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情報:農業と環境
No.27 2002.7.1

No.27

・平成14年度農業環境技術研究所評議会が開催された

・第22回農業環境シンポジウムおよび第2回有機化学物質研究会:
   合同シンポジウムの開催

・第19回農薬環境動態研究会の開催

・オオカバマダラ個体群へのBtトウモロコシ花粉の影響:リスク評価

・虫塚

・報告書の紹介:欧州議会と欧州理事会の指令案;環境被害の防止と修復
   に関する環境責任(欧州委員会による提案)−後編−

・本の紹介 82:Geosphere-Biosphere Interactions and Climate,
   Cambridge University Press (2001)

・資料の紹介:平成14年版環境白書、環境省編

・資料の紹介:近年の気候変動の状況と気候変動が農作物の生育等に
   及ぼす影響に関する資料集、平成14年4月、農林水産省


 

平成14年度農業環境技術研究所評議会が開催された
 
 
 平成14年度の独立行政法人農業環境技術研究所評議会が、5月24日に農業環境技術研究所において開催された。
 
 この評議会は、昨年の 第1回 (平成13年11月16日)に続く2回めの開催であり、研究の基本方向、研究所の運営、13年度の研究成果について報告し、外部評議員から指摘、評価をいただいた。
 
評議会議事次第
日 時: 平成14年5月24日(金)10:00〜17:00
場 所: 農業環境技術研究所大会議室、理事長室
 
議事次第:  
   理事長あいさつ
   平成13年度の業務実績報告
   研究所紹介ビデオ
   主要研究成果紹介
1. 農耕地から発生する温室効果ガスの発生量と制御技術
2. 地球温暖化に伴う食料生産変動予測
3. 遺伝子組換え作物の環境への影響評価
4. 農業環境に残留するダイオキシンの現状
5. DNAからみたタンポポ属植物の雑種個体の識別と全国分布
6. 被覆資材による土壌くん蒸用臭化メチルの大気放出量削減技術の開発
7. わが国における主要穀類の放射能汚染の長期観測
8. 土壌資源情報統合システムの構築
   業務実績に関わる総合評価
 
 
評議会メンバー
  [評議員]
  秋元  肇 地球フロンティア研究システム大気組成変動予測研究領域長
  中村 雅美 日本経済新聞社科学技術部編集委員
  木村 眞人 名古屋大学大学院生命農学研究科教授
  小川 吉雄 茨城県農業総合センター園芸研究所長
  藤田 和芳 大地を守る会会長
  独立行政法人国立環境研究所理事長
  独立行政法人農業技術研究機構理事長
  独立行政法人森林総合研究所理事長
  独立行政法人水産総合研究センター瀬戸内海区水産研究所長
  農林水産省大臣官房企画評価課環境対策室長
  [オブザーバー]
  農林水産省農林水産技術会議事務局研究開発課長
 
 
 以下には、評議会当日の開会あいさつの要約と評議員からの主な指摘事項を紹介する。
 
開会あいさつ (独立行政法人農業環境技術研究所 理事長 陽 捷行)
 
(要約)
 おはようございます。今日はたいへんお忙しいところを参加いただき、心よりお礼を申し上げます。私どもは評価される側で緊張しておりますが、先生がたは、ぜひ伸びやかに評価いただきたいと思います。
 
 昨年11月に 平成13年度の評議会 を持ちましたが、今回は本格的に評価をしていただくために、丸一日お付き合いをいただきます。13年度の業務実績については、のちほど企画調整部長の方からご説明しますが、所内では時間をかけた評価を行いました。本日ここで所外の先生がたからの評価をいただき、その結果を農林水産省の独立行政法人評価委員会につなげたいと考えております。このような流れをご理解いただき、本日の評価をきびしくやっていただきたいと思います。
 
 当研究所は、これまで3つの柱を立ててやってきました。ひとつは、どの法人にもあるように「公共性と自主性と透明性」の原則です。もうひとつは、私どもの研究所が重要なキーワードとしている「安心、安全、ブレーキ、そして次世代への環境資源の継承」です。最後のひとつは「国際、学際、地際」です。地際の地は地域の地です。環境研究は現場がなくては成り立たないという思いから、国際と学際に、さらに地際を加えて考えています。このような観点も評価の参考にしていただければと思います。
 
 このようなことをうまく実現するために、「活力と公正」という問題をつねに考えております。活力を十分に引き出すことはたいへん難しく、研究所の内部での自由と規制とを平衡させなければうまく活力は出てきません。大いなる研究への自由と、個々の研究者への規制をうまく平衡させなければならないと考えています。一方、個々の研究者の評価については、公正さが求められます。平等と格差の概念を忘れずに、これらのバランスをとりながらやってきました。
 
 個人的な思いですが、環境についてはいつの時代も新たな問題が出てくるものと考えています。中国の殷王朝を創始した湯王のものとされる言葉を、環境問題を考える過程でいつも思い起こしております。紀元前16世紀の湯王は、『苟ニ(まことに)日ニ新タナリ、日々新タナリ、マタ日ニ新タナリ』という言葉を、毎朝顔を洗う青銅の洗面台に刻ませていたそうです。まさに、環境研究とは『苟ニ日ニ新タナリ、日々新タナリ、マタ日ニ新タナリ』であります。つねにアンテナを張りながら環境問題を意識しているところです。
 
 環境については、リスク(危険度など)の問題が新たに注目されており、世界な問題として動き出しています。それは、リスク・マネージメント(管理・運営)であり、リスク・アセスメント(評価・予測)であり、リスク・コミュニケーション(情報伝達)であり、リスク・トレードオフ(選択肢)であります。この問題を、今後の私どもの研究の中でどのように扱っていくか、そして、新たな第2期の独立行政法人の研究目標の中にどのように組み入れていくべきかを考えなければなりません。
 
 最近、 レスター・ブラウンが「エコ・エコノミー」 という、環境的に持続可能な経済システムに関する本を出しました。この本の中には温故知新の部分があり、従来から私どもが取り組んできた研究も含まれています。かつて、農水省がグリーンエナジープロジェクト(GEP)という研究プロジェクトを実施しましたが、このようなプロジェクトの成果が、レスター・ブラウンがこの本で述べている中にも散在しております。リスクの概念とエコ・エコノミーの概念とを、どのように私どもの研究の中に取り入れていくかという問題は、この2、3年の内に解決しなければならないと考えております。
 
 いずれにしましても、環境問題は、農業にとっての環境だけでなく全体の環境とからんでいるわけです。本日は、さいわい国立環境研究所の合志理事長もお見えになっております。評議員の先生がたのご意見を拝聴して、今後の研究方向の検討に生かしたいと考えています。
 
 本研究所は、クライアント(顧客)のニーズ(必要性)に合致した研究を行うと同時に、研究の大きな3本の柱のひとつである「基礎的・基盤的な生態学・環境科学研究」を実施する研究所として運営していきたいと考えております。したがって、本日の評価については、少し面倒な所があるかも知れませんが、遠慮のないご意見とご批判をいただきたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
 
評議員からの主な指摘事項
 
●研究の主力となる若手研究者の数を確保し、研究所の活力を維持するための工夫が必要である。
 
●研究の成果を行政組織やほかの研究機関に提供することは当然であるが、インターネットや報道機関を通して、適切な情報を積極的に一般国民に知らせることも重要である。
 
●目配りが必要な研究領域と具体的な問題の解決とを区別した研究課題の設定が必要である。
 
●重要なバックグラウンドデータをとるための分析のように地道な業務についても適正な評価がされるような仕組みが必要である。また後になって活用される研究成果を評価することも必要である。
 
●農業環境技術研究所が実施している農業が環境に与える影響、あるいは環境が農業に与える影響についての基礎的研究は、環境の保全および農作物の安全に配慮した技術のために重要であることを自覚していただきたい。
 
 

第22回農業環境シンポジウムおよび
第2回有機化学物質研究会:合同シンポジウム
「残留性有機汚染物質(POPs)による
環境汚染の現状と今後の対策」の開催

 
 
趣 旨
 
残留性有機汚染物質(Persistent Organic Pollutants, POPs)は、環境中で安定であるため地球上のあらゆる場所から検出されており、そのうえ脂溶性であるために食物連鎖により動物の脂肪組織に蓄積されやすい性質を持っている。POPsは、内分泌かく乱作用を有することが疑われており、ヒトをはじめとする動物の種の存続の脅威となっている。このため、POPsに対して人の健康の保護および環境の保全を図るため、2001年5月に「POPsに関するストックホルム条約」が採択された。
 
現在、わが国では同条約の批准に向けて、国内制度の整備と関連物質の排出抑制対策が重要な課題となっている。優先的に対策を求められている12物質のうちアルドリン、ディルドリン、エンドリン、ヘプタクロール、クロルデン、DDTはわが国で農薬として使用されたことがあり、使用を中止した際に残余の農薬を埋設処分した経緯がある。そのため、これらの農薬による環境汚染が懸念されおり、埋設した農薬の無毒化処理技術の検討が行われている。
 
このシンポジウムではPOPsについて環境中濃度の実態、生物影響、無毒化処理に関する現状等について問題点を整理し、今後の対策について議論を深めることにより、POPsによる環境汚染を抑制し、国民の生活環境の保全のための研究に役立てたい。
 
