく,行政措置に反映されるよう努めること。
○関係省庁との協力・連携
 食品,飲料水等の安全性の確保,化学品の安全な使用等,環境リスクの管理に密接に関連する分野の行政を担当する省庁との連携を密にし,相互間の情報交換を促進するともに,施策間の調整を図るための努力を一層進める必要があること。
○国際協力及び情報ネットワークの強化
 調査・研究分野の協力・交流を含めて二国間又は多国間の,あるいは国際機関を通じた国際協力体制を強化しつつ,行政的措置の検討を進めること。
 
2)環境庁における今後の取組み
(1)環境中での検出状況,野生生物等への影響に係る実態調査の推進
 これまで実施してきている調査を継続する。すなわち,内分泌攪乱作用を有すると疑われている化学物質の環境中での検出状況と環境への負荷源及び負荷量を把握し,環境を経由して人や野生生物にもたらされる曝露量を推定して,実際的な環境リスクの評価を行うための基礎的なデータ・情報を整備する。また,我が国に生息,渡来,回遊する野生生物(とくに水生生物と水辺の生物)を対象として,生殖機能,生殖行動等に係る異常の発生実態と体内の蓄積状況などを全国的に調査し,異常発生と汚染との因果関係を推定する。さらに,いくつかの指標を選定して人の健康への影響を継続的に調査する。
 
(2)試験研究及び技術開発の推進
 国立環境研究所を内分泌攪乱作用に関わる調査研究の拠点としていくことが求められる。また,大学その他の学術研究機関の関連する研究活動の支援も通じて,以下の試験研究及び技術開発を鋭意進めることとする。
・細胞レベルや動物実験による作用メカニズムの解明
・胎児期の曝露による影響発現の解明
・野生生物への曝露と影響の程度を計るためのバイオマーカーの開発・実用化
・人への曝露と影響の程度を計るためのバイオマーカーの開発・実用化
・内分泌攪乱化学物質の複合影響の解明
・植物エストロジェンの作用の解明
・汚染された環境の改善・修復等の二次的予防に係る技術の開発
・構造活性相関による解析手法の開発
・試験細胞により内分泌攪乱作用を判定するスクリーニング手法の開発・実用化
・動物実験により内分泌攪乱作用を判定するスクリーニング手法の検証・開発・実用化
・化学品の多世代影響を把握するための試験方法の開発・実用化
・内分泌攪乱化学物質の環境汚染濃度の簡易測定法の開発・実用化
・内分泌攪乱化学物質の高感度分析法等の計測技術の開発・実用化
 
(3)環境リスク評価,環境リスク管理及び情報提供の推進
 上記の調査・研究の成果を踏まえ,内分泌攪乱作用が疑われている物質について,優先順位の高いものから環境リスク評価を実施するとともに,環境リスク管理のための必要な対策を推進する。また,地方公共団体環境部局等と協力しつつ,新たな科学的な知見,環境リスク評価の結果等の情報を広く公表し,国民の正しい理解を助ける。
 
 平成12年度から,ミレニアムプロジェクトにより,約70の優先物質を中心に,優先順位の高いものから有害性評価を行うこととしている。なお,そのうち,平成12年度に優先して8物質(トリブチルスズ,4−オクチルフェノール,ノニルフェノール,フタル酸ジ−n−ブチル,オクタクロロスチレン,ベンゾフェノン,フタル酸ジシクロヘキシル及びフタル酸ジ−2−エチルヘキシル)を選定しリスク評価を実施する。また,各種調査結果に基づき2物質(スチレン2量体・3量体及びn−ブチルベンゼン)については,現時点においてはリスク評価の必要がないと判断した。
 
(4)国際的なネットワーク強化のための努力
 OECD等国際機関の活動の積極的な支援及び国際共同調査・研究,国際シンポジウムの開催等を進めるとともに,途上国への関連する情報の提供等にも努める。具体的には「内分泌攪乱化学物質問題に関する国際シンポジウム」の開催,英国との共同調査研究,残留性有機汚染物質(POPs)に関する条約の合意・採択への努力とその地球規模でのモニタリング活動への貢献,有害な化学物質及び農薬の国際貿易における事前通報・合意(PIC)手続に関する条約(ロッテルダム条約)の批准に
向けて取り組む。
 
参考) 内分泌攪乱作用を有すると疑われる化学物質
 
No. 物 質 名 環境調査 用 途 規 制 等
1.

 
ダイオキシン類

 


 
(非意図的生成物)

 
大防法,廃掃法,大気・土壌・水質環境基準,ダイオキシン類対策特別措置法POPs,PRTR法一種
2.

