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外来植物のリスク評価と蔓延防止策  
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■プロジェクト紹介

 

このプロジェクトは、

  1. 国内における外来植物の蔓(まん)延の実態とその要因を明らかにすること
  2. 防除対象とする外来植物を特定するために必要な生態系影響リスク評価法を開発すること
  3. 蔓延を防止するための総合防除技術を開発しその効果の実証と生物多様性への影響の評価を行うこと

を目的としています。

プロジェクト実施の背景

近年、輸入飼料への混入などによる非意図的な侵入や、牧草や園芸作物としての人為的な導入によって、一部の外来植物が国内に定着して急速に分布を拡大し、日本固有の植生と交替したり、希少種の生息地に侵入したりする例が多くなってきています。外来植物の定着や分布拡大には、気象や土壌の条件、繁殖能力・生長速度、天敵の有無、他感作用などが関わっており、外来植物のリスク評価や防除法の決定を行うためには、これらの情報を収集し、科学的に判断する必要があります。

このような背景のもと,平成16年6月に「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(外来生物法)」が成立・公布されました。この法律は、外来生物による生態系、人の生命・身体、農林水産業への被害を防止するために、もともと日本にいなかった外来生物のうちで生態系などに被害を及ぼすものを特定外来生物に指定し、飼育、栽培、保管、運搬、販売、譲渡、輸入などを原則として禁止し、すでに定着している場合は積極的に防除することを定めています。この法律は平成17年6月1日に施行されましたが、植物については3種のみが「特定外来生物」に指定されただけで、このほかは「被害に係る科学的知見及び情報が不十分」であるため特定外来生物には指定されなかった植物60種類が「要注意外来生物」として公表されています。

プロジェクトの実施体制

本研究プロジェクトは、農業環境技術研究所生物環境安全部の藤井義晴研究リーダーを研究代表者とし、農業環境技術研究所、農業・生物系特定産業技術研究機構(畜産草地研究所)、岡山大学(資源生物科学研究所、環境理工学部)、日本植物調節剤研究協会、雪印種苗が分担・協力して実施にあたります。本プロジェクトは、以下の3つの課題に取り組みます。

(1)外来植物が生物多様性に及ぼす影響評価と要注意植物の選定

この研究課題では、近年非意図的にわが国に侵入し農業生態系において生態的影響や経済的被害を及ぼしている外来植物、あるいは意図的に導入された植物であるが利点のほとんど認められない外来植物について、国内の既分布地域から未分布地域へ侵入する過程を調査・解析することによって、外来植物の新たな地域への分布拡大や定着のメカニズムを解明します。また、外来植物の中でも有毒物質や他感物質を生産・放出するような他の生物に対する攻撃性が特に強いものについては、これをリストアップするとともに、その原因物質を解明します。これらの研究を通じて、全国における外来植物の蔓延実態を把握し、問題となる外来植物を選抜して、外来植物選定委員会等に提案します。

具体的には、

  1. 外来植物の全国分布の把握と流域レベルでの分布特性の解明および群落形成過程のモニタリング
  2. 侵略的外来植物の蔓延特性の解明
  3. 外来植物の雑種後代にみられる生理・生態的特性の解明
  4. 外来植物の他感作用の検定と作用物質の同定
  5. リスク評価結果の妥当性の検証と要注意外来植物の選定
を実施します。

(2)侵入経路の特定と定着・分布拡大予測

この研究課題では、既に定着している外来植物の防除判定ならびに新たに導入しようとする外来植物の導入可否判定を適切に行うために、外来植物の定着・分布拡大過程を明らかにするとともに、分布拡大予測を行い、生態系影響リスク評価法を開発します。

具体的には、近縁在来種との交雑による影響を明らかにする観点から、外来植物の雑種後代にみられる分布拡大過程を推定するとともに、それに基づいた今後の分布拡大予測を行います。また、外来植物の侵入しやすい立地を明らかにするため、外来植物の定着とその後の生長に影響を及ぼす土壌の化学的特性を解明します。さらに、外来植物がもたらす除草剤抵抗性遺伝子について、その拡散を予測します。また、外来植物の他感作用の検定や作用物質の同定によって得られる成果をもとに、外来植物の化学生態的特性に関するデータベースを構築します。

(3)強害外来植物種に対する効率的で環境負荷の少ない防除技術の開発とその生態影響評価

除草剤の使用を伴う化学的防除技術のみに頼らず、カバークロップ等を利用した生物的防除技術に刈り取りなどの機械的防除技術を組み合わせ、強害外来植物に対する効率的で環境負荷の少ない防除技術を開発する。また、除草剤の使用を伴う総合防除を想定し、個別技術について生態影響評価を行い、安心で安全な蔓延防止策により本来の植生へ復元する技術を開発する。

以上の研究課題の円滑な推進を図るために、別途研究運営委員会を設置し、研究推進上必要な会議や現地調査等を実施します。研究運営委員会は,これらの研究課題の推進のために責任もって研究を総括し、各参画機関と連携して、効果的、効率的な研究運営を行います。また、本研究課題のアウトリーチ活動として、以下の事業を行います。

  1. インターネット(ホームページとメーリングリスト)を活用して、研究内容と研究成果を紹介し、多くの方々と双方向で情報交換を行います。
  2. 生物多様性の保全と外来植物の生態系影響に関する啓発資料(図鑑およびパンフレット等)を作成し、全国に配布します。
  3. 一般市民、研究者、行政を参集範囲として公開セミナーや研究フォーラムを開催し、リスク評価手法と評価結果に対する意見交換を行い、今後の研究推進の参考にします。 また、研究成果に対するパブリックアクセプタンスを推進します。
  4. 出前レクチャーを開催します(中学・高校・都道府県市町村の担当者を対象)。

 


お問い合せ先 農業環境技術研究所 生物環境安全部 植生研究グループ 化学生態ユニット
tel : 029-838-8246 / e-mail : yfujii@affrc.go.jp

 

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