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DNAマーカーを用いた効率的選抜育種技術の開発(〜平成13年度)
(略称:DNAマーカー、DM)

目 次 概 要 研究課題名等 研究成果の公表

1.達成目標

(1)イネ科作物について、DNAマーカーを利用して病虫害抵抗性や、複雑な遺伝に従う穂発芽性や収量などの有用形質の遺伝子の位置の特定を行い、DNAマーカーを用いた効率的育種技術の開発と利用を行う。
(2)イネ科以外の作目について、DNAマーカーによる遺伝地図の作成を行うとともに、DNAマーカーを利用して有用形質に関する遺伝子の位置の特定を行い、DNAマーカーを用いた効率的育種技術の開発と利用を行う。

2.研究内容

1)イネ科作物におけるDNAマーカーを用いた効率的育種技術の開発と利用
(1)研究目的 : 近年、RFLP等のDNAマーカーを用いたイネ等の高密度連鎖地図の作成や有用形質の遺伝解析手法のめざましい進展にともない、実用的な重要形質、特に量的な形質の発現に関わる遺伝子座(QTL)の解析が進み、作物育種へのDNAマーカーの実践的な利用が期待される。本課題では、イネを中心としたイネ科作物について、開発されたDNAマーカーを利用して改良が急がれる目的形質の遺伝子座の同定ならびに連鎖するDNAマーカーを用いた効率的な選抜育種技術を開発するとともに、その適用による優れた育種素材の開発を目的とする。
(2)研究内容 : 直播適性、高度耐病性・耐虫性あるいは耐冷性等の育種において重要な各種形質を対象に、DNAマーカーによる遺伝解析と選抜育種への利用を進める。この過程で有用形質遺伝子座のみを導入した同質遺伝子系統群等の育成、育種現場で容易に利活用可能な簡便で効率的なゲノム多型検出手法、および選抜育種法を開発する。
(3)達成目標 : イネ等の耐転び型倒伏'性、出穂期、トビイロウンカ抵抗性、いもち病抵抗性、穂発芽耐性、乾物生産性、食味・品質、耐冷性、子実収量関連形質等に関するQTLと遺伝特性が解明され、選抜に利用可能なDNAマーカーが開発される。また、各QTLをもつ準同質遺伝子系統群が育成される。
イネの育種現場でより容易に利用可能なDNAマーカーが作出され、イネゲノムの効率的、実践的な多型検出法が開発される。
2)イネ科以外の作目における遺伝解析技術の開発及び効率的育種技術の開発と利用
(1)研究目的 : 本課題では、イネ科以外の作物についてDNAマーカーを開発し、その位置を示した遺伝地図を作成するとともに、開発されたDNAマーカーを利用して有用形質の遺伝子座を同定する。有用形質に連鎖するDNAマーカーを用いた効率的選抜育種技術を開発する。また、DNAマーカー適用による優れた育種素材の開発を目的とする。
(2)研究内容 : 従来のイネゲノム研究において開発された手法に基づき、イネ科以外の作物について新しいDNAマーカーを開発し、その位置を示した遺伝地図の作成を進める。また、DNAマーカーを利用した有用形質の遺伝子の位置の特定およびDNAマーカーを用いた効率的育種技術の開発・利用を行う。
(3)達成目標 : 多数のDNAマーカーが開発される。これらの開発されたDNAマーカーを利用して、大豆、アカクローバー、ハクサイ類、ナス、カンキツ、茶およびカラマツにおいて遺伝地図が作成される。また、有用形質と関連するQTLの推定をはじめ、大豆、甘しょ、アルファルファ、ハクサイ類、カンキツ、および茶において有用形質の遺伝解析が進展する。更に、これらの作物について分子マーカーを用いた選抜技術が開発される。