 
ポリ塩化ビフェニール類(PCB)

 


 
熱媒体,
ノンカーボン紙,
電気製品
水濁法,地下水・土壌・水質環境基準,74年化審法一種,72年生産中止,水濁法,海防法,廃掃法,POPs,PRTR法一種
3. ポリ臭化ビフェニール類(PBB) 難燃剤  
4.
 
ヘキサクロロベンゼン(HCB)
 

 
殺菌剤,
有機合成原料
79年化審法一種,わが国では未登録,POPs
 
5.
 
ペンタクロロフェノール(PCP)
 

 
防腐剤,除草剤,
殺菌剤
90年失効,水質汚濁性農薬,毒劇法,PRTR法一種
6. 2,4,5-トリクロロフェノキシン酢酸 除草剤 75年失効,毒劇法,食品衛生法
7. 2,4-ジクロロフェノキシン酢酸 除草剤 登録,PRTR法一種
8.
 
アミトロール
 

 
除草剤,分散染料,
樹脂の硬化剤
75年失効,食品衛生法,PRTR法一種
 
9. アトラジン 除草剤 登録,PRTR法一種
10. アラクロール 除草剤 登録,海防法,PRTR法一種
11.
 
CAT
 

 
除草剤
 
登録,水濁法,地下水・土壌・水質環境基準,水質汚濁性農薬,廃掃法,水道法,PRTR法一種
12.
 
ヘキサクロロシクロヘキサン,
エチルパラチオン

 
殺虫剤
 
ヘキサクロロシクロヘキサンは71年失効・販売禁止,エチルパラチオンは72年失効
13. NAC 殺虫剤 登録,毒劇法,食品衛生法,PRTR法一種
14. クロルデン 殺虫剤 86年化審法一種,68年失効,毒劇法,POPs
15. オキシクロルデン クロルデンの代謝物  
16.
 
trans-ノナクロル
 

 
殺虫剤
 
ノナクロル本邦未登録,ヘプタクロル72年失効
17. 1,2-ジブロモ-3-クロロプロパン 殺虫剤 80年失効
18.
 
DDT
 

 
殺虫剤
 
81年化審法一種,71失効・販売禁止,食品衛生法,POPs
19.
 
DDE and DDD
 

 
殺虫剤
(DDTの代謝物)
わが国では未登録
 
20. ケンセル 殺ダニ剤 登録,食品衛生法,PRTR法一種
21.
 
アルドリン
 

 
殺虫剤
 
81年化審法一種,75年失効,土壌残留性農薬,毒劇法,POPs
22.
 
エンドリン
 

 
殺虫剤
 
81年化審法一種,75年失効,作物残留性農薬,水質汚濁性農薬,毒劇法食品衛生法,POPs
23.
 
ディルドリン
 

 
殺虫剤
 
81年化審法一種,75年失効,土壌残留性農薬,毒劇法,食品衛生法,家庭用品法,POPs
24. エンドスルファン(ベンゾエピン) 殺虫剤 登録,毒劇法,水質汚濁性農薬,PRTR法一種
25. ヘプタクロル 殺虫剤 86年化審法一種,75年失効,毒劇法,POPs
26. ヘプタクロルエポキサイド ヘプタクロルの代謝物  
27. マラチオン 殺虫剤 登録,食品衛生法,PRTR法一種
28. メソミル ※1 殺虫剤 登録,毒劇法
29. メトキシクロル 殺虫剤 60年失効
30. マイレックス   殺虫剤 わが国では未登録,POPs
31. ニトロフェン 除草剤 82年失効
32. トキサフェン   殺虫剤 わが国では未登録,POPs
33.
 
トリブチルスズ
 

 
船底塗料,
漁網の防腐剤
90年化審法(TBTOは一種,残り13物質は二種),家庭用品法,PRTR法一種
34.
 
トリフェニルスズ
 

 
船底塗料,
漁網の防腐剤
90年化審法二種,90年失効,家庭用品法,PRTR法一種
35. トリフルラリン 除草剤 登録,PRTR法一種
36.



 
アルキルフェノール(C5〜C9)
ノニルフェノール
4-オクチルフェノール

 




 

界面活性剤の原料
油溶性フェノール
樹脂の原料,
界面活性剤の原料
海防法,PRTR法一種(ノニルフェノール,オクチルフェノールのみ)


 
37. ビスフェノールA 樹脂の原料 食品衛生法,PRTR法一種
38. フタル酸ジ-2-エチルヘキシル プラスチックの可塑剤 水質関係要監視項目,PRTR法一種
39. フタル酸ブチルベンジル プラスチックの可塑剤 海防法,PRTR法一種
40. フタル酸ジ-n-ブチル プラスチックの可塑剤 海防法,PRTR法一種
41. フタル酸ジシクロヘキシル プラスチックの可塑剤  
42. フタル酸ジエチル プラスチックの可塑剤 海防法
43. ベンゾ(a)ピレン (非意図的生成物)  
44. 2,4ージクロロフェノール 染料中間体 海防法
45. アジピン酸ジ-2-エチルヘキシル プラスチックの可塑剤 海防法,PRTR法一種
46.
 
