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情報:農業と環境
No.24 2002.4.1

 
No.24

・農業環境技術研究所:研究成果発表会のお知らせ

・地球温暖化対策推進大綱が決まる

・初代農事試験場長:沢野 淳(1859-1903)

・平成13年度農業環境研究推進会議が開催された

・農業環境技術研究所と統計情報部との平成13年度連絡会が開催された

・農業環境研究成果情報(第18号)が刊行された

・農業環境技術研究所年報−平成12年度−刊行

・NIAES Annual Report 2000/2001 刊行

・移入鳥類が定住に成功するための決定要因

・本の紹介 74:植物栄養学,森 敏・前 忠彦・米山忠克編,
   文永堂出版(2001)

・情報:農業と環境 総目次(No.1 - No.24: 2000.5 - 2002.4)

・情報:農業と環境 索 引(No.1 - No.24: 2000.5 - 2002.4)


 

農業環境技術研究所:研究成果発表会のお知らせ
 
 
 農業環境技術研究所は,20014月に独立行政法人として新しいスタートを切りました。発足1周年を迎えるにあたり,研究所の調査研究内容を広くご理解いただくために,研究成果発表会を開催いたします。多数の方々のご来場をお待ちしております。
 
  日 時:2002年4月23日(火)13:00〜17:00
  場 所:エポカル(つくば国際会議場)中ホール300
 
プログラム:
    挨  拶
     独立行政法人 農業環境技術研究所 理事長 陽 捷行
 
1.特別講演
  「環境リスクマネージメント」
  産業技術総合研究所 化学物質リスク管理研究センター長
  横浜国立大学大学院環境情報研究院 教授    中西 準子
 
2.研究成果発表
 1) 農耕地から発生する温室効果ガスの発生量と制御技術
 
    地球環境部 温室効果ガスチーム
 2) 地球温暖化に伴う食料生産変動予測
 
    地球環境部 食料生産予測チーム
 3) 遺伝子組換え作物の環境への影響評価
 
    生物環境安全部 組換え体チーム
 4) 農業環境に残留するダイオキシンの現状
 
    化学環境部 ダイオキシンチーム
 
3.総合討論
 
          −−−−−−−−−−−−−−−
問い合せ先:独立行政法人農業環境技術研究所 企画調整部 研究企画科 今川俊明
  電話:0298-38-8180FAX0298-38-8167
なお,発表会終了後行われます懇親会の中で,『農環研友の会』を発足させる予定でおります。
 
 

地球温暖化対策推進大綱が決まる
 
 
 温室効果ガスの削減を義務づける京都議定書批准に向けて,国内対策の枠組みを定めた「地球温暖化対策推進大綱」の改正案(新大綱)が3月19日,政府の「地球温暖化対策推進本部」で決定された。要旨は次の通りである。
●COP3の京都議定書を的確かつ円滑に実施することにより地球温暖化対策の推進を図り,現在や将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与し,人類の福祉に貢献することを目的とする。
●政府は気候変動に関する国連枠組条約,京都議定書に規定する年次目録を作成するため,毎年温室効果ガス排出量と吸収量を算定し,環境省令により公表する。
●政府は京都議定書に基づく約束を履行するため,目標の達成計画を定めなければならない。
●達成計画は,
▲温室効果ガスの種類ごとの排出抑制と吸収量に関する目標
▲そのために必要な措置の目標
▲必要な国と地方公共団体の施策などを定める。
●政府は,平成16年と19年に温室効果ガスの排出量などを勘案し達成計画に検討を加える。
●本部長には,内閣総理大臣,副本部長には内閣官房長官,環境大臣,経済産業大臣をあてる。本部員はすべての国務大臣をあてる。
●都道府県と市町村は達成計画を勘案し,区域の自然的社会的条件に応じて総合的,計画的な施策を策定,実施する。
●地球温暖化防止活動推進員は住民の求めに応じ,日常生活に関する排出抑制などの調査や指導,助言を行う。
●都道府県知事は,特定非営利活動法人(NPO)で規定する事業を適正に行えるものを都道府県に一つ,地球温暖化防止活動推進センターとして指定できる。
●政府および地方公共団体は,森林,林業基本計画などに基づき温室効果ガスの吸収作用の保全,強化を図る。
 
 新大綱では,京都議定書に定められた日本の温室効果ガスの削減目標(平成20年から24年の年平均排出量を平成2年比6%削減)を達成するため,旧大綱で定められていた産業部門での削減値(2年比で7%)に加え,排出量増加が続く民生部門で2%削減するとした。
 
 民生部門の二酸化炭素(CO)削減では,地域の対策協議会による取り組み促進などのほかに,具体的な取り組みとして,●1日1時間,テレビの利用を減らす(19万―35万トン減),●1日1分,家族全員がシャワーを減らす(93万トン減),●白熱灯を電球型蛍光灯に代える(74万―141万トン減),●電力消費の少ない電子レンジに買い替える(35万トン―68万トン減),●ジャーの保温を止める(44万トン―85万トン減)など,国民に生活スタイルの改善を求めている。
 
 また,平成22年までの原子力発電による電力量を12年比で3割増すために原発の新増設(10―13基)が必要であるとし,このために国民の合意に向けた広聴・広報活動の強化が必要であることを掲げている。
 
 新地球温暖化対策推進大綱の要旨は次の通りである。
【6%削減への方針】
 現行対策では,平成22年の温室効果ガス排出量が平成2年比で約7%の増加になると予測されるので,平成2年比60%を達成するには,現行に加えて基準年比で約13%の排出削減が必要となる。削減約束期間(20―24年)の石油,石炭などエネルギー関連のCO排出量は2年と同水準とし,非エネルギー起源のCO,メタンなどを0.5%分削減する。革新的技術開発と国民の温暖化防止活動で2%分削減する。代替フロンは2%程度増にとどめる。森林による吸収量は3.9%分とする。
 
【目標達成への対策】
 エネルギー起源のCO排出量を産業部門は7%減,民生部門は2%減,運輸部門は17%増に抑制する。家庭用エネルギー管理システムを30%の世帯に普及する。待機時消費電力の低い商品を選べる仕組みをつくる。太陽光や風力,廃棄物発電,バイオマス発電など新エネルギーを導入する。原子力発電は,22年度までに発電量を12年比で30%増やす。
 
【国民の活動】
 「環(わ)の国くらし会議」などを通じ国民の理解を得る。新たな生活スタイルを形成する。テレビを見る時間を1日1時間減らし,風呂の残り湯を洗濯に使うなど,新たな生活スタイルを形成する。カーエアコンの温度を1度高くし,経済的速度を守るなどのエコドライブを推進する。
 
【京都メカニズム】
 国際排出量取引に備え,国際的な議論や知識,経験の蓄積に務め,制度の在り方を検討する。12年以降の削減量の認証制度を早期に整備する。削減量移動の国内登録簿を18年夏までに整備する。
 
 

初代農事試験場長:沢野 淳(1859ー1903)
 
 
 独立行政法人農業環境技術研究所の歴史は,明治26年(1893)に設立された農商務省農事試験場に始まる。今から109年も前のことである。最初の農事試験場は,種芸部・煙草部・農芸化学部・病理部・昆虫部・報告部・庶務部から構成され,国民に食料を供給するための研究所として,長い年月をかけて着実に発展してきた。
 
