農作業安全コラム

令和2年農作業安全確認運動

R2年4月 塚本 茂善

 令和2年2月10日、農林水産省において「令和2年春の農作業安全確認運動推進会議」が開催されました。この会議は春の農作業安全確認運動の開始に当たり、関係機関が一堂に会し、農作業安全対策の情報交換を行うとともに、運動の連携強化及び効果的な推進を図るために開催されたものです。農林水産省からは平成29年の農作業事故死亡者数は304人であり、 平成20年からの10年間で70人減少しているものの、農業就業人口当たりの農作業事故死亡者数は増加傾向にあり、そのうち80歳以上が4割近くを占めている。また農作業死亡事故の内訳では、乗用型トラクターによるものが92人で、そのうち56人が機械の転落・転倒(ほ場内、道路)との報告がありました(「今後の農作業安全対策について(農林水産省)外部リンク)。 このことからもわかるように、農作業死亡事故に占めるトラクターの転落・転倒事故の割合が高くなっています。このコラムの中でも何度もお伝えしておりますが、トラクターの転落・転倒による死亡事故を減らす一番の対策は安全フレームとシートベルトの装着です。

 令和2年農作業安全確認運動は「見直そう!農業機械作業の安全対策」をテーマに、春は令和2年3月1日~5月31日(3ヶ月間)、秋は令和2年9月1日~10月31日(2ヶ月間)で実施されます。重点推進テーマに基づいた活動として、安全フレーム、シートベルト未装備のトラクターの所有者について、安全フレーム等の追加装備や買い換えの呼びかけ・支援、それと同時にシートベルト・ヘルメットの着用徹底の呼びかけが挙げられています。

 ある大手農業機械メーカーからは、安全フレームとシートベルトが未装備のトラクターへの後付けキットの販売・装着サービスの開始も発表されました。ご存じの通り、トラクターは非常に寿命の長い機械であり、30年以上前のものでも現役で活躍しています。現在では標準装備となっている安全フレームやシートベルトですが、弊センターがかつて実施していた型式検査や安全鑑定(安全性をさらに強化した現在の安全性検査の前身)において、装備が必須ではなくオプションとされていた時代のトラクターには安全フレームやシートベルトが未装備のものがあります。これらのトラクターを現在もご使用の方は、この機会に是非装備の追加を 検討してみてはいかがでしょうか。

 農業機械作業に係る死亡事故の減少に向け、皆で一丸となって一歩ずつ前進していきましょう。

 

キーワード:事故/安全装置・対策/乗用トラクター
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