ベンゾフェノン
 

 
医療品合成原料,
保香剤等

 
47.
 
4-ニトロトルエン
 

 
2.4ジニトロトルエンなどの中間体 海防法
 
48.
 
オクタクロロスチレン
 

 
(有機塩素系化合物
の副生成物)

 
49. アルディカーブ   殺虫剤 わが国では未登録
50. ベノミル ※2 殺菌剤 登録,PRTR法一種
51. キーポン(クロルデコン)   殺虫剤 わが国では未登録
52. マンゼブ(マンコゼブ) ※3 殺菌剤 登録,PRTR法一種
53. マンネブ ※3 殺菌剤 登録,PRTR法一種
54. メチラム   殺菌剤 75年失効
55. メトリブジン 除草剤 登録,食品衛生法
56. シペルメトリン 殺虫剤 登録,毒劇法,食品衛生法,PRTR法一種
57. エスフェンバレレート 殺虫剤 登録,毒劇法
58. フェンバレレート 殺虫剤 登録,毒劇法,食品衛生法,PRTR法一種
59. ペルメトリン 殺虫剤 登録,食品衛生法,PRTR法一種
60. ビンクロゾリン 殺菌剤 98年失効
61. ジネブ ※3 殺菌剤 登録,PRTR法一種
62. ジラム ※4 殺菌剤 登録,PRTR法一種
63. フタル酸ジペンチル   わが国では生産されていない
64. フタル酸ジヘキシル   わが国では生産されていない
65. フタル酸ジプロピル   わが国では生産されていない
 
※註

 


 
これらの物質は,内分泌攪乱作用の有無,強弱,メカニズム等が必ずしも明らかになっておらず,あくまでも優先して調査研究を進めていく必要性の高い物質群であり,今後の調査研究の過程で増減することを前提としている。
備考 (1) 上記中の化学物質のほか,カドミウム,鉛,水銀も内分泌攪乱作用が疑われている。
  (2) 環境調査は,平成10年度及び11年度全国一斉調査において,
     −: 全媒体で未検出,
     ◎: いずれかの媒体で検出されたもの,
     ●: いずれかの媒体で最大値が過去(10年度調査を含む)に環境庁が行った測定値を上回ったもの,
    無印: 調査未実施
    ※1: メソミルは代謝物としてメソミルを生成する他の物質由来のものとの合量で測定,

 

 
※2:
 
ベノミルは代謝物であるカルベンダジム(MBC)を測定(カルベンダジムを生成する他の物質由来のものを含む),

 

 
※3:
 
これらの3物質はナトリウム塩にした後,誘導体化して合量で測定(他の物質由来のものを含む可能性がある),
    ※4: ジラムはナトリウム塩にした後,誘導体化して測定(他の物質由来のものを含む可能性がある)






 
(3)





 
規制等の欄に記載した法律は,それら法律上の規制等の対象であることを示す。化審法は「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」,大防法は「大気汚染防止法」,水濁法は「水質汚濁防止法」,海防法は「海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律」,廃掃法は「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」,毒劇法は「毒物及び劇物取締法」,家庭用品法は「有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律」,PRTR法は「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」を意味する。地下水,土壌,水質の環境基準は,各々環境基本法に基づく「地下水の水質汚染に係る環境基準」「土壌の汚染に 係る環境基準」「水質汚濁に係る環境基準」をさす。
  (4) 登録,失効,本邦未登録,土壌残留性農薬,作物残留性農薬,水質汚濁性農薬は農薬取締法に基づく。

 
(5)
 
POPsは,「陸上活動からの海洋環境の保護に関する世界行動計画」において指定された残留性有機汚染物質である。
  (6) 11.CAT,13.NACについては,一般名に改めた。









 
(7)








 
1998年5月の「環境ホルモン戦略計画SPEED'98」でプライオリティーリストに入っていた「66.スチレン2量体・3量体」は,平成12年7月の「内分泌攪乱化学物質問題検討会(座長:鈴木継美東京大学名誉教授)」において,「スチレン2量体・3量体を構成する各々の化学物質については,包括的に現時点でリスクを算定することは技術的にみて現実的でないとともにその必要性はないと考えられる。なお,酵母ハイブリッド法で陽性と判定された4物質群についても,今回実施した実験系の結果と他の実験結果と必ずしも整合性があるとは言えないことから,これら4物質群については,生物活性などについて今後他の実験系の試験も活用してさらに詳細な究明が望まれる。」と位置づけられたので,当該リストから削除した。同様にリストに載っていた「67.nーブチルベンゼン」は,平成12年10月の同検討会において,「現時点では現実的なリスクが想定しがたいと判断されるべきものであり,数万以上ともいわれる多くの化学物質のなかで取り立てて,内分泌攪乱作用を現時点で評価する必要はないと考える。」と位置づけられたので,当該リストから削除した。
 