 誕生から57年の歳月を経た農事試験場は,昭和25年(1950)に農業技術研究所に改組され,新たな組織は,生理遺伝部・物理統計部・化学部・病理昆虫部・経営土地利用部・農業土木部・園芸部・家畜部・畜産化学部・庶務部から構成された。この組織は社会の変遷に伴って,11年後の昭和36年(1961)には園芸部および農業土木部が,それぞれ園芸試験場および農業土木試験場へと分化し,専門の研究所へ発展した。その結果,農業技術研究所には,生理遺伝部・物理統計部・化学部・病理昆虫部・経営土地利用部・庶務部が残ることになった。
 
 その後,22年の歳月を経た農業技術研究所は再び変貌し,農業環境技術研究所と農業生物資源研究所と農業研究センターに分化していった。今から19年前の昭和58年(1983)12月のことである。この農林水産省農業環境技術研究所は,農業生産環境を含む農業環境の制御・保全・利用に関する先導的・基盤的技術開発を行う機関として発足し,17年と4ヶ月の歳月を経てその役目をひとまず終えた。しかし,平成13年4月に新しく独立行政法人農業環境技術研究所として甦生した。
 
 この歴史の変遷を百年以上も静かに眺めていた存在がある。誰あらん。それは明治26年に農事試験場の初代場長となった沢野 淳の胸像である。東京都は北区西ヶ原の農業技術研究所の玄関に,厳めしい面構えで前方を見据えている髭の紳士の胸像があったことを記憶されている関係者も多いであろう。
 
 西ヶ原から筑波研究学園都市に移転した農業技術研究所は,沢野 淳の胸像を大会議室の正面左側に据えた。その胸像は,農業技術研究所が農業環境技術研究所へ変遷する姿を静かに眺めていた。しかし,農業研究センターにギャラリーができ,そこに多くの農業関係の資料が集まるのを横目に眺めていたが,このギャラリーこそ農業全般を見渡すのに最適な場所であることから,平成8年(1996)に農業環境技術研究所から農業研究センターのギャラリーに移された。この胸像は,いまでも悠然とした姿でギャラリーに鎮座している。
 
 沢野 淳は安政6年(1859)摂州三田(さんた)に生まれた。氏は農事試験場の創設を力説した。また,わが国固有の農業法(老農技術)を取り入れ,農学の研究をもって改進の道を講ずれば,わが国の農業は大いにその実を挙げることができると説いた。氏は,明治16年(1883)2月に駒場農学校を卒業(第3回卒業生)後,母校に勤務した。
 
 その後,農商務省農務局に転じ,明治19年(1886)から東京府下で民有地を借り入れ稲・麦・油菜等の試験を開始した。これが重要穀菜試作地である。さらに,明治22年(1889)にはドイツ・フランス・アメリカ・インドへ出張し,先進国の農事試験の実状を調査した。
 
 帰国後,明治23年(1890)に農務局第一課長と第五課長を兼務した。そのとき,北豊島郡西ヶ原農商務省用地内に畑2haと近傍の民有田40aを借りこれを試作地とした。これが農務局仮試験場農事部である。次いで明治25年(1892)に,農事試験場予算が議会で可決され,翌1893年農事試験場が設置された。本場を東京西ヶ原に,支場を大阪・宮城・石川・広島・徳島・熊本の6カ所に置き,沢野は初代農事試験場長に任命された。
 
 明治36年(1903)5月,第5回内国勧業博覧会審査のため大阪に出張中,病に罹って没した。享年45歳であった。しかし,いまも沢野 淳初代場長の胸像は,わが国の農業の行く末と後輩の姿をギャラリーで静かに見守っている。
 
参考資料:農業技術研究所八十年史,農業技術研究所(昭和49年)
     農林水産省農業環境技術研究所17年の歩み(平成12年)
 
 

平成13年度農業環境研究推進会議が開催された
 
 
 平成13年度農業環境試験研究推進会議が,さる2月28日と3月1日に,農業環境技術研究所において開催された。

 この会議は,農林水産省関係行政部局と関係研究機関等からの要望等を受け,農業環境研究に関する意見交換を行い,研究の推進を図るため,農林水産省の関係行政部局および関係する独立行政法人,公立の研究機関等からの出席のもとに開かれたものであるが,推進部会には関係研究機関の研究者も多数参加した。
 
本会議
 農業環境試験研究推進会議本会議は,2月28日の午前,農水省の農業環境関係行政部局,農林水産技術会議事務局,および平成13年度から独立行政法人となった農業環境に関係する検査,研究機関から38名,農業環境技術研究所から23名が参加して開かれた。
 
1.あいさつ
 
 ●独立行政法人 農業環境技術研究所 陽 理事長
 (要約)
 農業環境技術研究所は,昨年の4月に独立行政法人に移行してから1年を迎えようとしている。この推会議は,これまでの技術会議主導から,農環研自らが主催するシステムになった。5年後の中期計画終了時に農環研の成果が問われるとき,公共性・自主性・透明性の観点から評価が行われる。この一年間にれわれが主体的に取り組んできたこと,これから取り組もうとしていることを,これらの観点から振り返ってたい。

 まず第一に,農林水産省所管の環境関連の研究機関(農は農環研,林は森林総合研究所,水は水産合研究センター)が集まって3所連絡会を作った。すでに3所の共催でシンポジウムなどを開催しており,林水産業にかかわる環境問題に協力して取り組んでいく体制ができた。さらに,この取り組みを進めて,省庁の枠を超え,代表的な環境の研究所が参画する環境研究機関連絡会(9所環境研究連絡会)を設け昨年の秋に発足の会合をもった。

 第二の取り組みとしては,この一年間,北海道から九州までの研究機関を理事長と理事が行脚して,新い研究所の説明を行い,各地域の環境研究の重要課題と,農業環境技術研究所への期待を聞いてまわた。その集大成として,本日午後の推進部会で地域の農業環境問題と農環研の関わりについて討議したい。

 第三に,海外との研究協力に関する覚え書き(MOU)の締結がある。昨年は韓国の研究機関とMOU締結した。今年は,中国やASEAN諸国のいずれかとMOUを締結したいと考えており, 農環研が将来と農業の立場から,国民の,あるいはアジア近辺の人々の環境問題に大いに貢献できることを期待してい以上のようなことを念頭に入れていただき,経の会議では率直なご意見をいただきたい。
 
 ●農林水産省 農林水産技術会議事務局 宮下 研究開発課長
 (要約)
 この一年間の科学技術をめぐる情勢の動きは,非常にめまぐるしいものがある。最近の情勢について点ほどお話してあいさつにかえたい。

 まず1点目は,予算を巡る動きである。14年度の予算は全般に大変厳しい状況の中で,科学技術関連算は増額され,総合科学技術会議の主導のもと,特に「ライフサイエンス」,「IT」,「ナノテク」,「環境」の重点4分野に対して,予算の重点的な配分が行われた。「環境」分野を見ると,シナリオ主導型で,各省庁が携して推進するシステムがとり入れられ,「省庁連携」や「産学官の連携」が平成14年度予算のキーワーとなっている。