開催日時 : 平成14年9月12日(木)10:00〜17:00
開催場所 : (独)農業環境技術研究所 大会議室
 
  プログラム(予定)  
10:00〜10:15 あいさつ  
  農業環境技術研究所 理事長   陽 捷行
10:15〜10:55 POPs条約の批准と国内の動向  
  農林水産省 農薬対策室長   澤田 清
10:55〜11:35 農業環境中におけるダイオキシン類の動態  
  農業環境技術研究所   殷 熙洙
11:35〜12:15 POPsによる陸域生態系の汚染の現状  
  北九州市環境科学研究所  門上希和夫
  (昼 休 憩)  
13:15〜13:55 POPsによる海洋生物の汚染の現状  
  愛媛大学   岩田久人
13:55〜14:35 POPsの分解技術の現状とその応用  
  東京農工大   細見正明
  (休   憩)  
14:55〜15:35
 
難分解性有機化合物の微生物分解機構と分解技術の開発方向
 
  農業環境技術研究所   小川直人
15:35〜16:15 化学物質のヒトへの健康影響  
  国立医薬品・食品衛生研究所   関澤 純
16:15〜17:00 総合討論  
 
参集範囲 :
 
国公立・独立行政法人試験研究機関、大学、行政部局、関係企業・団体等
 参加申し込み・問合せ先 :
  農業環境技術研究所 環境化学分析センター長 石井康雄
   同 化学環境部 有機化学物質研究グループ長 上路雅子
  〒305-8604 茨城県つくば市観音台3-1-3
  電話:0298-38-8430(石井)または0298-38-8301(上路)
  ファックス:0298-38-8199(所代表)
  E-mail : ishiiy@niaes.affrc.go.jp または zueji@niaes.affrc.go.jp
 
 

第19回農薬環境動態研究会の開催
「農薬の残留分析における酵素免疫測定法の応用と課題」

 
 
趣 旨
 
 食品の安全性や環境保全に対する社会的関心が高まっている中で、農薬のリスクを評価するために、農作物、水系、土壌における残留性を把握しておくことが重要である。従来、農薬の残留分析は、ガスクロマトグラフや液体クロマトグラフ等の高額な分析機器を活用し分析の高精度化を図ってきた。しかし、これらの分析法では試料の前処理となる有機溶媒抽出、各種カラムクロマトグラフィーによる精製等、煩雑な過程が必須であり、簡易で迅速な分析法の開発が求められている。
 
 酵素免疫測定法(ELISA法)は抗原に対する抗体の選択的反応性を利用したもので、精製・単離の操作なしに化合物を測定できる利点を有しており、残留農薬の分析方法としてその応用が試みられている。特に、国内では農作物の安全性を確保するため、収穫された農作物について、出荷前にELISA法を用い残留農薬を迅速に測定する可能性を検討している。このような状況から、本研究会では残留農薬のELISA法による分析法の検討状況と問題点を明らかにするとともに、各県での農薬の動態研究に関する成果を整理し意見交換を行って、今後の研究推進の発展を図る。
 
開催日時 平成14年9月13日(金)9時〜15時
開催場所 (独)農業環境技術研究所 大会議室
 
  プログラム  
9:00〜 9:05 あいさつ  
  農業環境技術研究所 理事長   陽 捷行
9:05〜11:00 ELISA法の残留農薬分析への応用と課題  
  (1)農薬のELISA法の開発  
  農業環境技術研究所 環境化学物質分析研究室   渡邊 栄喜
  (2)農作物の残留農薬分析への実施例  
  埼玉県農林総合研究センター  成田伊都美
  岐阜県農業技術研究所   天野 昭子
  兵庫県立農林水産技術総合センター   清水 克彦

 
(3)水系での残留農薬分析への実施例
   (水系への流出モデルの開発にむけて)

 
  東京農工大学大 学院   渡邊 裕純
  (4)ELISA用キットの開発の現状と今後の方向  
  (株)バイオ・アプライド・システムズ   三宅 司郎
11:00〜12:00 水系における農薬濃度の調査方法と試験結果の検討  
  (昼   食)  
13:15〜14:00 作物残留農薬の分析法と試験結果の検討  
14:15〜15:00  総合討論  
 
参集範囲 国公立・独立行政法人試験研究機関、大学、行政部局ほか
 参加申し込み・問合せ先

 
農業環境技術研究所 化学環境部
 有機化学物質研究グループ 上路雅子
  〒305-8604 茨城県つくば市観音台3-1-3
  TEL&Fax: 0298-38-8301
  E-mail: zueji@niaes.affrc.go.jp
 
 

オオカバマダラ個体群へのBtトウモロコシ花粉の影響:
リスク評価

 
Impact of Bt corn pollen on monarch butterfly populations: A risk assessment
Mark K. Sears et al., PANS 98, 11937-11942 (2001)
 
 農業環境技術研究所は、農業生態系における生物群集の構造と機能を明らかにして生態系機能を十分に発揮させるとともに、侵入・導入生物の生態系への影響を解明することによって、生態系のかく乱防止、生物多様性の保全など生物環境の安全を図っていくことを重要な目的の一つとしている。このため、農業生態系における生物環境の安全に関係する最新の文献情報を収集しているが、その一部を紹介する。
 
要 約
 
 米国のいくつかの州とカナダの科学者による共同研究によって、オオカバマダラ個体群に対するBtトウモロコシの影響について、きちんとしたリスク評価を実施するための情報が得られた。その情報は、(1)Btトウモロコシの花粉がオオカバマダラ幼虫に及ぼす急性毒性の影響と、(2)オオカバマダラ幼虫がトウモロコシ畑の中やその周辺に見られる寄主植物(トウワタ)上で毒性を示す量のBt花粉にさらされる程度についてのものである。
 
 Btトウモロコシの各組織でのBtトキシンの発現量は品種によって異なり、特に、花粉中のBtトキシン濃度に違いが見られる。ほとんどの市販品種では花粉中のBtトキシンの発現程度が低く、室内実験でもほ場試験でも、ほ場で遭遇するような花粉密度では幼虫に対する急性毒性の影響は見られなかった。
 
 幼虫が花粉にさらされにくくなるほかの要因として、(1)花粉の飛散時期と幼虫の活動時期の重なりが変わりやすく、しかも限られていること、(2)オオカバマダラ個体群のほんの一部だけがトウモロコシ畑の中やその周辺の食草を利用しているという事実、(3)北米のトウモロコシ栽培地域の19%でしかBtトウモロコシが採用されていないことなどがある。
 
 2年間の研究の結果から、現在市販されているBtトウモロコシ品種から飛散する花粉によるオオカバマダラ個体群への影響は、無視できる程度であると言える。
 
 

虫 塚
 
 
 かつて、日本人の心はやさしさに満ちていた。農民にとって命に等しい稲を食い荒らした、憎んでも余りある害虫を駆除しながらも、これを供養するという人々の心。この思いが虫塚に現れている。
 
 古くは、天保7(1836)年に建立された敦賀市色ケ浜の本隆寺開山堂の横にある善徳虫塚。その昔、小浜の国富庄で善徳と呼ばれる虫がわいた。秋稲を食い枯らす害虫である。善徳という呼び名のクロカメムシがこの一帯に発生した。大量に捕獲殺生した虫の霊を供養するため、この碑が建てられたのであろう。
 
 天保10(1839)年、害虫防除の方法を記した虫塚の碑が、梯川を望む小松市の竹林台に建てられた。この塚には、藩政時代に大量に発生したウンカが供養されている。ウンカの発生があるたびに、農民はこの防除法に学びながら稲の敵を駆除していたのであろう。この虫塚が建てられて、163年もの歳月が経過している。
 
 伊勢長島藩主の増山正賢(雪斎)がなくなった2年後の文政4(1821)年にも、虫塚が建立された。彼は文雅風流の士で、よく虫を愛で写生し、その亡骸を小箱に納めて埋め、供養を怠らなかったという。
 
 時は移り、こちらは近代科学を追究する筑波研究学園都市。この都市の(独)農業環境技術研究所の巨大な5階建ての研究棟本館の裏玄関をでると右側に虫塚がある。この虫塚のいわれは一体何であろうか。農業環境技術研究所の先輩、梅谷献二氏の名文を紹介することで、その説明にかえたい。以下の文章は、「インセクタリウム Vol.23 No.2 (1986年2月号)」をそのまま引用したものである。
 
筑波に建立された新しい
虫塚

 科学的手段を持たなかったその昔、農作物の害虫防除はもっぱら神仏への祈りにたよった。その名残りとして各地に残る虫塚は、当時のきびしい農民の姿を今に伝えている。

 時は流れ、近代科学を結集して建設された筑波の研究学園都市。その一角にある農業環境技術研究所の敷地に、目的こそちがえ一基の虫塚が建立され、このたびめでたく除幕された。これを建てたのはこの研究所の前身である旧農業技術研究所の昆虫科ゆかりの人たちである。

 東京の北区にあった農業技術研究所は、その地名から「西ヶ原」の名で知られ、日本の応用昆虫学の中心的存在であった。その「西ヶ原」が「筑波」に移転して間もなく組織改変によってその名が消え、昆虫部門は新設の農業環境技術研究所に発展的に移行することとなった。しかし、1世紀近くに及んだ伝統の「西ヶ原」の名が消えたことは、関係者にとって一抹の淋しさが残った。

 虫塚は、このような背景によって「西ヶ原」をしのぶよすがとして建立されたものである。材質は重さ約3トンの地元筑波石で、表には、「蟲」の一字が彫られてある。この字は「西ヶ原」の大先輩で、筑波に居を構えられた石井象二郎先生(京都大学名誉教授)の筆になるもので、先生は斎戒沐浴、襟を正してこれを揮毫したとうわさされている。