 

本の紹介 25:アジア環境白書2000/01
日本環境会議「アジア環境白書」編集委員会編,東洋経済新報社
(2000) 2,800円 ISBN4-492-44264-2

 
 
 NGO版「アジア環境白書」シリーズの第一弾として「アジア環境白書1997/98」(創刊)が世に送り出されたのは,1997年のことである。その後,わずか3年の間に,アジア地域の政治・経済・社会・環境は激変した。たとえば大陸中国では,各種の公害被害や環境破壊に対するひとびとの関心や取り組みが急速に高まっている。台湾の高雄では,「グリーン革命」に取り組み始めている。「アジア環境白書1997/98」で打ち出された基本メッセージは,”地球環境保全はアジアから!”というもので,アジア地域における足元の現実を重視し,地道な取り組みの積み上げが地球環境の保全への道を開く第一歩であるとしている。
 
 本書は,以下に示すようにテーマ編(エネルギー・鉱山開発と公害・廃棄物・海洋環境・地方自治),各国・地域編(フィリピン・ベトナム・インド・日本・韓国・タイ・マレーシア・インドネシア・中国・台湾)およびデータ解説編(所得格差と消費の拡大など23項目)から構成されている。
 
序文 21世紀にアジア環境協力をどう発展させるか
第1部 テーマ編
第1章 問われるエネルギー政策の選択
第2章 進む鉱山開発と繰り返される鉱害
第3章 さまよう廃棄物
第4章 海洋環境の破壊と保全
第5章  環境保全と地方自治
第2部 各国・地域編
第1章 フイリピン
第2章 ベトナム
第3章 インド
第4章 7ヵ国・地域,その後
〈日 本〉
〈韓 国〉
〈タ イ〉
〈マレーシア〉
〈インドネシア〉
〈中 国〉
〈台 湾〉
 

本の紹介 26:生命誌の世界,中村桂子著,NHK出版
(2000) 870円 ISBN4-14-084119-2

 
 
 「誤解を招くかもしれませんが,あえていうなら,新しい神話をつくっていく必要があると思うのです。といっても,科学と科学技術を捨てるというのではありません。歴史のなかで獲得してきた新しい知識は充分に生かして,しかし,生きる喜びを大切にするための世界観を作りあげたいと思うのです。そのためには,自然・人間・人工(都市・制度・政治・経済・科学技術など)の関係を明確にする必要があるのではないでしょうか。」,「科学が,分析・還元・論理・客観を旗印にしているために,そこでおこなわれた生命現象の解明が,まるのままの生きものや人間とはなにかという日常の問いへの答えにつながっていかないもどかしさを感じるのです。」,「生命誌とはなにか。それは追い追い語っていきますが,基本を科学に置きながら生物の構造や機能を知るだけでなく,生きものすべての歴史と関係を知り,生命の歴史物語(Biohistory)を読みとる作業です。」。これらは,いずれも本書の「はじめに」にみられる文章である。まさに,36億年の物語を読みとる楽しみのある本である。
 
 この本は,著者がおこなったNHKの「人間講座」の講義に基づいているためか,話し言葉で書かれており親しみやすい。21世紀の人と社会のあり方について考える多くの人々に読んでいただきたい本である。
 
 生命の共通するパターンが提示される。「積み上げ方式」「内側と外側がある」「情報によって組織化され,しかも,独自のものを産み出す」「情報のかきまぜで複雑化,多様化がおきる」「偶然が新しい存在につながる」「少数の主題で数々の変奏曲を奏でる」「常につくられたり壊されたりしている」「循環が好き」「最大より最適が合っている」「協力的な枠組みのなかで競争している」「生きものは相互に関係し依存し合っている」。著者は,この生命誌から見えてきたものを考慮した社会づくりも提唱している。生命誌は,哲学であり社会学であり,人間論でもある。
 
はじめに
第1章 人間の中にあるヒト
第2章 生命への関心の歴史
第3章 DNA(遺伝子)が中心に
第4章 ゲノムを単位とする
第5章 自己創出へ向う歴史
第6章 生・性・死
第7章 オサムシの来た道
第8章 ゲノムを読み解く
第9章 ヒトから人間へ
第10章 生命誌を踏まえて未来を考える
第11章 生命誌を踏まえて未来を考える
第12章 生命を基本とする社会
あとがき
前の号へ ページの先頭へ 次の号へ
目次ページ 索引ページ 検索ページ 農業環境技術研究所トップページ