 2点目は,安全性を巡る問題である。昨今のBSE(牛海綿状脳症)等の問題を契機にして,食の安全性対する国民の関心は非常に高まっている。環境問題という点からみると,カドミウムやダイオキシンの耐容摂取量の見直しの検討がCODEXで行われており,研究においてもリスクアセスメントの視点から,試験研の設計,データの解釈,あるいはデータの公表までを行っていくことが必要になってきている。技術会議事局としては平成15年度に向けて,「化学物質の総合リスク管理」などの研究のプロジェクト化に向けて検を進めていきたいと考えている。

 3点目は,科学技術システムである。総合科学技術会議主導で行われている科学技術予算編成のもうつの目的は,科学技術のシステム改革である。すなわち競争原理の発揮,公正かつ透明性の高い評価,るいは人材の流動性の向上,産学官連携等,科学技術のシステム改革を誘導するために様々な試みをっている。そのため研究マネジメントの新しい試み,さらには職員,研究員の採用,事務的な面では予算執行など,あらゆる面で創意工夫をこらした柔軟な組織運営を行い,研究を活性化することが求められてる。農環研が独法のメリットを十分に生かした運営を行い,研究がますます発展することを祈念する。
 
 
2.平成12年度農業環境試験研究推進会議において行政部局から出された要望等への対応状況
 昨年12年度の推進会議で行政部局から出された要望事項等と,それに対する当研究所の対応状況等を報告した。
 
 
3.平成13年度研究推進状況の総括
 平成13年度の研究所の運営について,独立行政法人移行時の組織改革と中期目標に定められた3つの研究の柱について説明し,独立行政法人運営の三原則(公共性,自主性,透明性)にもとづいた活動を紹介した。続いて,平成13年度の研究の実施状況について,中期計画小課題,受託プロジェクト研究等,法人プロジェクト,他の研究機関等との連携研究などを説明した。また,昨年10月に締結した,当所と大韓民国農村振興庁農業科学技術院との間の日韓共同研究に関する覚え書き(MOU)を紹介した。
 
4.平成13年度評議会報告
 法人が独自に行う機関評価として,昨年11月に当研究所で開催された「平成13年度独立行政法人農業環境技術研究所評議会」の概要を説明し,評議員からの指摘事項を報告した。
 
 
5.平成13年度に実施した研究会・シンポジウムの概要報告
 過去1年間に農業環境技術研究所が開催した研究会・シンポジウム(8件)の概要を報告した。
 
 
6.平成14年度のプロジェクト・研究会・シンポジウムの予定
  当研究所が中心となって実施する来年度のプロジェクト研究等の実施予定,および,研究所が催する研究会・シンポジウムの今後1年間の開催予定(8件)を紹介した。
 
 
7.行政部局及び研究機関からの要望
(1)
 
農水省 大臣官房 企画評価課 
(楠川 調査第1係長)
 持続可能な開発に関する世界首脳会議,ヨハネスブルグ・サミットが本年8月末から9月に開催される。また,WTOの次期農業交渉にむけて農業の多面的機能などが論議されるので,農業環境技術研究所に協力をよろしくお願いしたい。
 
(2)
 
農水省 生産局 農産振興課 農業環境対策室 
(藤本 室長)
 独立行政法人となった研究所に対して,行政に役立つ研究ばかりを要求することはできないと思うが,行政の変化はどんどん速くなっているので,先を見こした研究の推進をお願いする。また今までの研究蓄積の中から何が言えるのかを常に整理しておいていただきたい。

 農地における二酸化炭素の吸収量と排出量について,これまでに蓄積された有機物施用試験の知見やデータを整理してほしい。地域農業に有機物資源循環システムを導入する際の温室効果ガス発生抑制技術につながるような,新しい知見が生まれてくるのではないか。

 また,行政の方向の大きな変化の一つに,農家への支援方策の考え方がある。農薬の環境影響評価手法を農家への直接支払いの基準にどう反映できるか,視点を示していただきたい。
 
(3)
 
農水省 農村振興局 計画部 資源課 
(富田 農村環境保全室長)
 農業環境技術研究所とは,定期的に会合を持って情報交換をしている。農村振興局は昨年組織の改正があり,ハード面で大きく方向転換した。ソフト面では,土地改良法の改正によって土地改良事業の中に環境への配慮が取り入れられることになり,4月から新たなシステムが動きだす。生物多様性戦略の見直し,あるいは里地・里山の農業生態系をどうとらえ,どのように配慮するかが大きな課題となっている。事業の環境配慮においては,生き物への対応,農村生態系のとらえ方など現場の人々が地域の人と議論していくための,方法論や哲学を含むさまざまな情報が必要とされている。農業環境技術研究所の持っているさまざまな情報,成果を利用させていただきたい。
 
(4)
 
独立行政法人 東京肥飼料検査所 
(逸見 肥料管理課長)
 東京肥飼料検査所の中期計画では,肥料関係の調査研究課題として重金属分析法,腐熟度判定などがあるが,研究機関ではないため,新しい分析方法の知見を得にくい。

 重金属関係の分析,あるいは昨年末にノニルフェノールの緊急調査受託があったが,環境影響評価手法の開発が求められる内分泌かく乱物質等について,肥料に関わる分析方法を早急に検討しなければならない。農業環境技術研究所の関係部門から知見・情報をいただきたい。
 
(5)
 
独立行政法人 農薬検査所 
(渡辺 検査部長)
 農薬検査所は,調査研究の重要課題として,農薬の土壌中移行ガイドライン検討のための評価地点の選定,農薬中ダイオキシン類の分析法の開発に取り組んでいる。資材中のノニルフェノールの分析を緊急調査として実施しており,農業環境技術研究所の研究者から今後も助言をいただきたい
 
(6)
 
独立行政法人 農業技術研究機構 中央農業研究センター 
(原田 土壌肥料部長)
 農業環境技術研究所と他の法人との業務の仕分けによって,農業環境と作物生産に関る環境問題とがわけられ,中央農業研究センターでは環境保全型農業など生産技術の開発を進めている。しかし,都道府県の研究機関では環境研究が多様化し,生産に直接にはかかわらない研究成果も出てくるようになっている。このような,われわれが扱いにくい環境研究については,たとえば成果の扱いや検討,指導などを,農業環境技術研究所の方でお願いしたい。
 
(7)
 
独立行政法人 農業工学研究所 
(袴田 農村環境部長)
 土地改良事業での環境配慮に関しては,昨年の法人化の際に農業環境技術研究所から農業工学研究所に移った組織,研究者が対応している。農業工学研究所では,現場を向いた研究が主である。また,ソフト,手法面での研究よりも,モノや施設などを作るハードの面が強い。今後,われわれが農村環境部で,現場を向いて,環境的仕事を扱うためには,農業環境技術研究所との連携をより強める必要があると考えている。環境保全的機能など多面的機能を整理していくために,農業環境技術研究所の研究成果に期待している。
 
(8)
 
独立行政法人 国際農林水産業研究センター 
(伊藤 生産環境部長)
 国際農林水産業研究センターは海外に研究拠点を持っているが,研究者等の派遣については農業環境技術研究所にお世話になっている。今後も支援をいただきたい。われわれは現場に密着して小規模な研究を実施している。農環研は多くの地球規模の研究を行っており,そのギャップを埋めるようなアプローチ,手法を教えていただきたい。それによって,われわれの研究が面的に広がることを期待する。
 
