農業環境技術研究所 最終更新日: 2009年 4月10日 NIAESロゴ

4月のセミナー予定

農業環境技術研究所
セミナー開催記録

生物多様性研究領域セミナー
(平成21年度 第1回)

日時: 平成21年4月8日(水) 15:00~16:30
場所: 453会議室
テーマ 講演者 連絡先
Farming for Nature
- a challenge in Dutch agricultural policies
Leo van den Berg
(Wageningen University)
楠本
山本
電話 838-8245
内容

Rather frustrated by the bureaucratic complications and limited effect on some endangered species some researchers at Wageningen-UR, together with a few farmers and other stakeholders, have developed a simple and holistic approach to integrate intelligent and economically viable farming with enhancing biodiversity. The presentation will highlight the basic principles and compare them with the mainstream approach of nature management agreements between the Dutch government and farmers in ecologically sensitive areas. The speaker will conclude with a few observations as to how such approach could be helpful to Japanese farmers in comparable areas. Also a short reference will be made to a new practice of 'auctioning of landscape elements in agricultural areas'.

物質循環研究領域セミナー
(平成21年度 第1回)

日時: 平成21年4月10日(金)
14:00~17:00
場所: 453会議室
テーマ 講演者 連絡先
森林・耕地土壌における溶存有機物の動態と機能 藤井 一至
(京都大学大学院地球環境学堂)
岸本(莫)
電話 838-8225

電話 838-8225
内容

土壌中において、溶存有機物(DOM)は、植物根からの滲出、リターの可溶化によって供給され、吸着、無機化、下方浸透する。DOMは、ごく一部(<10%)に過ぎない低分子DOM(単糖、低分子有機酸)と腐植物質を含む高分子DOMの二つのプールが異なる機能を持つことが知られている。生態系、土壌の炭素フラックスとともにDOMのフラックスを測定し、生態系、土壌の炭素循環におけるDOMの役割を定量評価した。土壌からのCO2放出や土壌有機物蓄積のメカニズムと、気候、植生、土壌環境の影響について議論したい。
また、DOMは、有機酸の解離を通して、酸性雨、炭酸の解離、硝酸化成、植物吸収とともに、土壌酸性化においても重要な役割を果たしている。土壌中の酸の挙動(生産・消費)を各土壌層位で定量化することによって、DOMの土壌酸性化への相対的な寄与を評価した。土壌酸性化に対する撹乱の影響評価に向けて、DOMを含む土壌中の酸の挙動や土壌生成過程(例えばポドゾル化)を理解することの重要性について話したい。

テーマ 講演者 連絡先
安定的に貯留される土壌有機物の化学的実態:
化学構造的特徴および蓄積メカニズム
平舘 俊太郎
(農環研・生物多様性研究領域)
岸本(莫)
電話 838-8225


電話 838-8225
内容

土壌生態系へと投入された有機炭素は、大部分が数年以内にCO2として大気中に放出されるが、一部は微生物等の代謝を受けてもなおCO2とはならず、逆に複雑で安定高分子有機化合物として土壌中に貯留されていく。これらの安定化された有機化合物群は腐植物質と呼ばれ、土壌学分野では古くから研究されてきた。これは、腐植物質は土壌の生成過程を反映・記録している土壌にユニークな存在であり、また土壌が示す重要な物理的・化学的特性の多くを担っているためである。
日本の火山灰土壌の表層には黒味の強い腐植物質が多量に蓄積されており、その様相から「黒ぼく土」と正式に名付けられている。一般に、腐植物質は土壌中にて安定化過程を経るごとに糖鎖構造は減少し、逆にベンゼン環等に由来する二重結合性炭素およびカルボキシル基構造は増加する。黒ぼく土の腐植物質は、後者が高度に濃縮された化学構造を持っていることから、腐植化過程をより多く経たと考えられる。ベンゼン環構造は微生物にとって利用しにくい形態であることから、長期的な安定性に寄与していると考えられる。一方のカルボキシル基は、FeやAlといった土壌中の金属元素と化学的に安定な結合を形成できる。黒ぼく土表層は比較的新しい火山灰を豊富に含んでおり、これらがFeやAlを容易に放出し、腐植物質中のカルボキシル基と安定な複合体を生成させていると考えられている。
最近、火山灰土壌の腐植物質は、多くが草原植生の影響下で生成され、その草原植生は人為によって維持されていた可能性が指摘されている。黒ぼく土の生成に何らかの人為的行為が関わっていたのか、であればそれは何だったのか、あるいは草原植生は黒ぼく土生成に必須なのかなど、今後の炭素貯留へ向けたヒントがまだ数多く土中に埋まったままのようである。

◆◆◆ どなたでも参加できますので、参加したい方は直接会場にお越しください ◆◆◆

このページの先頭ヘ

3月のセミナー セミナーに関するお問合せは各セミナーの連絡先へ直接お願いします 5月のセミナー
独立行政法人 農業環境技術研究所
305-8604 茨城県つくば市観音台 3-1-3
TXイラスト
研究所までの交通案内
広報情報室広報グループ(kouhou@niaes.affrc.go.jp