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プレスリリース
平成14年4月4日
独立行政法人 農業生物資源研究所




イネゲノム塩基配列概略解読に関する論文発表に対する国際コンソーシアムの声明について



 4月5日号のサイエンス誌に、中国のグループによるインディカイネゲノムの概略塩基配列と、シンジェンタ社によるジャポニカイネゲノムの概略塩基配列の論文が同時に掲載される。これに対し、日米欧等10カ国で構成している国際イネゲノムコンソーシアムから、別紙のような声明文(原文(英語)和訳)が発表された。生物研としてはこの声明を支持し、プレスリリースする。
 声明の内容を以下に、要約・解説する。

  1. 国際イネゲノムコンソーシアムは、遺伝子の機能解明に有用な高精度解読(99.99%)を、遺伝地図に基づいた階層式ショットガン方式で染色体との関連をつけながら行い、平成14年3月28日現在、全ゲノムの重要部分の68%の解読を終了し、既に広く全世界の研究者に対してそのデータを公開している。また、平成14年末までには、全塩基配列の重要部分の解読を終了すべく、各国が共同で取り組んでいる。
  2. サイエンス誌に掲載される2つのグループが解読したという全ゲノムショットガン方式の概略塩基配列については、国際コンソーシアムの行っている解読に比べて次の点に問題がある。すなわち、(1)解読精度が低い、(2)染色体との関連づけが明確でない、(3)データの公開性・利用性に制約がある。
  3. シンジェンタ社は現在国際イネゲノムコンソーシアムにデータを提供する旨の申し入れをしているが、利用に関して種々の制約を課していることから、未だ合意は成立していない状況である。

農業生物資源研究所 理事長 桂 直樹
研究責任者:農業生物資源研究所 理事 中島皐介
研究推進責任者:農業生物資源研究所 ゲノム研究グループ長 佐々木卓治
電話:0298-38-7066
研究担当者:農業生物資源研究所 ゲノム研究グループ 植物ゲノム研究チーム長 松本 隆
電話:0298-38-7441
広報担当者:農業生物資源研究所 企画調整部 広報普及課長 下川幸一
電話:0298-38-7004















[掲載新聞]
2002/04/05:日本経済新聞、日本農業新聞、朝日新聞、読売新聞、日本工業新聞、毎日新聞、産経新聞、日経産業新聞、東京新聞(夕刊)