(9)
 
独立行政法人 食品総合研究所
(永田 流通安全部長)
 農環研とは分析の関係でいろいろな情報交換,交流がある。ラボの品質保証について,農環研ではどのように進めていくのかお聞きしたい。ダイオキシン等の分析では,経済産業省の計量証明事業者認定制度ができたが,このような認定や精度管理にどのように取り組んでいくのか。リスク・アナリシスの専門家など人材の養成をお願いしたい。これからの食品の安全を考えると,環境由来の汚染が大きな問題である。この分野にも力を入れてほしい。
 
(10)
 
独立行政法人 水産総合研究センター 瀬戸内海区水産研究所 
(藤井 生物影響研究室長)
 水域環境における有害化学物質が研究のキーワードの一つとなっている。水域の化学物質のほとんどが陸域環境に由来する。農薬の流出などの軽減化・監視の研究を継続してほしい。農・林・水の連携を今後も大事にしていきたい。
 
(11)
 
独立行政法人 森林総合研究所 
(佐々 研究管理官)
 地球環境問題などさまざまな環境研究で連携してきている,今後もよろしくお願いしたい。環境中の有害化学物質,特にカドミウムについて,森林環境ではこれまで樹木のカドミウム固定の側面がおもに研究されてきたが,森林の中の食料である山菜についても研究を進めている。基礎データ等が必要な場合には,農業環境技術研究所とも連携して新たな展開をしていきたい。
 
(12)
 
独立行政法人 農業技術研究機構 中央農業研究センター 北陸研究センター
(執行 北陸田部長)
 農業環境に関する基盤的な知見を蓄積し,理念を作ることが農業環境技術研究所の使命だと思う最近,消費者のあらゆるニーズに応えるためにさまざまな機能性成分を持つ水稲や畑作品種が登録されている。しかし従来の作物も必ず何か理由があって残っているはずだという議論もある。日本人の生活について,もっと物申す必要を感じている。農環研には,もっと日本人が生きるための理念を伝えることを期待したい。
 
(13)
 
独立行政法人 農業技術研究機構 果樹研究所 
(福元 生理機能部長)
 平成14年度からの地球温暖化研究プロジェクトに当所の研究室も参画することになった。果樹は20年から30年間同じ場所で栽培されるため,温暖化の影響を非常に大きく受けることになるわれわれは小さな研究所であり,対応できる研究者も少ないので,農業環境技術研究所の協力をお願いしたい。
 
(14)
 
独立行政法人 農業技術研究機構 畜産草地研究所 
(及川 草地生態部長)
 畜産草地研究所の中期計画は,食の安全・自給率・環境保全を3本柱にしている。草地は一般に水源の近くにあり,水源の汚染の可能性について協力を強めていきたい。また,耕畜連携として,家畜排せつ物の堆肥化を進めようとしているが,これまでアンモニアを空中に揮散し放題にしていたなどの問題がある。これについてプロジェクトを検討しているので,協力をお願いしたい。
 
(15)
 
独立行政法人 農業技術研究機構 花き研究所 
(腰岡 生理遺伝部長)
 組換え体の環境影響評価について共同研究などで協力をお願いしたい。地球温暖化は花き生産にとって重要であるが,農業環境技術研究所との間でどのような連携がありうるか検討していきたい。
 
(16)
 
独立行政法人 農業技術研究機構 動物衛生研究所 
(三浦 安全性研究部長)
 BSE(牛海綿状脳症)問題では,肥料にかかわる環境安全性についてプロジェクトが検討されている。肥料の取扱いについては経験がないので,協力をお願いする場面があると考えている。
 
(17)
 
独立行政法人 農業技術研究機構 東北農業研究センター 
(中山 地域基盤研究部長)
 東北農業研究センターは地域のセンターとして,生産環境に限らずさまざまな環境問題が持ち込まれる。現場の問題について,農業環境技術研究所,農業工学研究所とも連携して対応していきたいので,今後も協力をお願いする。
 
(18)
 
独立行政法人 農業技術研究機構 近畿中国四国農業研究センター 
(宮井 地域基盤研究部長)
 環境保全型農業では天敵利用の技術開発に取り組んでいる。導入天敵の生態系影響の問題については,農業環境技術研究所と連携してその解決のために対処していきたい。
 
(19)
 
独立行政法人 農業技術研究機構 九州沖縄農業研究センター 
(金森 環境資源研究部長)
 農業環境技術研究所とはプロジェクト研究等で協力してきている。これからもよろしくお願いしたい。
 
(20)
 
北海道立中央農業試験場 
(能代 農業環境部長)
 中央農業試験場では平成12年度より農業環境部ができ,他の7試験場の土壌肥料科はなくなって,栽培環境科,園芸環境科などになった。これから環境研究がますます進められていくと考えている。農業環境技術研究所はその研究勢力を地域の環境問題を解決する方向に向けてほしい。研究費も多少ついてくるともっとありがたい。
 
(21)
 
福岡県農業総合試験場 
(大我 生産環境研究所長)
 指定試験地でカキ害虫の天敵利用の研究をしている。かなり有望なものも出ており,特長のある地域農産物を作る手法と考えているが,現地の農家への技術浸透は少ない。国には外来昆虫の導入について規制の緩和をお願いしたい。生態系影響についても,国の研究成果を参考にしながら進めていきたい。
 
 
推進部会:議題「グローバル化が地域農業に及ぼす影響と農業環境問題」
 2月28日午後,本会議の出席者のほかに各研究機関の研究者などが加わり,約90名が出席して開催された。
 
  (趣旨)
 21世紀は環境の時代といわれるが,WTOに代表されるグローバル化は農林水産業と環境の関係を危うくしかねない。WTOにおける議論が推し進められた場合,輸入国の農林水産業は縮小に次ぐ縮小を余儀なくされる。こうした状況に対応するため,各地域では生き残りをかけた農業生産戦略(政策)をたてている。しかし,WTO等によるグローバル化による農業環境の急激な変化は,自然循環機能の喪失等,地域農業に大きな影響を及ぼし,その結果,さまざまな環境問題を生じている。

 本部会では,当方からグローバル化とそれに伴う環境問題を総括的に示す。また,地域農業研究センター及び関係公立場所から,グローバル化の中で各地域が取ろうとしている農業戦略と,予想される環境問題を提示してもらう。さらに,その問題の解決に向けて当所がどう支援・協力出来るのかを議論する。このことによって,農業環境技術研究所と地域との連携・協力につながる方策を探る。
 
 
(議事次第)
1. 理事長あいさつ
2. グローバル化と農業環境問題
    清野 豁(農業環境技術研究所 企画調整部長)
3. 地域におけるグローバル化への対応と農業環境問題
    高橋賢司(農研機構 北海道農業研究センター 生産環境部長)
    武田眞一(岩手県農業研究センター 生産環境部長)
    渡辺和彦(兵庫県立中央農業技術センター 農業試験場 環境部長)
    假屋尭由(農研機構 九州農業研究センター 畜産飼料作研究部長)
    太田 充(静岡県庁 農林水産部 研究調査室 主幹)
4. 地域の農業環境問題解決へ向けての提案
    竹内 誠(農業環境技術研究所 化学環境部 研究リーダー)
5. 総合討論
 