 ちなみにムシという字は、現在すべて「虫」と書かれるが、かっては「蟲」が正しい字であったしかしこれらはもともと別の字で、「國」を「国」と書く簡略化とは意味がちがう。「虫」(キ)はマムシが伏している形をかたどった形象文字で、貝、ヘビ、カエルなどを含めた広義のムシを意味していた。これに対して「蟲」(チョウ)は、虫を三つ合わせて有足の昆虫類を表した会意文字であった。だから、古い本をみると、ちゃんと「爬類」「昆類」と使い分けられている。ところが「蟲が虫となったころから、農業害虫はダニや線虫がやたらに増え、また最近では、ジャンボタニシまで侵入してきて対応をせまられている」(除幕式懇親会での湯嶋健氏あいさつ)――というわけで、この虫塚にまつられているのは広義の「虫」の方である。

 「この現代に今さら虫塚とは何事ぞ」――などとヤボなことは言わずに、読者の皆さんも機会があれば、ぜひこの虫塚を前に、多くの虫たちの命をうばった罪業を反省されることをおすすめしたい。虫塚は関係者の手をはなれ、国有財産としてすでに登録されている。来られる方の宗教は問わない。国有財産であるこの虫塚はもちろん“無宗派”なのである。また、毎年6月にこの虫塚を囲み、虫にゆかりの人ならばだれでも参加できる虫恩会(虫の恩義に感謝する有志の会―仮称)を開催することも計画されている。「梅谷献二:インセクタリウム、23, No.2, p12 (1986)」
 
 
 

報告書の紹介:欧州議会と欧州理事会の指令案;
環境被害の防止と修復に関する環境責任
(欧州委員会による提案)−後編−

 
Proposal for a
DIRECTIVE OF THE EUROPEAN PARLIAMENT AND OF THE COUNCIL
on environmental liability with regard to the prevention and
remedying of environmental damage
(presented by the Commission)
 
 欧州委員会は、2002年1月23日に環境被害を防止あるいは回復することを目的とする環境責任に関する指令案を採択した。
 この案は欧州共同体が長年追求してきた「汚染者負担の原則」の実現に踏み出す画期的な決定である。水質汚染、生物多様性への被害、人間への健康に深刻な影響のある土地汚染は、すべてこの指令の対象となる(http://www.juno.dti.ne.jp/~tkitaba/earth/conservation/news/02012401.htm)。
 
 今回は、この報告書(Brussels, 23.1.2002 COM(2002)17 final 2002/0021(COD) ( http://eur-lex.europa.eu/LexUriServ/LexUriServ.do?uri=OJ:C:2002:151E:0132:0145:EN:PDF (最新のURLに修正しました。2010年6月) ) の最後の部分を仮訳した( 前編中編 は「情報:農業と環境」 No.25No.26 に掲載)。仮訳した文章の中には原文の内容が的確に表現されていない部分もあると思われるので、原文で確認していただきたい。
 
付属書I
第3条(1)に該当する活動
 
−  総合的な汚染の防止と管理に関する1996年9月24日の理事会指令96/61/EC1)に従った許可を必要とする施設の運営。
 
−  前述の指令が対象とする汚染物質のいずれかの大気放出に関係する産業設備からの大気汚染の防止に関する1984年6月28日の理事会指令84/360/EEC2)に従った認可を必要とする施設の運営。
 
−  前述の指令が対象とする危険物質のいずれかの排出に関係する、欧州共同体の水環境に排出された危険物質によって生じる汚染に関する1976年5月4日の理事会指令76/464/EEC3)に従った許可を必要とする施設の運営。
 
−  前述の指令が対象とする危険物質のいずれかの排出に関係する、特定の危険物質によって生じる汚染からの地下水の保護に関する1979年12月17日の理事会指令80/68/EEC4)に従った危険物質の排出許可を必要とする施設の運営。
 
−  前述の指令が対象とする危険物質のいずれかの排出に関係する、水政策の分野における欧州共同体行動の枠組みを確立する2000年10月23日の欧州議会と理事会の指令2000/60/EC5)に従った認可、許可あるいは登録を必要とする施設の運営。
 
   注:指令76/464/EECと80/68/EECは、指令2000/60/ECの第22条に従って、2013年12月22日に廃止され;2013年12月23日の時点で、指令2000/60/ECの関連する条項が完全に適用可能になる。したがって、その時点で、指令2000/60/ECは、この指令の目的ために配慮すべき唯一の指令となる。
 

1) OJ L 257,10,10,1996,p.26.
2) OJ L 188,16.7.1984,p.20.
3) OJ L 129,18.5.1976,p23.
4) OJ L 20,26.1.1980,p.43.
5) OJ L 327,22,12,2000,p.1.

 
−  欧州議会と理事会の指令2000/60/ECに従った、事前の認可を条件とする取水と貯水。
 
−  廃棄物に関する1975年7月15日の理事会指令75/442/EEC6)と、有害廃棄物に関する1991年12月12日の理事会指令91/689/EEC7)に従った許可または登録が必要な廃棄物と有害廃棄物の収集、輸送、回収および処分を含み、また、このような事業の監督と処分場のアフターケアを含む廃棄物管理の運営。
 
   これらの運営には、とくに廃棄物埋め立て地に関する1999年4月26日の理事会指令1999/31/EC8)のもとでの埋め立て地の運営、および廃棄物の焼却に関する2000年12月4日の欧州議会と理事会の指令2000/76/EC9)のもとでの焼却場の運営を含む。
 
−  危険物質の分類、包装、表示に関する加盟国の法律、規則と管理規定の接近に関する1967年6月27日の理事会指令67/548/EEC10)で定義され、また、その対象とされる危険物質の製造、使用、貯蔵、同一事業領域内の輸送、および環境への放出。
 
−  危険な化学薬品の分類、包装、表示に関する加盟国の法律、規則と管理規定の接近に関する1999年5月31日の欧州議会と理事会の指令1999/45/EC11)で定義され、その対象される危険な化学薬品の製造、使用、貯蔵、輸送、および環境への放出。
 
−  植物保護剤の販売登録に関する1991年7月15日の理事会指令91/414/EEC12)で定義され、その対象とされる植物保護剤または植物保護剤に使用される有効成分の製造、使用、貯蔵、輸送、および環境への放出。
 
−  殺生物剤の販売登録に関する1998年2月16日の欧州議会と理事会の指令98/8/EC13)で定義され、その対象とされる殺生物剤または殺生物剤に使用される有効成分の製造、使用、貯蔵、輸送、および環境への放出。
 
−  道路による危険物品の輸送に関係する加盟国の法律の接近に関する1994年11月21日の理事会指令94/55/EC14)の付属書A、または鉄道による危険な物品の輸送に関する加盟国の法律の接近に関する1996年7月23日の理事会指令96/49/EC15)の付属書で定義され、あるいは危険または汚染のおそれのある物品を積み、欧州共同体内の港に出入しようとする船舶の最低要件に関する1993年9月13日の理事会指令93/75/EEC16)で定義された、危険な物品あるいは汚染のおそれのある物品の道路、鉄道、内水路、海路、空路による輸送。
 
−  遺伝子組換え微生物の封じ込め利用に関する1990年4月23日の理事会指令90/219/EECで定義され、その対象とされた輸送を含む、遺伝子組換え微生物のすべての封じ込め利用17)
 
−  遺伝子組換え生物の環境への意図的放出と、理事会指令90/220/EECの廃止に関する欧州議会と理事会の2001年3月12日の指令2001/18/EC18)で定義され、その対象とされた遺伝子組換え生物の環境へのあらゆる意図的放出または輸送。
 

6)  OJ L 194、25.7.1975、39ページ。その付属書 IIAとIIBを改訂する1996年5月24日の委員会決定 96/350//EC(OJ L 135、6.6.1996、32ページ)によって最後に修正された指令。
7)  OJ L 377、31.12.1991、20ページ。この指令は1994年6月27日の理事会指令94/31/EC(OJ L 168、2.7.1994、28ページ)によって修正された指令。
8)  OJ L 182、16.7.1999、1ページ。
9)  OJ L 332、28.12.2000、91ページ。
10) OJ 196、16.8.1967、1ページ。危険物質の分類、包装、表示に関する法律、規則および管理規定の接近に関する理事会指令67/548/EECに対する技術的進展に適応する28回目の改正である2001年8月6日の委員会指令2001/59/EC(OJ L 225、21.8.2001、1ページ)によって改正された指令。
11) OJ L 200、30.7.1999、1ページ。危険な化学薬品の分類、包装、表示に関する加盟国の法律、規則および行政規定の接近に関する欧州議会と理事会の指令1999/45/ECを技術的進展に合わせて改正する2001年8月7日の委員会指令2001/60/EC(OJ L 226、22.8.2001、5ページ)。
12) OJ L 230、19.8.1991、1ページ。2001年11月28日の委員会指令、2001/103/EC(OJ L 313、30.11.2001、37ページ)によって改正された指令。
13) OJ L 123、24.4.1998、1ページ。2001年10月12日に委員会指令2001/87/EC(OJ L 276、19.10.2001、17ページ)によって、改正された指令。
14) OJ L 319、12.12.1994、7ページ。2001年1月29日の委員会指令2001/7/EC(OJ L 30、1.2.2001、43ページ)によって改正された指令。
15) OJ L 235、17.9.1996、25ページ。2001年1月29日の委員会指令2001/6/EC(OJ L 30、1.2.2001、42ページ)によって改正された。
16) OJ L 247、5.10.1993、19ページ。1998年10月1日に委員会指令98/74/EC(OJ 276、13.10.1998、7ページ)によって改正された指令。
17) OJ L 117、8.5.1990、1ページ。1998年10月26日理事会指令98/81/EC(OJ L 330、5.12.1998、13ページ)によって改正された指令。
18) OJ L 106、17.4.2001、1ページ。

