国立研究開発法人農業生物資源研究所 遺伝子組換え研究センター
遺伝子組換え研究推進室 |
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遺伝子組換え農作物のほ場での試験栽培
平成27年度の遺伝子組換え農作物のほ場での試験栽培の経過を掲載します。
平成27年度遺伝子組換えダイズ及びトウモロコシの栽培を実施
− 高オレイン酸含有及び除草剤耐性ダイズと害虫抵抗性及び除草剤耐性トウモロコシを一般ほ場で栽培 − |
遺伝子組換え作物である「高オレイン酸含有及び除草剤耐性ダイズと害虫抵抗性及び除草剤耐性トウモロコシ」の一般ほ場での栽培を栽培実験計画書( ダイズ・ トウモロコシ)に従って実施しています。
ほ場での試験栽培の時系列に示した観察経過を掲載しています。マウスポインタが指マークに変わる写真は拡大して見ることができます。試験栽培区画及び試験栽培予定は下記の通りです。
高オレイン酸含有及び除草剤耐性ダイズの経過観察 | 害虫抵抗性及び除草剤耐性トウモロコシの経過観察 |
試験栽培区画
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高オレイン酸含有及び除草剤耐性ダイズ:非選択性除草剤散布区×2、慣行除草区、無除草区
高オレイン酸含有ダイズ(遺伝子組換えダイズ)は、多価不飽和脂肪酸(リノール酸、リノレン酸等)の含有量を減らし、代わりに一価不飽和脂肪酸であるオレイン酸含有量を増やしたものです。このため、高オレイン酸含有ダイズの油は、熱安定性に優れています。また、オレイン酸はLDL
コレステロール
(
悪玉
コレステロール
)を下げ、HDL
コレステロール
(
善玉コレステロール
)を低下させない作用が報告されるなどの有用性が示されています。
これらの成分改変が生育特性に影響しないか観察を行います。さらに、このダイズは除草剤耐性の性質を持つことから以下の栽培区画で試験を行い、除草剤への反応を観察します。
<非選択性除草剤散布区>
非選択性除草剤を栽培中に散布する予定です。非選択性除草剤とは、どのような植物でも枯らせてしまう(枯らす植物を選ばない)タイプの除草剤です。ほ場で栽培している遺伝子組換えダイズは、非選択性除草剤であるグリホサートに耐性を持つ品種です。
非選択制除草剤散布区の2区のうち、1区にはグリホサート耐性の効果を確認するためグリホサートが主成分の非選択性除草剤を散布します。もう1区にはグリホシネートが主成分の非選択性除草剤を散布し、グリホシネートに対しては耐性がなく、枯れてしまうことを確認します。
<慣行除草区>
慣行除草区には一般的な除草を実施します。一般的な除草では、雑草発生前の土壌処理剤(除草剤)を播種直後に散布しその後、除草作業を行います。
<無除草区>
無除草区には、除草剤散布、手による除草作業等は一切行いません。除草しないと畑はどのような状態になってしまうのかを確認します。
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害虫抵抗性及び除草剤耐性トウモロコシ:非選択性除草剤散布区、慣行除草区
ほ場で栽培している害虫抵抗性及び除草剤耐性トウモロコシは、トウモロコシの害虫であるアワノメイガ等のガの幼虫に抵抗性を持つとともに、非選択性除草剤でグリホサートに耐性を示す品種です。
遺伝子組換えトウモロコシと非遺伝子組換えトウモロコシを栽培し、害虫防除及び雑草防除の効果を確認します。
<非選択性除草剤散布区>
グリホサート耐性の効果を確認するため、グリホサートを散布する予定です。加えて、殺虫剤によるアワノメイガ等の防除は行わず、害虫抵抗性の効果を確認します。
<慣行除草区>
慣行除草区では、播種直後に土壌処理剤(除草剤)を散布しその後、除草作業を行う一般的な除草を実施します。殺虫剤によるアワノメイガ等の防除は行いません。
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非遺伝子組換えトウモロコシ:慣行除草区・慣行防虫区、無除草区・無防虫区
<慣行除草区・慣行防虫区>
慣行除草区・慣行防虫区には、播種直後に土壌処理剤(除草剤)の散布と除草作業による一般的な除草、及び殺虫剤によるアワノメイガ等の防除を行います。
<無除草区・無防虫区>
無除草区には、除草剤散布、手による除草作業等は一切行いません。また、殺虫剤によるアワノメイガの防除もせずに栽培します。除草・防虫しないと畑はどのような状態になってしまうのかを確認します。
試験栽培予定
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高オレイン酸含有及び除草剤耐性ダイズ(栽培実験計画書抜粋)
(1)全体実施予定期間
平成27年6月上旬 〜 平成27年9月上旬
(2)年度毎の栽培開始予定期間及び栽培終了予定期間
平成27年6月上旬 播種
平成27年9月上旬 栽培終了(完熟前に抜き取り)
◆
害虫抵抗性及び除草剤耐性トウモロコシ(栽培実験計画書抜粋)
(1)全体実施予定期間
平成27年6月上旬 〜 平成27年9月下旬
(2)年度毎の栽培開始予定期間及び栽培終了予定期間
平成27年6月上旬 播種
平成27年9月上旬 栽培終了