 
(総合討論の概要)
 グローバル化と地域の農業環境問題について,1)経済のグローバル化がわが国の地域農業におよぼしている影響,2)環境負荷物質による環境影響の評価と負荷軽減技術,3)農業環境技術研究所と地域の研究機関との連携などが議論された。

 1)に関して,県の研究機関や地域農業センターからは「外国産の農作物が安く大量に輸入されわが国の地域農業は大きな打撃を受けている」,「わが国の畜産業が外国産に対抗しようとすると輸入飼料に頼らざるをえない」,「食品廃棄物の飼料化も進められているが,結局は輸入食品の廃棄物が多くなっており,わが国の食料自給率を上げなければ環境負荷は軽減できないのではないか」などの発言があった。

 2)に関して,「畜産廃棄物の堆肥化と施肥基準のあり方について環境容量の面から考えなおす必要がある」と,農環研理事長から問題が提起された。これを受けて,県の出席者からは「農業廃棄物を拡散させずに有効に利用する技術として,バイオマスのエネルギー化が重要であるが,問題点もある。」という発言,地域農業センターからは「現状では,畜産廃棄物は堆肥として環境中に拡散的に還元せざるをえない。その際の環境容量の評価や適切な施肥基準の設定に関して農環研の協力を求めたい。」という発言があった。

 硝酸性窒素量など水系の水質の推定モデル構築について英国との共同研究が,地域農業研究センターから紹介された。これに対して,農環研から「農環研で開発された『水質評価・解析システム』は,自然循環機能,多面的機能,日本の土壌の特殊性などを考慮した実用的なシステムであり硝酸性窒素だけでなくカドミウムなどの評価にも利用できる。全国各地の流域に適用可能なので,流域のデータのインプットや解析結果のフィードバックなどの協力をぜひお願いする。」と補足説明があった。また,県の出席者から,「環境負荷を軽減させる方法の一つとして,局所施肥技術による肥料の効率的な利用を推進していきたい」と発言があった。

 3)について,「グローバル化に対応して各地に共通する環境問題の解決に早急に取り組む必要がある。農業環境に関する研究シーズを調査し,農環研を核とする共同研究を実施してはどうか」という提案があった。
 
 
成果情報部会
 2日目の午後に,本会議の出席者など約36名が出席して,農業環境研究の主要成果候補について検討した。

 農業環境技術研究所から提出された平成13年度の主要成果21課題全部が,主要成果として採択された。なお,そのうち5点については,公表前に一部修正を加えることになった。

 なお,これらの主要成果は,北海道立根釧農業試験場からの成果1件を加えて,「農業環境研究成果情報(第18集)」として,平成14年3月末に公表された。(別項目:「農業環境研究成果情報が刊行された」を参照)
 
 
 

農業環境技術研究所と統計情報部との
平成13年度の連絡会が開催された

 
 
 独立行政法人農業環境技術研究所と農林水産省統計情報部との平成13年度の連絡会が,農業環境技術研究所において開催された。
 
日 時: 平成14年3月15日(金)14:00〜17:15
場 所: (独)農業環境技術研究所中会議室
参加者: (統計情報部)

 
山岸企画調整室統計管理官(上席),
岩濱企画調整室課長補佐(調査改善班),
  松山企画調整室調査調整係長(調査改善班),
  西村構造統計課課長補佐(農林業センサス統計班担当),
  計良地域・環境情報室課長補佐(環境班担当),
  藤澤生産統計課課長補佐(調査技術班担当)
  (農業環境技術研究所)


 
清野企画調整部長,
今川研究企画科長,
林地球環境部長,

 
谷山食料生産予測チーム長,
鳥谷気象研究グループ研究リーダー,

 
井手植生研究グループ研究リーダー,
岡本食料生産予測チーム主任研究官,
  ディビッ・スプレイグ生態システム研究グループ主任研究官
 内 容:
1.話題提供(統計情報部)
 (1) 統計情報の新たな公表体系等について
 (2) 2000年世界農林業センサス農業集落マッピングシステムについて
 (3) 生物生息地の保全管理への取組状況について
 
2.話題提供(農業環境技術研究所)
 (1) 環境災害データ収集システムにおける衛星リモートセンシングの役割
 (2) 地球規模の環境変動に伴う食料変動予測に関する技術開発
 (3) OECDでの農業生物多様性インディケーター策定の動向
 
3.意見交換
 (1)統計情報の新たな公表についてのデータ内容,(2)農業集落マッピングシステムに収納されているデータの内容と取得方法,(3)生物生息地の保全管理に対する地域による意識の違い,(4)衛星リモートセンシングによる被害程度や作物判別の把握の可能性,(5)農業生物多様性インディケーを考える際の裏作等の土地利用の考え方,などが議論された。最後に,統計情報部からリモートセンシングによる作付け面積,作況予想の精度向上について協力依頼が,農環研からは面積統計等の提供にとどまらず,多方面のデータのさらなる提供に対する協力依頼がなされた。
 
 

農業環境研究成果情報(第18号)が刊行された
 
 
 本誌は,平成13年度主要成果検討会で選ばれた主要な研究成果の中から独立行政法人農業環境研究推進会議において選定された研究成果情報を編集・刊行したものである。編成は,独立行政法人農業環境技術研究所中期計画の「II−1試験及び研究並びに調査」の課題編成の順としている。
     
  目   次  
A. 農業生態系の持つ自然循環機能に基づいた食料と環境の安全性の確保 1
1. 野菜類におけるダイオキシン類の汚染軽減方策 2
2. ダイオキシン類の水田からの流出・流下特性 4
3. ダイズのカドミウム吸収特性解明のための 113Cdトレーサー試験法 6
4. カラム浸潤法による黒ボク土の硝酸イオン吸着容量の測定 8
5.
 
Burkholderia 属細菌のクロロ安息香酸分解遺伝子群発現の調節因子による制御 10
 
6.
 
耐虫性遺伝子組換えトウモロコシの花粉に含まれる Btトキシンの生物検定法  12
 
7.
 
害虫の侵入定着を防止し所定の安全レベルを達成するための植物検疫強度の推定法 14
 
8. 水生植物の奇形葉による水田からの除草剤流出の検出法 16
9. 火山灰土壌による2,4-Dの吸着メカニズムの解明 18
10. ヘアリーベッチに含まれる植物生長阻害物質シアナミドの発見 20
11. DNAからみたタンポポ属植物の雑種個体の識別と全国分布 22
12. 土壌線虫を指標とした黒ボク土畑における耕起の影響評価 24
     
B. 地球規模での環境変化と農業生態系との相互作用の解明 27
13.
 
生育阻害要因を考慮した日本の水稲生産の温暖化に対するぜい弱性の評価 28
 
14. 被覆資材による土壌くん蒸用臭化メチルの大気放出量削減技術の開発 30
15.
 