 
付属書II
環境被害の修復
 
1. 緒言
 
   この付属書は、環境被害の修復を確保するために、所管官庁が従うべき規則を提示する。
 
2. 回復の目標
 
2.1.  環境被害の修復は、生物多様性被害と水質汚染については、環境を全体としてそのベースライン状態に回復することによって達成される。下記の3.2.3項の場合を除き、この目標は原則として被害を受けた生息地、種、関連する天然資源のサービスあるいは水をベースライン状態まで回復すること、および一時的に被った全ての被害を補償することを通して達成される。回復は被害を受けた元のサイトあるいは別々の場所で、被害を受けた天然資源やサービスと同等のものを復元、交換、または確保することを通して行われる。
 
2.2.  水質汚染と生物多様性被害について、環境被害の修復には、人の健康への重大な害あるいは潜在的害が存在する場合に、そのような害を取り除くことを含む。
 
2.3.  表層土や下層土の汚染が人の健康に深刻な害を引き起こしているか、その危険がある場合、汚染土壌が問題の土地の現在あるいは将来の使用と両立しえないような人の健康への重大な害や潜在的害を生じさせないため、関連する汚染物質の管理、封じ込め、抑制、または除去に必要な措置をとる。被害が生じたときは、妥当な利用法を現行の土地利用規制に基づいて確認する。
 
2.4.  この指令の目標の達成には、被害の発生日からベースラインに回復するまでの一時的な損害を代償するための回復行動も必要である。
 
3. 回復
 
3.1. 合理的な回復の選択肢の確認
 
   基本的回復方策の確認
 
3.1.1. 所管官庁は、自然復元の選択肢、すなわち、被害を受けた天然資源および/またはサービスを、ベースライン状態まで、またはそれに向けて、直接に回復するための人間による介入を行わない選択肢を検討しなければならない。
 
3.1.2. 所管官庁は、短期間でベースライン状態に向けた天然資源とサービスを直接に回復する方策からなる選択肢も検討しなければならない。
 
   代替的回復方策の確認
 
3.1.3. 各選択肢に対して、所管官庁は、復元までの間の天然資源とサービスの一時的な損害を埋め合わせるための代替的な回復方策を検討しなければならない。
 
3.1.4. 所管官庁は、代替的な回復を天然資源やサービスの価値を低下させる期間に配慮したものにしなければならない。
 
3.1.5. 代替的な回復方策を評価する際には、所管官庁は、実行可能な範囲で、被害を受けたものと同じ種類、性質、および、同等の価値をもつ天然資源やサービスをもたらすような方策を最初に検討しなければならない。
 
3.1.6. 被害を受けたものと同じ種類、性質、同等の価値をもつ天然資源やサービスを提供するような回復方策の規模を決定する際には、所管官庁は、資源対資源あるいはサービス対サービスの比例法の使用を検討しなければならない。この方法によって、所管官庁は失われたものと量的に等しい天然資源やサービスが得られるような回復方策の規模を決定する。
 
3.1.7. 資源対資源またはサービス対サービスの比例法という最初の選択肢が使用できない場合には、被害サイトへの金銭的評価手法を代替回復方策の選択に使用することができる。
 
3.1.8. 所管官庁の判断で、失われた資源やサービスの評価が実行可能であるが、天然資源やサービスの復元評価が適正な期間内あるいは適正な費用では実行できない場合には、所管官庁は失われた資源やサービスの金銭的評価を推定して、失われた価値と同等の費用を持つ回復方策の規模を選択できる。
 
3.2. 回復の選択肢の選定
 
3.2.1. 所管官庁は適正な範囲の回復の選択肢をいったん開発したならば、それらの選択肢を、最低限、次のことに基づいて評価しなければならない:
 
   (1) 各選択肢の公衆衛生と安全への影響;
   (2) 選択肢を実施する経費;
   (3) 各選択肢の成功の見込み;
   (4) 各選択肢が将来の被害を防止し、その実施した結果としての副次的被害を回避見込み;
   (5) 各選択肢が天然資源やサービスが各構成要素にもたらす利益の大きさ。
 
3.2.2. いくつかの選択肢が同等の価値をもたらしそうであれば、経費が最も少ないものを選ぶ。
 
3.2.3. 特定された複数の回復選択肢を評価する場合、所管官庁は、被害を受けた生物多様性、水、あるいは土を、ベースラインまで完全には回復できない基本的回復方策を先ず選ぶことができる。所管官庁がこの決定を採用してよいのは、その決定の結果、元のサイトで失われたサービス、資源あるいは価値が,失われたものと同じ程度のサービス、資源あるい価値が得られるような代替方策を追加することで埋め合わされる場合だけである。これらの追加的な代替方策は、第3章1節と、本付属書のこの節で述べられた規則に従って決定されなければならない。
 
3.2.4. 所管官庁は、これらの手続きを適切に、効果的に実施できるように、この付属書で示された手続の実施について協力することを事業者に求めなければならない。事業者が参加することにより、適切な情報とデータが特に提供されるような態勢をとることができる。
 
3.2.5. 所管官庁は、回復措置が行われる土地の所有者に意見を求め、その意見に配慮しなければならない。
 
3.2.6. 上記の評価に基づいて、所管官庁は、どの回復方法をとるかを決定しなければならない。
 
付属書 III
第20条(1)で言及した情報とデータ
 
   第20条(1)で言及した国別の報告書には、各事例についての次の情報とデータとともに、この指令に基づく、環境被害の事例と責任の事例のリストが含まれなければならない:
 
   (1) 環境被害の発生の日付と、この指令による手付き開始した日付。
   (2) 責任のある法人の産業分類コード。
   (3) 環境被害の種類。
   (4) この指令で次のように定義された、回復と防止の措置に要した費用:
   − 責任当事者が直接支払った費用;
   − 責任当事者から事後に回収された費用;
   − 責任当事者から回収できなかった費用(回収できなかった理由が明記されなければならない)。
   (5) 行政がこの指令の実施・施行に必要な行政組織を設置し、運営するために、毎年支出される、追加的な行政的費用の合計。
   (6) 司法審査手続きの請求が責任当事者か資格のある関係者からあったかどうか(請求者の身元と手続きの結果を明記しなければならない)。
   (7) 回復処置の結果。
   (8) 一連の処置が終了した日付。
 
    加盟国は、この指令が機能を果たしていることを適正に評価するため、特定の事例に上限責任を導入することが望ましいかどうかなどの問題について役立つと考えられる、その他の情報やデータを報告書に加えてもよい。責任の上限を導入する見込みの査定は、この指令の施行から3年以内に行われる。
   
影響評価票
中小企業にとくに関連するビジネスに対するこの提案の影響
 
提案のタイトル
  環境被害の防止と回復に関する環境責任についての欧州議会と理事会の指令の提案。
 
文書整理番号
COM(2002) 17 final
 
提案
 
補完の原則を考慮して、この領域における欧州共同体法がなぜ必要か、また、その主目的は何か?
 
 欧州共同体の行動が、共同体内の生物多様性の低下とサイト汚染に効果的、能率的に取り組むために必要である。
 
 サイトの汚染は、地下水や表層水への汚染物質の放出、植物による吸収、人間による直接の接触、および、埋め立て地の発火やガス爆発による汚染物質の放出の結果として、人間の健康と環境に脅威をもたらすため、問題である。欧州共同体の約300,000サイトが、明確な汚染地、あるいは汚染の可能性がある場所としてすでに確認されている1)。この汚染によるリスクを定量化することはできなかったが、その浄化に関わる費用で問題の重大性が理解できる。欧州環境局によって公表された推定では、部分的な浄化費用(いくつかの加盟国あるいは地域といくつかのサイトの合計)は、550〜1060億ユーロで2)、欧州連合の地域内総生産の 0.6%〜1.25%に相当する。これは、大きな数値であるが、単年度の影響ではなく、長年にわたって蓄積された効果を示すものである3)
 
 このように非常に深刻な環境問題が発生している理由の大部分は、環境被害に対する責任が、多くの加盟国ではつい最近まで、法制化されていなかったことによる。過去に汚染されたサイトに関する浄化支出のほとんどは、本来の汚染者に責任をを負わせることが難しいため、結局は、公的資金で支払われることになりそうである。今後は環境責任によって、汚染者が汚染を浄化すること、または浄化費用を払うことが求められるため、責任を問われるかもしれない当事者によって、社会的に効果的な防止がさらに促進されるだろう。
 

1) 「西ヨーロッパにおける汚染サイトの管理」、欧州環境庁(EEA)2000年6月。
2) オーストリア、15億ユーロ(300の優先サイト);フランドル、69億ユーロ、浄化費用合計)デンマーク、11億ユーロ(浄化費用合計);フィンランド、 9億ユーロ(浄化費用合計);ドイツ/バイエルン、25億ユーロ(浄化費用合計);ドイツ/ゼクセン=アンハルト州、16-26億ユーロ(大規模な浄化);ドイツ/シュレースヴィヒ=ホルシュタイン、1億ユーロ(26の優先サイト);ドイツ/チューリンゲン、 2億ユーロ(3つの大規模プロジェクト);イタリア、5億ユーロ、(1250の優先サイト);スペイン、8億ユーロ(部分的な浄化);スウェーデン、35億ユーロ(浄化費用合計);英国、130-390億ユーロ(1万haの汚染した土地)[「西ヨーロッパにおける汚染サイトの管理」(欧州環境庁(EEA)、2000年6月)から]。
3) 提案された処置法は将来に向けられたものであり、これらのサイトはこの提案が採択される前に汚染しているため、サイトの浄化に関連する費用は、この提案には当てはまらないということに注意すべきである。

