生物研ニュースNo.44
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kaigai

小松田さんとの共同研究を楽しんでいます

CHEN氏 写真
オオムギとのスナップ

 私と生物研との関わりは、 2004年にチェコのブルノという町で開かれた「第9回オオムギ遺伝学シンポジウム」で始まりました。私はのすぐ隣でポスター発表したのが、生物研の小松田上級研究員でした。しかも彼が研究する2つの遺伝子と、私が研究する遺伝子(Eibi1)は、オオムギ3H染色体の同じ場所にあったのです。こうして小松田さんと知り合った私は、翌2005年にイスラエルのハイファ大学で博士号をとり、Eibi1遺伝子の研究をするため、ポスドクとして彼のラボにやって来ました。その後、2008年に中国で教授の職を得ましたが、オオムギとイネのEibi1遺伝子について共同研究をするため、今も年に2回、生物研を訪れています。

 Eibi1遺伝子は、植物を水分ロスや、UV照射、虫や病害からの攻撃などから守る「クチクラ層」を作るために働いています。この遺伝子を利用して、様々なストレスに抵抗性を持つ植物を作り出せる可能性があります(Eibi1遺伝子について、詳しくは『研究トピックス』をご覧下さい)。研究を行うに当たり、私は生物研の多くの人に助けられました。私は、セミナーで話すときはいつもこう言います『友人たちよ、生物研よ、日本よありがとう』と。

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 生物研のキャンパスでの日常もまた、楽しいものです。研究所前の桜並木はきれいです。春には花が咲き、お弁当にも香りを添えてくれます。夏には生い茂る葉が涼をもたらし、秋には紅葉したカラフルな葉が風に舞います。冬には小枝の間から差し込む日の光が暖かです。また広々とした実験用の畑で、太陽や月の下、植物や、時には鳥たちと一緒に仕事をしたり、散歩をするのも気持ちいいものです。

 私が日本で学んだ一番大切なことは、日本人が親切で、勤勉で、誠実で、信頼できるということです。中国に居る私の学生たちには、日本の科学だけでなく、その歴史や、文化、日本人の人柄についても伝えていきたいと思います。学生の1人は今、生物研に来ていますし、今後はもっと増えるでしょう。私は、自分には日本と中国の科学や文化の交流を進めていく役目があると感じています。両国の人々が手を携え、楽しく暮らせることを願っています。

外来研究員 中国 CHEN Guoxiong
(期間) 平成23年4月1日〜平成24年3月31日

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