湿潤熱帯林の土地利用変化に伴う土壌からの温室効果ガス発生・吸収量の変動 32
 
16. 日本の畑土壌に適用可能な土壌炭素循環モデル(改良RothCモデル) 34
17. 北海道東部の採草地における亜酸化窒素の発生時期および発生量 36
     
C. 生態学・環境科学研究に係る基礎的・基盤的研究 39
18. わが国における小麦の放射能汚染の長期観測 40
19. 航空機搭載多目的デジタル分光画像計測システム 42
20. 短波長赤外反射特性に基づいた作物収穫残渣の土壌被覆率計測手法 44
21. ヤガ科害虫4グループ類似種の幼生期の識別法 46
22.
 
健全イネでの常在が明らかになった Pseudomonas huttiensis の再分類 48
 
  *:北海道立根釧農業試験場提出課題  
 
 

農業環境技術研究所年報−平成12年度−刊行
 
 
はしがき
 農業環境技術研究所は,農業生産のための環境管理に関する基礎技術,農業活動に伴って農用地系外に影響を及ぼす環境負荷軽減技術,および国土を保全する農業の持つ環境保全機能の発揮技術に関する研究を行い,農業生産と環境を調和させることを目指している。さらに,農業活動が地球環境に及ぼす影響および地球環境変動が農業生産に及ぼす影響など,地球規模の問題まで研究対象にしている。
 
 当所は,農業生産環境を含む農業環境の制御・保全・利用に関する先行的・基盤的技術開発を行う機関として,昭和58年に発足以来,昭和60年,平成2年および平成8年に,その時々の情勢を踏まえた「農林水産研究基本目標」に合わせて研究基本計画を改定してきた。
 
 一方,平成11年7月に「食料・農業・農村基本法」が公布・施行された。この基本法では,従来からの農業所得や農業生産性の向上のみならず,食料の安定供給や自然循環機能の維持増進による農業の持続的な発展がうたわれている。この基本法の理念や施策の基本方向を具体化し,それを的確に実施していくための「食料・農業・農村基本計画」が策定された。これらを受けて平成11年11月には,我が国の農林水産研究の重点的・効率的な推進を図るため,「農林水産研究基本目標」が策定された。農業環境技術研究所では,この「農林水産研究基本目標」に沿って,今後10年間の農業環境研究の研究計画を策定した。
 
 一方,平成9年12月の行政改革会議最終報告書を受けて,平成10年6月には中央省庁等改革基本法が公布され,平成11年7月には独立行政法人通則法が,12月には農林水産省所管独立行政法人研究所法がそれぞれ成立した。そして,平成13年1月にはこれらの法が施行され,平成13年4月に農林水産省農業環境技術研究所は,独立行政法人農業環境技術研究所に移行した。
 
 このような国内の変化に対応して,新農業環境技術研究所の研究の重点化方向が検討された。検討にあたっては,昨今の環境問題を踏まえながら,農業環境研究の任務や領域を明確にし,農政と国民の期待に応えていくことを最重要視した。また,農水省所管特定独立行政法人の枠組みの中で,独自な領域の明確化,環境研究に関係する他省庁所管特定独立行政法人との研究領域の違いの明確化,さらには,農業環境研究の総合性や学際性にも配慮した。
 
 その結果,新農業環境技術研究所は,「農林水産研究基本目標」に示された研究開発を推進するため,(1)農業生態系の持つ自然循環機能に基づいた食料と環境の安全性の確保,(2)地球的規模での環境変化と農業生態系との相互作用の解明,(3)生態学・環境科学を支える基礎的・基盤技術,に関する研究を重点的に推進することになった。
 
 この間,「農業と環境」の問題は国内外においてますます重要になってきている。WTOやOECDなどで,農産物貿易や農業政策の論議において環境保全が重視され,さらに,IPCCの温暖化防止など地球規模の環境問題も重要となり,なかでも農業と地球環境の保全との関わりが避けて通れない現実がでてきた。「農業と環境」の問題は,まさにグローバリゼーションの問題となった。
 
 一方,20世紀後半に急速に発達した鉱工業や革新的技術を用いた農業の集約化などにより発生した問題などがある。それは,有害重金属による農地の汚染,環境ホルモンなど微量化学物質の食物連鎖を通した生物相における汚染,さらには遺伝子導入作物の生態系への影響など,もともとわれわれ人類が作り出したものによる環境へのマイナス影響の問題である。さらには,農業生産の集約化・規模拡大や耕作放棄地の増大などに伴う農業環境資源の劣化と多面的機能の低下の問題もある。
 
 いずれにしても,21世紀に予想される様々な環境問題は,農業問題と密接に関わっていることが明らかにされてきた。環境問題は人口問題の解決をぬきにしては考えられない。人口問題は即ち食料問題であるし,食料問題はまさに農業問題である。したがって,環境問題はとりもなおさず農業問題なのである。いうなれば,21世紀は「農業と環境」の時代といっても過言ではない。
 
 このような状況のもとで,「農業と環境」の研究はますます重要性が増している。大地と水と大気と生物に悪影響をあたえないで食料を供給するためには,農業生態系の持つ自然循環機能を活用し,健全な食料を生産することがきわめて重要である。当所は,今後もこうした視点に立って,食の安全と環境の保全を確保する研究を進めるつもりである。
 
 農林水産省農業環境技術研究所としての年報は,これが最後となる。次年度からは,独立行政法人農業環境技術研究所として装いを新たに年報を発刊する予定である。
 
 ここにお届けする当所の平成12年度の活動をまとめた年報が,少しでも「農業と環境」のために役立ち,次からの新しい年報の礎になれば幸いである。巻末に所員の研究成果などのリストを掲載した。関心のある方はいつでも必要な資料をご請求いただきたい。
平成13年10月 
独立行政法人農業環境技術研究所理事長 
 
  目  次
   
1. 研究実施の概要
 

 
1.企画調整部 2.環境管理部 3.環境資源部 4.環境生物部 
5.資材動態部
   
2. 平成12年度研究課題
 
  1.研究課題一覧
  2.プロジェクト研究課題分担一覧
  3.所内プロジェクト研究実施課題一覧
   
3. 研究成果と展望
 
  1.マイクロ波リモートセンシングによる積雪水資源量のモニタリング
  2.里地におけるランドスケープ構造の変容が植物相に及ぼす影響
  3.CO倍増時の生態系のFACE実験とモデリング
  4.環境影響評価のためのトウモロコシ花粉落下総数の予測手法

 
5.土壌環境基礎調査・定点調査結果にもとづく農耕地土壌資源特性の変動解析
  6.農業に係わる水の水質とトリハロメタン生成能

 
7.中国北東部半乾燥地域の砂地草原における砂漠化防止対策が
  植生回復に及ぼす効果
  8.植物炭疽病菌のPCR−PFLP法による識別と分子系統学上の位置
  9.ナガイモを加害している小蛾はヤマノイモコガではなかった
  10.殺虫剤カルバリ(NAC)を迅速に分解する新規細菌
  11.鉱さい含鉄資材が水田土壌の酸化還元電位(Eh)の変化に及ぼす影響
   
4. 研究成果の発表と広報
 


 
1.農業環境技術研究所の刊行物 2.国公立機関及び大学の刊行物 
3.学会・研究会刊行物 4.学会口頭発表 
5.商業・協会刊行物・図書等 6.その他 7.広報
   
5. 研究・技術協力
 

 
1.会議・研究会等 2.技術協力 3.研究・研修等 4.共同研究等 
5.昆虫の同定依頼
   
6. 総務
 

 
1.機構 2.人事 3.会計 4.図書 5.視察・見学者数 6.委員会
 
 

NIAES Annual Report 2000/2001 刊行
 
 
Truth, Virtue, Beauty and Environment
In the "Critique of Pure Reason," Kant contemplated the idea that science is truth. Supported by reason, science and technology have assured a life of plenty for all of us. This was the application of Truth. Thus, we were ensured abundant food and many conveniences, but we also produced the rich and the poor. Then, whether we liked it or not, a moral problem arose.
 