 
 この環境責任規則では、さらなる汚染を防止することと、汚染防止措置を取ったにもかかわらず汚染が発生したときには、汚染者負担の原則を確実に適用することが必要である。
 しかし、ここで重要な問題は、責任規則が望ましいかどうかではなく(取り組みはさまざまであるが、結局、すでに加盟国はそれらを法律化している)、問題のすべてを国内レベルで扱うのではなく、欧州共同体レベルで規則を法制化することが望ましいかどうかである。欧州共同体レベルの行動は、次の理由から必要である:
 
●  すべての加盟国が、この問題に取り組むために法制度を採用しているわけではない4)。そのため、欧州共同体の行動がなくては、汚染者負担の原則が欧州共同体全域にわたって効果的に適用されるという保証はない。これを適用することができなければ、現在の歴史的な汚染の累積をもたらした効率の悪い行動パターンがいつまでも続くことになると思われる。
 
●  ほとんどの加盟国の独自の法制度は、法律が施行された後に汚染された「みなしごサイト」5)が、確実に浄化されるようにするための権限を国内の公共機関に与えていない6)。このため、国内法では、その環境の目標である環境浄化が達成されることは保証されていない。
 
●  欧州共同体レベルの一致した枠組みがなければ、経済関係者は責任を回避することを目的に、加盟国の取り組みの違いを利用して、不自然な法解釈することがありうる(たとえば、防止の活動に関して多くを変更することなく、環境責任の抜け穴を利用するために、危険な事業を法的に別の資金不足の子会社に分離したり、欧州共同体内にある本社を移動するなど)。このような行動は、加盟国の責任規則の根本的な目的を無効にし、欧州共同体の財源がむだに割り当てられることになる7)
 

4) ポルトガルとギリシャは、汚染サイトに関する特定の法制度をもっていない国である。
5) 責任能力のある当事者が見つからなかったり、支払い不能であったりする汚染サイト。
6) 国内の所管官庁が「みなしごサイト」を浄化することを必要とするならば、彼らは実効性のある金融保証制度を備えることを促進するだろう。このように、この権限は浄化を保証するだけでなく、汚染者負担の原則に従った資金調達制度の確立を促進する。
7) 米国ではこのような行動の兆候がないこと(この提案(草案)の経済的評価の関係で行われた環境責任の防止効果に関する調査を参照)は、各州が地方問題に取り組む十分な自由を認めるが、他方で、州によって異なる取り組みが互いを損なったり、弱めたりしないようにしている連邦政府法の存在によって、おそらく説明できる。

 
 生物多様性の事例については、生物多様性の被害の範囲と重大性、および、われわれがこれまでに経験した生物多様性の消失速度の確実な指標が、まだ開発中である。けれども、2001年5月15日に採択された欧州連合の持続可能な開発戦略の欧州委員会提案では、欧州共同体における生物多様性の低下がこの数10年で劇的に加速し、優先行動を確実に必要とする欧州社会の将来の福利に対して重大な、あるいは取り返しのつかない脅威の一つとなっていることを認めている。
 
 生物多様性の保護のための2つの主要な欧州共同体の法令文書は、生息地指令と野生鳥類指令である8)。これらの指令は、汚染者負担の原則を適用し、それによって民間(および公共)の関係者による効果的な防止的な行動を促進するための責任規定を欠いている。今のところ、民間の関係者に生物多様性被害の責任を問うことによって、この欠落を埋めている加盟国はたとえあるにしても数少ない。このように、生物多様性を保護し、回復するための欧州共同体行動は、2つの主な理由、すなわち社会的に効率的な手段が、欧州共同体における生物多様性被害を修復するための資金調達に利用できるようにし、また、それによって、効果的な防止が促進されるようにするために必要である。
 

8) 自然の生息地と野生動植物相の保全に関する1992年5月21日の理事会指令92/43/EEC(OJ L 206、22.7.1992、7ページ)と野生鳥類の保全に関する1979年4月2日の理事会指令79/409/EEC(OJ L 103、25.4.1979、1ページ)。

 
ビジネスに対する影響
 
この提案によって影響を受けるのはだれか?
 
どのビジネス分野か
 
次の活動のいずれかを行っている企業に影響があるだろう:
 
−  総合的な汚染防止と管理に関する1996年9月24日の理事会指令96/61/ECに従った許可を必要とする施設の運営。
 
−  前述の指令が対象としている汚染物質のいずれかの大気放出に関係する産業設備からの大気汚染の防止に関する1984年6月28日の理事会指令84/360/EECに従った認可を必要とする施設の運営。
 
−  前述の指令が対象としている危険物質の放出に関係する、欧州共同体の水環境に排出された危険物質によって生じる汚染に関する1976年5月4日の理事会指令76/464/EECに従った許可を必要とする施設の運営。
 
−  前述の指令が対象としている危険物質のいずれかの排出に関係する、特定の危険物質によって生じる汚染からの地下水の保護に関する1979年12月17日の理事会指令80/68/EECに従った危険物質の排出許可を必要とする施設の運営。
 
−  前述の指令が対象としている危険物質のいずれかの排出に関係する、水政策分野における欧州共同体行動の枠組みを確立する2000年10月23日の欧州議会と理事会の指令2000/60/ECに従った許可を必要とする施設の運営。
 
   注:指令76/464/EECと80/68/EECは、指令2000/60/ECの第22条に従って2013年12月22日に廃止され、2013年12月23日の時点で指令2000/60/ECの関係する条項が完全に適用可能になる。その結果、指令2000/60/ECは、その時点で、この指令の目的で考慮すべき唯一の指令なる。
 
−  欧州議会と理事会の指令2000/60/ECに従った事前認可を必要とする取水と貯水。
 
−  廃棄物に関する1975年7月15日の理事会指令75/442/EECと有害廃棄物に関する1991年12月12日の理事会指令91/689/EECに従った許可または登録が必要な廃棄物と有害廃棄物の収集、輸送、回収と処分を含め、またこのような事業の監督と処分場のアフターケアを含む廃棄物管理の運営。
 
   これらの運営には、とくに廃棄物埋め立てに関する1999年4月26日の理事会指令1999/31/ECのもとでの埋め立て地の運営、および廃棄物の焼却に関する2000年12月4日の欧州議会と理事会の指令2000/76/ECのもとでの焼却場の運営を含む。
 
−  危険物質の分類、包装、表示に関する加盟国の法律、規則と管理規定の接近に関する1967年6月27日の理事会指令67/548/EECの対象となっている危険物質の製造、使用、貯蔵、輸送あるいは環境への放出。
 
−  危険な化学薬品の分類、包装、表示に関する加盟国の法律、規則と管理規定の接近に関する1999年5月31日の欧州議会と理事会の指令1999/45/ECの対象となっている危険な化学薬品の製造、使用、貯蔵、輸送あるいは環境への放出。
 
−  植物保護剤の販売登録に関する1991年7月15日の理事会指令91/414/EECの対象となっている植物保護剤の製造、使用、貯蔵、輸送あるいは環境への放出。
 
−  殺生物剤の販売登録に関する1998年2月16日の欧州議会と理事会の指令98/8/ECの対象となっている殺生物剤の製造、使用、貯蔵、輸送あるいは環境への放出。
 
−  道路による危険物品の輸送に関係する加盟国の法律の接近に関する1994年11月21日の理事会指令94/55/ECの付属書A、または鉄道による危険物品の輸送に関係する加盟国の法律の接近に関する1996年7月23日の理事会指令96/49/ECの付属書で定義され、あるいは危険または汚染のおそれのある物品を積み、欧州共同体の港に出入りする船舶の最低要件に関する1993年9月13日の理事会指令93/75/EECで定義された、危険物品や汚染のおそれのある物品の、道路、鉄道、内水路、海路あるいは空路による輸送。
 
−  遺伝子組換え微生物の封じ込め利用に関する1990年4月23日の理事会指令90/219/EECの対象となっている遺伝子組換え微生物の封じ込め利用。
 
−  遺伝子組換え生物の環境への意図的放出と理事会指令90/220/EECの廃止に関する2001年3月12日の欧州議会と理事会の指令2001/18/ECの対象となっている遺伝子組換え生物の環境へのあらゆる意図的放出。
 
−  欧州議会と理事会の指令2001/18/ECの対象となっている遺伝子組換え生物の輸送。
 
上記のビジネスのほかに、(提案された制度で定義されたような)生物多様性への被害を生じさせるような他のすべての業務活動が対象となる。
 
どの程度のビジネス規模(中小企業の集中の程度)か?
 
それぞれの企業が環境被害に対して可能性としての責任の程度の影響だけを受けるが、企業の全ての規模に影響があるとい言える。中小企業の集中の影響は正確に判っていないが、一般の産業における中小企業の集中の場合とあまり差はないであろう。
 
これらの企業が見いだされる特定の場所が欧州共同体にはあるか?
 
提案した制度の対象となるような企業の大きな集中が欧州共同体の古い工業地区にあるのは当然であるが、提案した制度の範囲に入る企業は欧州共同体のいたる所に存在する。古い工業地区の外、すなわち豊かな生物多様性で特徴づけられている地区の中に位置する企業も対象になることに注意すべきである。
 
企業は、提案に従うために何をしなければならない?
 
