トビイロウンカの遺伝地図の作製
トビイロウンカは、ウンカ類の中でも特にイネの主要害虫として知られています。トビイロウンカのゲノムは、ヒトの1/3ほどのサイズの約12億個の塩基からなり、ゲノム中には数万個の遺伝子が存在していると推定されています。この中から目的の形質に関わる遺伝子を探し出すのは大変困難な作業です。ただし、ひとつひとつの遺伝子は染色体の決まった位置に配置されているため、探したい遺伝子が染色体上のどこにあるかがわかれば、それを手掛かりに特定することができます。
膨大な情報を持つ染色体から特定の位置の情報を取り出すためには、DNAマーカーと遺伝地図が不可欠です。しかし、農業害虫においては、DNAマーカーの開発はほとんど進んでいませんでした。そこで、トビイロウンカのDNAマーカーの開発と、各マーカーの染色体上の位置関係を示す遺伝地図の作製に取り組んだ結果、イネ害虫で初めて遺伝地図の作製に成功しました。

- トビイロウンカ研究の概要
- トビイロウンカゲノム関連データベース
- 害虫防除におけるトビイロウンカ遺伝子研究