It is capitalism that sought food and conveniences freely, and socialism that sought to distribute wealth equally. This is the moral problem. Kant considered this issue in his "Critique of Practical Reason."
 
The schism between capitalism and socialism lies in the debate between two theories for achieving social justice, whether people are able to lead a happy life if the pie of wealth is maximized under free competition, or if the wealth is accumulated deliberately and shared equally. It is indeed a moral dispute. In either economic system, we pursued a life of abundance by utilizing natural resources with abandon.
 
However, we have discovered that resources are limited. Then, we realized that not only capitalism but also socialism caused environmental damage. We no longer have the time nor space to debate which system is more virtuous.
 
Environmental problems have burst out from the space-time scale assumed by our social and economic theories. Environmental problems have passed from the scale of points (e.g. heavy metal pollution sources), through planes (e.g. eutrofication) to space (e.g. global warming). In addition, environmental problems have expanded their time scale (e.g. environmental hormones). Environmental problems now encompass the space-time scale enveloping the entire Earth and all of humanity.
 
We have learned to see the past, present and future from the viewpoint of a large space-time scale. The 20th century was the century that civilization acquired the best view of the world from the highest altitude. In the 20th century we left footprints on the surface of the moon, and thought about attaining the ideal society for all humanity.
 
We saw the Earth from space, and recognized the global environmental problem. That is to say, we realized that the anthroposphere must harmonize with the other spheres, e.g. the atmosphere, pedosphere, and biosphere.
 
While floating in space for 4.6 billion years, the Earth passed through the magnificent course of life from "chaos," "water planet," "water and terrestrial planet," "life planet," and to "cultivated planet."
 
Should this beautiful "cultivated planet" degenerate into a purely "anthropogenic planet," the anthroposphere cannot harmonize with the other spheres, the Earth system may collapse, and humanity will not be able to live on this planet.
 
In his later work, "A Critique of Judgement," Kant took up beauty. To extend our thoughts further, humanity established a civilization based on truth and virtue in the 20th century, namely the truth of science and the justice of ideology. The 21st century may follow with the civilization of beauty, as if the goal of the Earth is to pursue beauty as Kant envisioned.
 
In order to construct the civilization for beauty, we must observe our globe from the high viewpoint we acquired in the 20th century to preserve the environment of the Earth.
 
The National Institute for Agro-Environmental Sciences (NIAES) turned into an Independent Administrative Institution (a semi-autonomous agency) on April 1, 2001. The new NIAES concentrates on the following basic research targets to fulfill its research missions on a global scale:
 
1) Strategies to ensure stable food supplies under global environmental change.
2) Assuring the safety of food and environment utilizing the natural circulation function of agriculture.
3) Succession of the agro-environmental resources to future generations.
 
NIAES includes the three Departments of Global Resources, Biological Safety, and Environmental Chemistry, and the two Centers of Natural Resources Inventory and Chemical Analysis Research.
 
We shall proceed with reformulating our research for the future, and look forward to working with colleagues both in Japan and around the world, with a new NIAES motto:
 

 
Conserve the environment by listening to wind,
observing soil, and thinking of our future

 
 

 
Director General
Katsuyuki Minami, Dr. Agr.

 
 
 
  Contents
   
Message from the Director General
Highlights in 2000






 
Major Symposia and Seminars
Main Research Results
Visitors
Committees for Founding the New NIAES
International Research Collaboration
Academic Prizes and Awards
Seasonal Events
New Research Departments and Centers






 
New Research Organization
Research Objectives and the New NIAES
Department of Global Resources
Department of Biological Safety
Department of Environmental Chemistry
Natural Resources Inventry Center
Chemical Analysis Research Center
Research Overview and Topics in 2000

 
Reserach Divisions and Team
Reserach Projects
Invitations, Training and Information Events



 
Symposia and Workshops
Foreign Visitors
Training
Overseas Research and Meetings
Appendix




 
Publications
Advisory Council and Staff Lists
Budget, Staff Numbers and Library Holdings
Internet Home Page
Meteorological Information
 
 

移入鳥類が定住に成功するための決定要因
 
Determinants of establishment success in introduced birds
T.M. Blackburn and P.D. Richard, Nature, 414, 195-197 (2001)
 
 農業環境技術研究所は,農業生態系における生物群集の構造と機能を明らかにして生態系機能を十分に発揮させるとともに,侵入・導入生物の生態系への影響を解明することによって,生態系のかく乱防止,生物多様性の保全など生物環境の安全を図っていくことを重要な目的の一つとしている。このため,農業生態系における生物環境の安全に関係する最新の文献情報を収集しているが,その一部を紹介する。
 
要 約
 移入鳥類が定住に成功するための決定要因を明らかにすることは,環境的,経済的に有害な侵入生物を見分けて排除するために重要である。移入に関する歴史的な記録は,移入の成功あるいは失敗の理由を調査するために価値のある資料である。しかし,それらのデータは,種が移入された場所に片寄りがあったり,同じ種がいろいろな場所に何度も移入されているために,統計分析における独立データとみなせなかったりするため,それらから確たる結論を導くのは難しい。この問題を克服するために,一般化線形混合モデルを用いて,過去に記録のあるすべての鳥の移入の成功例と失敗例をモデル化した。これによって,種間や地域間での移入成功率の違いについてのデータを適切に取り扱うことができる。
 
 分析の結果,同じ生物地理区においては,種の多様性が高い場所(低緯度地域や大陸)と,種の多様性が低い場所(例えば,高緯度地域,島)への定着の度合いは同じであり,生物的抵抗仮説とは一致しなかった。また,最も種の多様性の高い地域の熱帯アフリカおよび中南米へは,最も移入しやすいという結果が得られた。種の多様性の低い島や温帯の場所へは移入しやすいという伝統的な考え方は,おそらく,これらの場所への鳥の移入の合計数がより大きかったことを反映している。
 
 移入の成功には,種の原産地と移入先の緯度が近い場合と,種がその原産地と同じ生物地理区内の場所に移入されたときに有意に大きかった。同じような緯度で,同じ生物地理学区にある場所は,気候的と生息場所の特徴がより共通的であり,もし種が適した環境であれば,移入成功率が高まるであろう。他のすべての要因が同じ場合,地理的分布が大きい種は,広い環境耐性をもっているか,広範囲の資源を使えるはずであり,新しい場所で,移入を成功させるような非生物的環境に出会う確率も高いだろう。この予測に合致して,鳥の地理的分布囲の大きさと,世界的な鳥の移入の成功率との間には有意な関連があった。このように,鳥類の生理学的耐性は,地球的気候変動に対する反応を決定する要因として生物間相互作用と同じくらい重要であると考えられる。
 