提案された制度の対象となる企業は、(みずから必要な措置をとるか、措置の実施の費用を支払うことによって)直接的に、あるいは(措置を実施した所管官庁に費用を返済することによって)間接的に、環境被害を修復し、特別のケースでは、防止費用を負担しなければならない。
 
提案によって、どのような経済効果がありそうか?
 
−  雇用について
 
雇用の全体的水準に対するこの提案の直接的な影響は、環境規則の事例に一般的であるように、はっきりしないようである。雇用の分野別分布に関していえば、この提案は、やがては相対に汚染を生じやすい分野や、環境への責任をあまり取らない企業から、より汚染の少ない分野や、環境への責任をもつ会社への労働力の移動に結びつくと思われ、これは社会的に望ましい傾向である。
 
−  投資と新たなビジネスの創造について
 
全体的にみて、直接の効果は、上で述べた雇用に対する効果と同様であろう。けれども、この提案は、防止のより効率的なレベルにやがてはつながりうる、防止の技術と有能な営業に投資を促進しそうである。このことによって、われわれの社会は、より少ない資源で高い基準の環境保護を達成し、これによって資源に余裕が生まれ、経済成長をさらに促進することができるであろう。
 
−  企業の競争力について
 
欧州連合産業界の外部との競争力に対する直接の影響は、深刻ではなさそうである。この結論は、2つの主な理由に基づく。第1に、この提案はあらゆる産業分野におけるすべての会社に同様の方法で影響を及ぼすことはなさそうである。費用効果が高い防止活動を採用する会社は、重大な責任に関わる費用を負う可能性は低く、したがって、そのような会社の国際競争力は影響を受けないと考えられる。第2に、この提案と同様な賠償責任に基づく浄化と回復のプログラムである米国のスーパーファンドのかなり大きな直接経費の影響は、米国産業界の国際競争力に大きな影響を及ぼさなかった。
 
この提案には、中小企業の特別な状況を配慮した措置(要件の緩和や変更など)が含まれているか?
 
含まれていない。そのような特別な措置は次の理由から適切とは思われなかった。第1に、環境被害は、それを発生させた企業の大きさとは無関係に発生すると思われる。第2に、ほとんどの指令では、厳密な責任を根拠にして、環境被害を修復する費用を負担しなければならない活動をリストによって示しており、そのような特別な区別をしていない。
 
諮問
 
提案について諮問した組織の一覧とその主な意見の概要
 
欧州委員会は、2000年2月9日に環境責任白書を採択した9)。この白書の目的は、欧州共同体条約の中の重要な環境の原則のうちの1つである汚染者負担の原則を、欧州共同体の環境政策の目標を実現するために、どのように適用するのがもっともよいかを調査することであった。この白書では、環境責任に関する欧州共同体制度をどのように作ることができるかを検討している。欧州共同体行動のために種々の選択肢を調査した結果、委員会は、環境責任に関する欧州共同体枠組み指令が最も適切な選択肢であると結論している。
 
この白書の背景には、1993年の委員会のグリーンペーパー(諮問文書)(COM(93) 47 final)、その年の欧州議会との合同聴聞会、共同体指令および経済・社会委員会の意見を求める1994年の欧州議会の決議などがある。
 
この白書は、加盟国と広範囲にわたる利害関係者から多数のコメントを引き出した10)。白書には、経済・社会委員会11)と地域委員会12)からの意見も出された。欧州議会は、白書に関して公式の立場を採択しなかった13)。環境理事会は、また、2000年4月と12月にも環境責任の問題を討議した14)
 

9)  COM(2000) 66 final.
10) それらのコメントの要約は、以下のサイトで見ることができる:
     (対応するURLが見つかりません。2010年5月)
11) 2000年7月12日の意見(OJ C 268、19.9.2000、19ページ)。
12) 2000年6月14日の意見(OJ C 317、6.11.2000、28ページ)。

 
2001年7月25日に、環境総局は将来の制度の基礎となる原則を示した作業文書を発表した。作業文書は、次のあて先に送られた:
 
● 欧州共同体加盟国;
● 欧州経済領域(EEA)加盟国;
● 欧州共同体加盟予定国;
● 国際的な組織(欧州自由貿易連合(EFTA)と国連環境計画(UNEP));
● 欧州の地域・地方行政組織の協議会(欧州地方自治体協議会(CEMR)と欧州地域会議(ARE));
● 欧州の環境のNGO(欧州環境事務局(EEB)、世界自然保護基金(WWF)、グリーンピース、バードライフ、地球の友、国際自然の友))および消費者同盟(BEUC);
● 欧州の産業・職業の連合・協会: 欧州産業連盟(UNICE)、欧州化学工業連盟(CEFIC)、欧州職人中小企業連盟(UEAPME)、欧州企業家円卓会議(ERT)、欧州公共企業センター(CEEP)、欧州産業汚染土壌ネットワーク(NICOLE)、欧州バイオ産業協会(EuropaBio)、欧州廃棄物処理協会(FEAD)、欧州機械・電気・電子・金属産業連絡会(ORGALIME)、ベルギーのアメリカ商業会議所EU委員会、EU農業専門組織委員会とEU農業協同委員会(COPA/COGECA)、環境技術のための土壌汚染回復ネットワーク(CLARINET)、欧州保険委員会(CEA)、欧州銀行連盟、国際石油・ガス生産協会(OGP)、欧州石油工業協会(EUROPIA)、欧州独立石油組合(UPEI)、国際タンカー船主汚染防止連盟(ITOPF)、欧州環境法律協会(EELA)、欧州所有権連盟(EPF)、欧州原子力産業会議(FORATOM)。
 
加盟国、加盟予定国、環境NGO、産業界と地方・地域行政組織との(5つの)会議が組織された。
 
コメントは、欧州委員会環境総局のウェブサイトでの作業文書の公表を通しても集められた。
 

13) 環境・公衆衛生・消費者政策委員会は、2000年9月12日に環境責任白書に関する、法律問題・共同体内市場委員会への意見を採択した(PE 290.139)。
14) 2000 年12月18日の理事会プレス・リリースNo.486を参照(文書番号:14668/00)。

 
ベルギー、デンマーク、フランスとオランダは、書面でのコメントを送った。ポーランドも、書面でのコメントを提出した。4つの環境NGO(バードライフ・インターナショナル、世界自然保護基金欧州政策事務所(WWW EPO)、欧州環境事務局(EEB)と欧州地球の友)は共同でコメントを送った。欧州船主協会(ECSA)、国際海運会議所(ICS)、独立タンカー船主国際協会(INTERTANKO)も共同のコメントを提出した。このほか、以下の利害関係者がコメントを送った:AFEP-AGREF(フランス民間企業協会−フランス大企業経営者連盟);AVENTIS(アベンティス社);BDI(ドイツ工業連盟);BERGKAMP(ベンカンプ・ルーカス、HUNTON&WILLIAMS法律事務所);BIPAR(欧州保険代理店連盟);BNFL(英国核燃料公社);CBI(英国産業連盟);CEA(欧州保険委員会);CEEP(欧州公共企業センター);CEFIC(欧州化学工業連盟);CEMBUREAU(欧州セメント協会);CEMR(欧州地方自治体協議会);CLECAT(欧州物流貨物組合);CODACONS(環境保全及び顧客・消費者の権利団体連合;ECGA(欧州カーボン・グライファント協会);EELA(欧州環境法律協会);EFCA(欧州技術コンサルタント協会連合);ELO(欧州土地所有者協会);EPF(欧州所有権連盟);ERT環境グループ(欧州経営者円卓会議);ESA(環境産業協会);EURELECTRIC(電気業界組会);EuroGeoSurveys(欧州連合地質調査協会);EUROMINES(欧州鉱業協会);EUROPIA(欧州石油産業協会);FBE(欧州銀行協会);FEAD(欧州廃棄物管理・環境産業連盟);FIEC(欧州建設業連盟);FLA(金融・リース業組合);FORATOM(欧州原子力産業会議);フレッシュフィールズ・デリンジャー法律事務所;IBEC(アイルランド商業・雇用主連合);IFAW(国際動物福祉基金);IoD(英国経営者協会);ITOPF(国際タンカー船主汚染防止連盟);IV(ドイツ産業組合);Leaseurope(欧州リース協会連合);MEDEF(フランス経団連);NFU(英国農業者連合);NICOLE(欧州産業汚染土壌ネットワーク);NIREX(英国原子力産業放射性廃棄物管理会社);北欧の家族林業;OGP(国際石油・ガス生産者協会);ルイスマルタ(弁護士);SMMT(英国自動車工業会);スエズ社;シンジェンタ・インターナショナル社;英国テムズ・ウォーター社;TVO(フインランド産業電力会社);UEAPME(欧州職人中小企業連盟);UEPC(欧州開発業者連盟);UIC(化学産業連盟);UKELA(英国環境法律協会;(UKELAスコットランド法特別委員会からは別々の提出があった));UNICE(欧州産業連盟);VCI(ドイツ化学工業協会);VDEW(ドイツ電気事業連合会);VDMA(ドイツ機械製造者連合会);WKO(オーストリア経済産業連合会);ZVEI(ドイツ電子工業連盟)
 
利害関係者の主な意見の要約
 
利害関係者の主な意見は、次のように要約できる15)
 

15) 守秘義務の必要がない提案の原文(原則として、元の言語)は、以下のサイトで見ることができる: (対応するURLが見つかりません。2010年5月) .

