農業環境技術研究所 刊行物 研究成果情報 平成18年度 (第23集)

主要研究成果 19

日本産ヒョウタンカスミカメ族(カメムシ目)の
Web図説検索表

[要約]
日本産ヒョウタンカスミカメ族17種の図説検索表をウェブサイト上に公開しました。 鱗毛 りんもう の形態など識別点となる形質を図示したことで、高度の専門知識がなくとも容易に種が同定できます。
[背景と目的]
 ヒョウタンカスミカメ族の多くはダニ類や小昆虫を捕食するとされ、自然環境ではこれらの天敵としての役割を果たしていると考えられます。最も普通にみられるヒョウタンカスミカメ(Pilophorus setulosus)は、里山を中心とした農業生態系に多く、種々の落葉広葉樹上で生活しています。本族は体色、体形などが類似した種が多く、生物相の調査などで頻繁に発見されるものの、図鑑など同定に利用できる資料が乏しく、これまで分類の専門家以外による同定は困難でした。そこで、種の同定に用いる形質をわかりやすく図示した図説検索表を作成・公開することで、同定を容易にする手段を提供します。
[成果の内容]
 ヒョウタンカスミカメ族はカスミカメムシ科チビカスミカメ亜科に含まれ、全世界でおおよそ150種ほどが知られる比較的小規模なグループで、わが国ではこれまでに17種が確認されています。体長約2〜4mmほどの微小なカメムシで、アリに似た種が多いことでも知られ、背面に特徴的な銀白色の鱗毛をもち、これらが鱗毛列を形成するものもあります(図1)。
 日本産ヒョウタンカスミカメ族17種について種の検索表を作成し、鱗毛の形態など識別点となる形質をすべて図示しました。これらを組み合わせてヒョウタンカスミカメ族の図説検索表を作成、Web公開しました(図2)。農業環境技術研究所の研究・技術情報のページ(http://www.naro.affrc.go.jp/archive/niaes/techdoc/db_image.html#hyotan)からアクセスできます。
 画面の左に体の全形図を表示し、右側で拡大している部位がどこかわかるように矢印で示しました。利用者は指示された形質を観察し、2つの選択肢から合致する方を順次選ぶことで該当する種に到達できます。なお、当ページには英語版も用意してあります。現在のところ検索表だけですが、個々の種について解説および画像を充実させる予定です。

リサーチプロジェクト名:環境資源分類・情報リサーチプロジェクト

研究担当者:農業環境インベントリーセンター 中谷至伸

発表論文等:1)URL http://www.naro.affrc.go.jp/archive/niaes/inventry/insect/illust_keys/pilophorini/key_pilophorini01.html

図表

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