 

本の紹介 74:植物栄養学,森 敏・前 忠彦・米山忠克編
文永堂出版
(2001)4000円 ISBN4-8300-4101-3

 
 
 著者は序文で読者に「植物栄養学」への思いを述べる。「今,目の前にある植物は極端にいえば,1つとしてその成育が“正常”なものはない。今,その植物が何を欲しているのか,何を嫌がっているかを植物の顔色から感じ取れる感性を,農学を学ぶ学生は身につけて欲しい。これは,作物栽培や園芸の現場では農民が毎日やっていることである。農作物に“異常”な症状が出る原因には,栄養素,水分,日照の過不足,温度や日長の不適合,植物病害虫やSOやNOなどのガスによる害,農薬の適性を欠いた使用などさまざまである。そのどれが主要な成育の律速因子になっているのかを現場では早急に診断し,対処療法を施さなければならない。」
 
 また,著者は序文で「植物栄養学」の社会への貢献について述べる。「世の中をどのような観点からみるのかを世界観という。世の中を“通貨の流れ”でみるのは経済学者,“エネルギーの流れ”でみるのは物理学者,“物質の流れ”でみるのは工学者,“病原菌の流れ”でみるのは医者や病理学者,“情報の流れ”でみるのはインターネット産業人である。この伝でいうならば,世の中を“栄養元素の流れ”でみるのが植物栄養学者である。18世紀末に産業革命が始まって都市と農村の乖離が始まり,農山村の土壌から生産された農産物が都市に運ばれて消費され,そのときに出る膨大な廃棄物と人糞尿が何の処理もされずに都市から放出され,一部は川に放流されて,川が悪臭を放っていた。すなわち,農山村の土壌から収奪された作物栽培に必要な必須元素が,都市を経由して再び農山村に循環してこなかった。この元素循環の輪が断たれることが今日の環境問題の大きな原因となっている。これは,植物栄養学が解決に向けて大きく貢献をしなければならない分野である。」
 
 本書は,現在の日本の「植物栄養学」の代表的な3人の研究者によって編集されたものである。以下の目次に示すそれぞれの内容は,37人のそれぞれの分野の専門家によって執筆されており,「植物栄養学」のほとんどすべての分野が網羅されている。そのため,農学部や生物資源学部ばかりでなく,理学部の植物学分野や食物・食品栄養学関連の学生の教科書としても活用できるように書かれている。また,農業改良普及員や現場の農家にも参考になる教科書である。
 
目 次
I. 植物栄養学とは

 
1.陸上植物の進化  2.トランスポーターの機能分化 
3.必須元素の意味するもの  4持続的農業に向けて  5.文明の盛衰
   
II. 植物にとっての必須元素,有用元素
  1.必須元素,必須栄養素,有用元素の定義
  2.植物体を構成する元素とその存在比

 
(1)菌類,動物との比較 (2)土壌との比較 (3)植物間の比較(栄養特性)
  3.気圏,水圏,土壌圏の物質循環と植物の必須栄養素獲得

 
(1)物質循環と植物の必須栄養素獲得 (2)耕地生態系の必須栄養素循環
   
III. 植物による必須栄養素の吸収と移行
  1.必須栄養素と水の吸収,移行と植物構造

 
(1)根の構造 (2)茎の構造 (3)葉の構造 (4)子実の構造 
(5)維管束の構造
  2.根圏での必須栄養素の動き

 
(1)必須栄養素の根への移動 (2)必須栄養素移動に影響する因子 
(3)植物の作用
  3.根による必須栄養素の吸収機構


 
(1)無機イオンの吸収 (2)膜吸収の駆動力 (3)受動輸送 
(4)能動輸送 (5)輸送体タンパク質の構造とその遺伝子 
(6)低分子有機化合物の吸収 (7)高分子有機化合物の吸収と小胞輸送
  4.必須栄養素,代謝産物および水の体内移動


 
(1)シンクとソースの概念 (2)シンプラストとアポプラスト 
(3)必須栄養素,代謝産物,水の短距離移行(細胞間移行) 
(4)必須栄養素,代謝産物,水の長距離移行(器官間移行)
   
IV. 炭素同化,炭素代謝
  1.光合成のメカニズム
  (1)葉緑体 (2)光合成の仕組み (3)その他の光合成反応
  2.呼吸と炭素代謝


 
(1)呼吸の場と基質 (2)細胞質における代謝 
(3)ミトコンドリアにおける代謝 (4)生合成における呼吸の役目 
(5)呼吸に影響する環境要因
  3.光合成産物の転流と蓄積
  (1)光合成産物の転流 (2)光合成産物の蓄積
   
V. 窒素同化,窒素代謝
  1.硝酸,アンモニウム,尿素の吸収と同化


 
(1)硝酸,アンモニウム,尿素の供給 (2)硝酸,アンモニウムの吸収
(3)アンモニウムの同化 (4)硝酸の同化 (5)硝酸の吸収同化の制御
  2.窒素代謝
  (1)アミノ酸代謝 (2)タンパク質合成 (3)タンパク質合成の制御
  3.共生的窒素固定

 
(1)窒素固定の役割と共生的窒素固定 
(2)窒素固定のメカニズムと関連遺伝子
   
VI. 植物の成育と栄養システム
  1.多量必須元素


 
(1)窒素(N) (2)リン(P) (3)カリウム(K) 
(4)イオウ(S) (5)カルシウム(Ca) (6)マグネシウム(Mg)
  2.微量必須元素


 
(1)鉄(Fe) (2)マンガン(Mn) (3)銅(Cu) 
(4)亜鉛(Zn) (5)ニッケル(Ni) (6)モリブデン(Mo)
(7)ホウ素(B) (8)塩素(Cl)
   
VII. 植物の成育と有用元素
  1.ケイ素(Si)
  (1)ケイ素の吸収,移行,集積 (2)ケイ素の有用性
  2.ナトリウム(Na)
  (1)有用性,必須性 (2)過剰害(塩害)
  3.アルミニウム(Al)

 
(1)アルミニウムの存在形態 (2)アルミニウムの有用性 
(3)アルミニウムの吸収,移行 (4)アルミニウムの過剰障害
  4.コバルト(Co)
  5.その他の元素
   
VIII. 植物栄養と肥料
 
  1.施肥と食料増産
  (1)施肥と生産性 (2)肥料の種類
  2.施肥と環境負荷
  (1)農業による環境負荷 (2)低負荷農業
   
IX. 植物栄養とバイオテクノロジー
  1.植物バイオテクノロジーの基礎知識

 
(1)植物遺伝子の構造とタンパク質 (2)未知遺伝子の検索と同定 
(3)遺伝子導入(4)形質転換系の利用
  2.バイオテクノロジーを用いた作物生産性の改良
  (1)炭素代謝 (2)窒素代謝 (3)品質関連
  3.栄養ストレス耐性


 
(1)ストレス耐性 (2)乾燥ストレス耐性 (3)アルミニウム過剰耐性
(4)低リン酸耐性 (5)鉄欠乏耐性
  4.クリーンアップ植物

 
(1)重金属収奪植物 (2)有害有機化合物汚染土壌の修復 
(3)NOを“好む”植物
   
 参考図書/索引
 
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