 
加盟国
 
● 概して、公法の仕組みに頼ることは歓迎されたが、民事責任と従来の被害を扱わなくなったことについて、失望がいくつか出された。
● 定義を含めて、できるだけ厳密な法制度の必要性が強調された。
● 「汚染者負担」の原則を完全に実施する必要があることと、「みなしご被害」(すなわち、汚染者が被害を修復する費用を払うことができない場合)に関して公的当局が果たすべき新しい任務を慎重に考慮する重要性が、特に公的当局の将来の財政的負担がどの程度になるかとの関係で強調された。
● 第三者が引き起こした環境被害によって影響を受けた土地の所有者あるいは居住者の特別な立場に関心が集まった。
● 環境領域から出た提案が、会社法あるいは民事手続に密接に関係する問題に触れていることについて、懸念が示された。
● 国際条約との関係を明らかにする必要性が言及され,さらに、委員会がこの問題をさらに検討する必要性を強調する観点から、市民責任の分野における国際レベルにおけるさまざまな取組みが言及された。
● 一時的な低下を含めることに関して疑問が出された。
● 今後の欧州共同体制度は、加盟国がさらに厳しい規定を採用することを妨げてはならない。
 
加盟予定国
 
● 概して、この作業文書で示された提案には、反対はなく、いくつかのコメントでは、提案はもっと包括的であるべきだとさえ述べられた。
● 公的当局の将来の財政についての懸念がいくつか出された。
 
産業界と専門家団体
 
産業界は、従来の被害(個人の傷害と資産の被害)が除外されることと、事業者に対する直接行動をNGOに認めないということを歓迎したが、これまで述べられたものと同様な懸念が繰り返された。その要点は、産業界は:
 
● 規定一般、特に定義を、明確で厳密なものにする必要性を主張し、
● 概して、立証責任のどんな緩和や撤回にも反対であり、
● 概して、連帯責任には反対であり、
● 厳密な責任を限られた数の活動に限定することを望み(一部の産業の代表者は、過失責任以外を問うべきでないと考えている)、
● 許可、最新の科学技術、開発リスクに従ったことによる場合は、例外として残すべきであると主張し、
● 司法へのアクセスに関係する限り、NGOにどんな特権的資格を与えることにも反対であり、
● 環境被害の評価が難しいことを懸念しており、
● 財政的な保証が強制されないことは歓迎するが、事業者が適切な保険適用を見つけるのが難しいことを心配しており
● 関連する分野において既存の国際条約(たとえば油汚染、核の被害)を考慮するように委員会を求め、
● 経済的評価の技術の使用について心配している。
● 産業界は、「会社秘密のベールに穴をあけること」についての作業文書の新しい提案についても心配している。
 
環境の非政府組織(環境NGO)
 
● 法案を早期に提案するという委員会の意向は歓迎するが、目指している水準が十分でないことを心配している。さらに詳しく述べると、環境NGOからのコメントは、以下のような傾向であった;
● 一般に、彼らは遺伝子組換え生物(GMOs)の分野の新しい開発、包括的環境配慮製品に関する政策(IPP)、危険な化学製品の分野の欧州共同体の政策の見直しとエリカ・タンカー油流出事故の事後処理の必要性を考慮するため、作業文書で示した規制緩和的な取り組みを広範囲に再検討することを主張している。
● 彼らは、厳密な責任の領域があまりに制限されている(潜在的に危険な活動のすべて、あるいは少なくとも彼らがコメントで列挙した活動に適用されなければならない)と考えている。
● 彼らは、保護地域外での生物多様性被害と欧州共同体と加盟国が加わった国際条約による保護地域への被害を対象とすべきであると主張している。責任は、また国内法令によって保護されている種と、国と国より下のレベルで保護されている地域のすべてのタイプに適用されるべきである。
● 責任は、野生鳥類指令で保護されているすべての鳥類に適用すべきである。
● 彼らは厳密な責任と過失責任の区別を残すとしても、過失責任は、危険とは分類されないような活動が原因で生じる水の汚染(たとえば下水汚泥や工場廃水による水質汚染の場合)にまで拡大されなければならないと考えている。
● 彼らは、環境に有害であり、人間の健康にも有害であるかもしれない土壌汚染を対象にしなければならないと主張する。
● 彼らは、従来の被害も対象としなければならないと考えている。
● 彼らは、今後の制度が、些細な被害から衝撃的な被害までのさまざまな事例に適用できるようにするため、被害の最低水準を大幅に下げることを要求している。
● 彼らは、委員会が過去の被害、とくに土壌汚染の事例の解決を図ることを要求する。
● 彼らは、「公的命令の遵守」によって、遺伝子組換え作物の商業的栽培を含む許可あるいは認可された事業の責任が免除されないように求めている。
● 彼らは、責任の分担割合が明らかでない事例での連帯責任を歓迎する。
● 彼らは、財政保証を条件として、管理法人および管理人の責任を歓迎する。
● 彼らは、市民と関係グループが法的な資格を与えられ、少なくともある事例では、事業者に対して、彼らが直接行動をとることができるべきであると考えている。とくにさしせまった被害が生じる可能性がある場合は、汚染者に対する訴訟を起こす市民のために適切な財政援助(すなわち法廷費用および被害請求の軽減)が必要である。
● 彼らは、財政保証が欧州共同体レベルで義務化されることを求めている。
● 彼らは、一般に、被害に対する回復条件を歓迎する。
● 彼らは、立証責任が緩和されなければならないと考えている。
● あるNGOは、同等の回復ができない場合に使用する金銭的評価法に、定められた優先的手法をいれることを求めている。また、遡及的な制度も主張している。
 
地方と地域の行政機関
 
● とくに、責任を負う汚染者がいない場合、立案された制度では、この制度の実施において公的当局に義務を要求するという規定について懸念が表明された。
● 公的当局の行動に対して資格のある組織が異議を申し立てることができることについて懸念が表明された。
 
 

本の紹介 82:Geosphere-Biosphere Interactions
and Climate, Cambridge University Press (2001)
ISBN 0 521 78238 4

 
 
 これは、「地球圏−生物圏と気候」の間に生じている多方面にわたる相互作用について最新の情報を得ようとする研究者に適した本である。本書の導入の部分は、成層圏オゾン層の破壊でノーベル化学賞を7年前に受賞した P.J. Crutzen によって書かれている。以下の内容は、人間圏の問題、人類の展望、地球システムのモデリング、過去からの情報、課題への取組み、の5部からなる。著者は、ドイツ、アメリカ、ベルギー、デンマーク、スイス、フランス、スウェーデン、カナダの世界的に著名な研究者で構成されている。最終章のパネル討論のまとめ、将来の研究目標は一読に値する。目次は以下の通りである。
 
  Preface  
  Introduction  
1

 
The Antarctic Ozone Hole,a Human-Caused Chemical Instability in the Stratosphere: What Should We Learn from It?
Paul J. Crutzen
 
 
PART ONE. THE ANTHROPOGENIC PROBLEM
2
 
Feedbacks and Interactions between Global Change, Atmospheric Chemistry, and the Biosphere
M. O. Andreae
3
 
Atmospheric CO Variations: Response to Natural and Anthropogenic Earth System Forcings
Inez Fung
4

 
Modeling and Evaluating Terrestrial Biospheric Exchanges of Water, Carbon Dioxide, and Oxygen in the Global Climate System
Martin Heimann
 
5 Carbon Futures Wallace S. Broecker
 
PART TWO. THE HUMAN PERSPECTIVE
6 Global Climate Change in the Human Perspective Stephen H. Schneider
 
PART THREE. MODELING THE EARTH'S SYSTEM
7
 
Earth System Models and the Global Biogeochemical Cycles David Schimel
 
8
 
The Role of CO, Sea level, and Vegetation During the Milankovitch-forced Glacial-Interglacial Cycles
Andre Berger
9 Nonlinearities in the Earth System: The Ocean's Role Thomas F. Stocker
10
 
Simulations of the-Climate of the Holocene: Perspectives Gained with Models of Different Complexity
J. E. Kutzbach
11
 
Interactions of Climate Change and the Terrestrial Biosphere Iain Colin Prentice
 
 
PART FOUR. INFORMATION FROM THE PAST
12
 
The Record of Paleoclimatic Change and Its Greenhouse Implications
W. R. Peltier
13
 
Long-Term Stability of Earth' s Climate: The Faint Young Sun Problem Revisited
James F. Kasting
14 Physical and Chemical Properties of the Glacial Ocean J. C. Duplessy
15
 
Ice Core Records and Relevance for Future Climate Variations Jean Jouzel
 
 
PART FIVE. HOW TO MEET THE CHALLENGE
16 Toward a New Approach to Climate Impact Studies Will Steffen
17
 
Research Objectives of the World Climate Research Programme
Hartmut Grassl
18 Panel Discussion: Future Research Objectives Martin Heimann
     
  Index  
 
 

資料の紹介:平成14年版環境白書、環境省編
ぎょうせい(2002)
1、800円 ISBN4-324-06867-4

 
 
 平成14年版環境白書は、環境保全と社会経済システムの両立を謳う。第1部では、「動き始めた持続可能な社会づくり」と題して、「社会経済システムと環境問題のかかわり」と「環境負荷の少ない社会経済システム構築に向けた各主体の取組」と「持続可能な発展をもたらす社会経済システムを目指して」が解説される。
 
 「社会経済システムと環境問題のかかわり」では、社会経済システムと環境問題のかかわりについて考察し、今後、持続可能な社会を実現するに当たり「環境効率性」を向上させることの重要性が明らかにされる。また、社会システムの活動基盤である自然環境が、環境負荷によりダメージを受けており、将来社会経済システム自体の存続が危うくなる可能性があると指摘する。このような問題を解決するために、「持続可能性」が必要で、この「持続可能性」という目標を達成するための鍵となる「環境効率性」の推移と「環境効率性」向上の要因についての解説がある。
 
 「環境負荷の少ない社会経済システム構築に向けた各主体の取組」では、市民の環境問題への高まりが強調される。しかし、こうした市民の行動はまだ十分には展開されていない。一人一人が日常生活のなかで取り組むことによってその効果が大きいことを指摘する。また、企業の環境保全への取り組みの方向性と共通性が紹介される。さらに、この取り組みの内容・程度に業種ごとの特色があることが紹介される。さらに、環境問題の解決には、社会経済活動への影響が考慮されなければならないこと、従来の産業型公害への対応とは異なる新たな対応が求められることが強調される。取り組みにおける政府の対策が紹介される。
 
 「持続可能な発展をもたらす社会経済システムを目指して」では、わが国における持続可能な社会づくりに向けた道のりが提案される。社会経済システムは、環境上の制約に直面する可能性が高まっている。早急に対策を図る必要があるが、実施可能な対策もあることが解説される。つづいて、環境制約を回避するための対応が述べられる。さらに、わが国が地球規模の環境問題にも積極的に対応し、国際社会の安定に大きく貢献する必要があることが述べられる。最後に、今日の大量生産・大量消費・大量廃棄を基盤とする社会経済システムを見直すことが不可欠であることから、ヨハネスブルグサミット開催を迎えた本年を契機に、市民、企業、政府などの各主体が一体となって、環境の視点から社会の構造改革を進める道のりを考えることの必要性が強調される。
 
 第2部以下は、おおむね例年に沿った解説が続く。目次は以下の通りである。
 
第1部 総説 動き始めた持続可能な社会づくり
第1章 社会経済システムと環境問題のかかわり
第1節 社会経済の発展と環境問題の変遷
第2節 社会経済システムと環境効率性
第2章 環境負荷の少ない社会経済システム構築に向けた各主体の取組
第1節 市民における取組の変化
第2節 企業における取組の変化
第3節 政府における施策の変化
第3章 持続可能な発展をもたらす社会経済システムを目指して
第1節 環境制約の顕在化と新たな対応の可能性
第2節 環境対策を講じることの経済上の効果
第3節 国際社会における新たな対応とわが国の貢献
第4節 動き始めた持続可能な社会づくり
 
第2部 環境問題の現状と政府が環境の保全に関して講じた施策
第1章 環境への負荷が少ない循環を基調とする社会経済システムの実現
第1節 地球規模の大気環境の保全
第2節 大気環境の保全(地球環境の大気環境を除く)
第3節 水・土壌・地盤環境の保全
第4節 廃棄物・リサイクル対策
第5節 化学物質の環境リスク対策
第6節 自然と人間との共生の確保
第2章 各種施策の基盤及び各主体の参加に係る施策
第1節 環境教育・環境学習の推進
第2節 社会経済のグリーン化メカニズムの構築に向けた取組
第3節 環境影響評価等
第4節 環境投資の推進
第5節 地域づくりにおける取組の推進
第6節 適正な国土の利用の推進
第7節 調査研究、監視・観測等の充実、適正な技術の振興等
第8節 環境情報の整備・提供
第9節 公害防止計画
第10節 環境保健対策、公害紛争処理等
第11節 技術開発等に際しての環境配慮及び新たな課題への対応
第3章 国際的取組に係る施策
第1節 地球環境保全等に関する国際協力等の推進
第2節 調査研究、監視・観測等に係る国際的な連携の確保等
第3節 地方公共団体又は民間団体等による活動の推進
第4節 国際協力の実施等に当たっての環境配慮
第5節 国際協力の円滑な実施のための国内基盤の整備
第6節 地球環境保全に関する国際的枠組みの下での取組と新たな国際的枠組みづくり
第4章 環境基本計画の効果的実施
第1節 各主体の連携と推進体制の強化
第2節 目標の設定
第3節 財政措置等
第4節 各種計画との連携
第5節 計画の進捗状況の点検及び計画の見直し
 
 平成14年度において講じようとする環境の保全に関する施策
 
第1章 環境への負荷が少ない循環を基調とする社会経済システムの実現
第1節 地球規模の大気環境の保全
第2節 大気環境の保全(地球環境の大気環境を除く)
第3節 水・土壌・地盤環境の保全
第4節 廃棄物・リサイクル対策
第5節 化学物質の環境リスク対策
第6節 自然と人間との共生の確保
第2章 各種施策の基盤及び各主体の参加に係る施策
第1節 環境教育・環境学習の推進
第2節 社会経済のグリーン化メカニズムの構築に向けた取組
第3節 環境影響評価等
第4節 環境投資の推進
第5節 地域づくりにおける取組の推進
第6節 適正な国土の利用の推進
第7節 調査研究、監視・観測等の充実、適正な技術の振興等
第8節 環境情報の整備・提供
第9節 公害防止計画
第10節 環境保健対策、公害紛争処理等
第11節 技術開発等に際しての環境配慮及び新たな課題への対応
第3章 国際的取組に係る施策
第1節 地球環境保全等に関する国際協力等の推進
第2節 調査研究、監視・観測等に係る国際的な連携の確保等
第3節 地方公共団体又は民間団体等による活動の推進
第4節 国際協力の実施等に当たっての環境配慮
第5節 国際協力の円滑な実施のための国内基盤の整備
第6節 地球環境保全に関する国際的枠組みの下での取組と新たな国際的枠組みづくり
第4章 環境基本計画の効果的実施
第1節 各主体の連携と推進体制の強化
第2節 目標の設定
第3節 財政措置等
第4節 各種計画との連携
第5節 計画の進捗状況の点検及び計画の見直し
 
 平成13年度における主な環境問題の動き
 環境省関連ホームページの紹介
 索  引
 
 

資料の紹介:近年の気候変動の状況と気候変動が農作物の
生育等に及ぼす影響に関する資料集
平成14年4月、農林水産省

 
 
 この資料を紹介する前に、地球温暖化とこれに関係する国際会議や条約について整理する。
 
 1979年に開催された世界気象機関(WMO)第1回世界気候会議は、世界で始めて地球温暖化について検討した。85年の10月には、オーストリアのフィラハで、科学的知見の整理のための国際会議が開催された。また、87年にはフィラハで「地球温暖化影響予測のためのワークショップ」が開催された。
 
 そして88年をまって、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が設立される。89年3月には、地球温暖化対策推進のためのハーグ宣言が採択されている。11月のノールトヴェイク環境相会議では、温室効果ガスの早期安定化で合意が得られている。
 
 翌90年には、地球温暖化の警告書ともいわれるIPCC第1次報告書が刊行される。その後、「気候変動に関する国際連合枠組条約(UNFCCC)」の発効及び「気候変動に関する国際連合枠組条約締約国会議(COP)」が開催されるなど、急激な気候変動を回避するために様々な取り組みが行われている。
 
 とくに、97年に京都で開催された第3回締約国会議(COP3)では、温室効果ガスの削減目標を定めた京都議定書が採択され、地球温暖化防止に向けて大きく前進した。01年11月から開催された第7回締約国会議(COP7)においては、京都議定書の運用ルールなどについての合意がなされた。
 
 国内においては、京都議定書に対応するため、「地球温暖化対策推進法」の改正と新たな「地球温暖化対策推進大網」が策定された。また関係省庁では、省エネルギーやリサイクルの強化、環境にやさしい新エネルギーの導入、ライフスタイルの見直しやその支援の取り組み、人と自然にやさしい循環型社会の構築の推進など、様々な広報および施策などが実施されている。
 
 農林水産省においても、「循環型社会構築・地球温暖化対策推進本部」が設置され(平成13年)、関係府省と連携しながら、循環型社会構築及び地球温暖化対策のための総合的な施策の検討が行われている。
 
 この資料は、こうした背景のもとに、農業に与える気候変動(温暖化)の影響をいかに回避するかを検討していく上で必要となる、1)地球温暖化に関する情報、2)国内の気候変動、3)今日まで研究されている温暖化が農作物へ及ぼす影響について、地域の農業関係者に幅広く情報を提供することを目的にとりまとめられたものである。
 
 ハーバード大学で89年にIPCCの第1次報告書とりまとめに関与した筆者には、農林水産省でこのような資料がとりまとめられたことに、隔世の感がある。目次は以下の通りである。
 
I.地球温暖化問題を考える
II.気候変動に対応するための取り組み
 1 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)と活動内容
 2 IPCCの活動の成果
 3 我が国における温暖化が及ぼす影響
III.温暖化のメカニズムと大気中の温室効果ガス濃度や気候の変動について
 1 地球温暖化のメカニズムと大気中における温室効果ガス濃度の変動
 2 国内の水稲栽培期間の気候変動予測
IV.我が国における異常気象の発生状況と各地域における気候変動
 1 異常気象の発生状況
 2 地上気温と降水量の変動
 3 地域(各都道府県)でみる気温変動
V.気候変動(温暖化)が農作物の生育・生理に及ぼす影響
 1 水稲
 2 麦
 3 大豆
 4 野菜
 5 果樹
 6 茶
VI.気候変動(温暖化)が農作物の生育環境に及ぼす影響
 1 水資源への影響について
 2 土壌への影響について
 3 雑草への影響について
 4 病害への影響について
 5 害虫への影響について
 
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